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第一章
しまった、うっかり萌えてしまった
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「聖女様は、俺が守ります」
「「えっ……?」」
突然の言葉に、私はただ驚いたが――猪は、勿論驚いてはいるが、同時に動揺して目が泳いだ。そんな私達に、ラウルさんが言葉を続ける。
「聖女様がやりたいことを、あなたに止める権利はありません」
「ですがっ……」
「……ただ、あなたは聖女様が心配だったんですよね?」
「っ!?」
思い入れも勿論、あるだろう。けれど同時に、聖女が害されることも不安だったのではないか。
問いかけに、黙り込んだ猪と目線を合わせる為か、ラウルさんは私に腕を回したまましゃがんだ。見えないのに解ったのは、ラウルさんの声が頭の上から耳元に移動したからだ。
「聖女様は、自分の意見を押しつけることはしませんが……人は、真実を突かれると過剰に反応する場合がありますからね」
「……ええ。ですが結果、僕も同じことをしてしまいました。聖女様、それに神兵どの。申し訳ありませんでした」
ラウルさんの腰の、柄に十字があしらわれた剣を見て気づいたんだろう。猪は私にだけではなく、ラウルさんにも頭を下げた。
そんな猪に、ラウルさんは頷いて話の先を続けた。
「我ら修道院にとっても、聖女様は大切なお方……だから俺が、護衛につくことになりました」
初耳だった内容に、私はギョッとして肩越しにラウルさんを振り返った。
「そんな……それでは、ラウルさんのお仕事が増えるじゃないですか!?」
「ご心配なく。元々、夕方までは修練の時間です。あと、外側の扉の前に立つので悩みごとの内容を、俺が聞くこともありません」
「守秘義務も考えてくれて、ありがとうございます……いえ、でも」
「……す」
「えっ?」
「それなら……許してあげてもいい、です」
ありがたいが、自分の思い付きに巻き込むのは本当に申し訳ない。
だから気遣いにお礼を言いつつ、何とか思い留まって貰おうとしたが――そんな私の耳に、猪のツンデレかとツッコミたくなるような台詞が届いた。
(何? 猪って知的キャラなだけじゃなく、ツンデレなの? めんどくさ可愛い?)
そんな場合ではないのだが、怖さはすっかり無くなって代わりにちょっとキュンとしてしまった。
小説などの好みのキャラは、犬派の人もいれば猫派の人もいる。
だが私は素直な犬キャラも、ツンツンしつつもたまにデレる猫キャラも、あとはにかみ天使な現世の私も皆、おいしく頂けるタイプだった。
「ありがとうございます」
「……別に」
私の視線の先で、ラウルさんが緑の瞳を微かに、けれど確かに細めて猪にお礼を言う。
その微笑みと、顔を背けながらも耳を赤く染めて返事をする猪を見比べて「クールなキャラが見せるデレも良い」と萌えているうちに――気づけば、ラウルさんが私の護衛につくことが決定してしまった。
「「えっ……?」」
突然の言葉に、私はただ驚いたが――猪は、勿論驚いてはいるが、同時に動揺して目が泳いだ。そんな私達に、ラウルさんが言葉を続ける。
「聖女様がやりたいことを、あなたに止める権利はありません」
「ですがっ……」
「……ただ、あなたは聖女様が心配だったんですよね?」
「っ!?」
思い入れも勿論、あるだろう。けれど同時に、聖女が害されることも不安だったのではないか。
問いかけに、黙り込んだ猪と目線を合わせる為か、ラウルさんは私に腕を回したまましゃがんだ。見えないのに解ったのは、ラウルさんの声が頭の上から耳元に移動したからだ。
「聖女様は、自分の意見を押しつけることはしませんが……人は、真実を突かれると過剰に反応する場合がありますからね」
「……ええ。ですが結果、僕も同じことをしてしまいました。聖女様、それに神兵どの。申し訳ありませんでした」
ラウルさんの腰の、柄に十字があしらわれた剣を見て気づいたんだろう。猪は私にだけではなく、ラウルさんにも頭を下げた。
そんな猪に、ラウルさんは頷いて話の先を続けた。
「我ら修道院にとっても、聖女様は大切なお方……だから俺が、護衛につくことになりました」
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「そんな……それでは、ラウルさんのお仕事が増えるじゃないですか!?」
「ご心配なく。元々、夕方までは修練の時間です。あと、外側の扉の前に立つので悩みごとの内容を、俺が聞くこともありません」
「守秘義務も考えてくれて、ありがとうございます……いえ、でも」
「……す」
「えっ?」
「それなら……許してあげてもいい、です」
ありがたいが、自分の思い付きに巻き込むのは本当に申し訳ない。
だから気遣いにお礼を言いつつ、何とか思い留まって貰おうとしたが――そんな私の耳に、猪のツンデレかとツッコミたくなるような台詞が届いた。
(何? 猪って知的キャラなだけじゃなく、ツンデレなの? めんどくさ可愛い?)
そんな場合ではないのだが、怖さはすっかり無くなって代わりにちょっとキュンとしてしまった。
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だが私は素直な犬キャラも、ツンツンしつつもたまにデレる猫キャラも、あとはにかみ天使な現世の私も皆、おいしく頂けるタイプだった。
「ありがとうございます」
「……別に」
私の視線の先で、ラウルさんが緑の瞳を微かに、けれど確かに細めて猪にお礼を言う。
その微笑みと、顔を背けながらも耳を赤く染めて返事をする猪を見比べて「クールなキャラが見せるデレも良い」と萌えているうちに――気づけば、ラウルさんが私の護衛につくことが決定してしまった。
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