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反撃開始
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皇太子と聖女の結婚式が見られたのは、魔法ではあるが――仕組みは、テレビ放送だと聞かされた。魔法で発信された映像を受信する端末があれば見られるし、逆にこちらが発信したものを見せることも出来るそうだ。
そんな訳で、とノヴァは次の日に自分と恵を、更に皇太子と優菜を並べた映像を全世界に配信した。
今日のノヴァはスウェットではなく、初めて会った時のように黒の長衣とマントという、何と言うか魔王らしい格好をしている。
そして恵もスウェットやセーラー服ではなく、ノヴァが用意させた紫のドレスを着ていた。スウェットはともかく、セーラー服が恵の特別だと理解はしているが「魔王が大切にしている」と示す為に、ノヴァの瞳と同じ色のドレスを着て欲しいと言われた。恐縮するが、今回の目的の為には必要だと思うのでこうして身に纏っている。
「よーし、映ってんなー? 俺は魔王。そして、俺の隣にいるのは異世界から召喚された、もう一人の聖女だ……まあ、この目の色を見りゃ解ると思うけどよ?」
「恵!?」
「姿を消したと思ったら、魔王のところに……攫われたのか!?」
「違っ……」
自分達が映っていることに最初は驚いたようだが、恵がいることに気づくと優菜は気遣うような表情になり、リュカオンはノヴァに責任をなすりつけるような言い方をした。それに咄嗟に言い返そうとした恵だったが、隣にいるノヴァが安心させるように恵の手を握ってきたのに口をつぐむ。
それに優しく目を細めると、ノヴァは再び煽るような言葉を続けた。
「人聞き悪ぃなー。そもそも、異世界から攫われてきたのは聖女だし。それでも自分に浄化の力があるならって頑張ろうとしたが、皇国で嘘ばっかりつかれて飼い殺しにされそうになったから、魔国に亡命してきたんだよ。瘴気は元々、この世界の生き物の負の感情が淀んで凝ったものだから、こいつには関係ねぇのになー。健気だよなー?」
「瘴気は、魔王のせいだろうがっ!?」
「それ、本気で言ってんの? 人族より多少は丈夫で長生きだけど、王の座の交代って別に百年単位じゃねぇし。そもそも本当に魔王のせいだって思うなら、一回くらい魔王討伐するべきじゃねー?」
「それはっ」
「出来ねぇよなぁ? そっちが無駄死にするだけだしー……そうすることで、瘴気が大量発生したら俺ら魔族のせいに出来なくなるしなー?」
「……っ」
「リュカオン?」
ノヴァの言葉に、リュカオンは黙ってしまった。どう見ても図星を刺されたようにしか見えなくて、ノヴァはニンマリ笑うし恵と違い、説明を鵜呑みにしていたらしい優菜は戸惑ったようにリュカオンを見上げる。
「俺らが反撃しなかったのは、理由はともかく攻撃された訳じゃなかったし……別に、人族にどうこう言われてもどうでも良かったからだ。ただ、それで異世界から無関係の相手が拉致されたのは悪かった」
「魔王様……わたしのことを、気遣って……?」
「ハ? テメェはその男の嘘に乗っかって、結婚までしただろーが。俺が悪いと思うのは、ここにいる恵にだけだ」
旗色が悪くなったのを感じたのと、ノヴァの容姿のせいだろうか。優菜が目を潤ませ、ノヴァを頼ろうとしたが――ノヴァは一蹴し、手をつないだままもう一方の手で恵の頭を優しく撫でた。
そんな恵を苛立たしそうに睨んだ優菜の顔は、バッチリ全世界に放送された。
そんな訳で、とノヴァは次の日に自分と恵を、更に皇太子と優菜を並べた映像を全世界に配信した。
今日のノヴァはスウェットではなく、初めて会った時のように黒の長衣とマントという、何と言うか魔王らしい格好をしている。
そして恵もスウェットやセーラー服ではなく、ノヴァが用意させた紫のドレスを着ていた。スウェットはともかく、セーラー服が恵の特別だと理解はしているが「魔王が大切にしている」と示す為に、ノヴァの瞳と同じ色のドレスを着て欲しいと言われた。恐縮するが、今回の目的の為には必要だと思うのでこうして身に纏っている。
「よーし、映ってんなー? 俺は魔王。そして、俺の隣にいるのは異世界から召喚された、もう一人の聖女だ……まあ、この目の色を見りゃ解ると思うけどよ?」
「恵!?」
「姿を消したと思ったら、魔王のところに……攫われたのか!?」
「違っ……」
自分達が映っていることに最初は驚いたようだが、恵がいることに気づくと優菜は気遣うような表情になり、リュカオンはノヴァに責任をなすりつけるような言い方をした。それに咄嗟に言い返そうとした恵だったが、隣にいるノヴァが安心させるように恵の手を握ってきたのに口をつぐむ。
それに優しく目を細めると、ノヴァは再び煽るような言葉を続けた。
「人聞き悪ぃなー。そもそも、異世界から攫われてきたのは聖女だし。それでも自分に浄化の力があるならって頑張ろうとしたが、皇国で嘘ばっかりつかれて飼い殺しにされそうになったから、魔国に亡命してきたんだよ。瘴気は元々、この世界の生き物の負の感情が淀んで凝ったものだから、こいつには関係ねぇのになー。健気だよなー?」
「瘴気は、魔王のせいだろうがっ!?」
「それ、本気で言ってんの? 人族より多少は丈夫で長生きだけど、王の座の交代って別に百年単位じゃねぇし。そもそも本当に魔王のせいだって思うなら、一回くらい魔王討伐するべきじゃねー?」
「それはっ」
「出来ねぇよなぁ? そっちが無駄死にするだけだしー……そうすることで、瘴気が大量発生したら俺ら魔族のせいに出来なくなるしなー?」
「……っ」
「リュカオン?」
ノヴァの言葉に、リュカオンは黙ってしまった。どう見ても図星を刺されたようにしか見えなくて、ノヴァはニンマリ笑うし恵と違い、説明を鵜呑みにしていたらしい優菜は戸惑ったようにリュカオンを見上げる。
「俺らが反撃しなかったのは、理由はともかく攻撃された訳じゃなかったし……別に、人族にどうこう言われてもどうでも良かったからだ。ただ、それで異世界から無関係の相手が拉致されたのは悪かった」
「魔王様……わたしのことを、気遣って……?」
「ハ? テメェはその男の嘘に乗っかって、結婚までしただろーが。俺が悪いと思うのは、ここにいる恵にだけだ」
旗色が悪くなったのを感じたのと、ノヴァの容姿のせいだろうか。優菜が目を潤ませ、ノヴァを頼ろうとしたが――ノヴァは一蹴し、手をつないだままもう一方の手で恵の頭を優しく撫でた。
そんな恵を苛立たしそうに睨んだ優菜の顔は、バッチリ全世界に放送された。
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