メテオライト

渡里あずま

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明暮

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創世神視点&遊星視点



 管理神達のように、創世神も普段は神域に存在している。もっとも、管理神のように一つの世界だけではなく、自分が創り出したいくつもの世界を見られるようになっている。
 そして、そのうちの一つ――ティエーラを、その金色の瞳で眺めていた創世神は。

「ハハッ……まさか、そう来るとはね! 殺したくないからって、自分の命を賭ける!? 私にも、先代の勇者にも魔王を犠牲にするしかことしか思いつかなかったのに……いやー、その発想はなかった! アハハハハッ」

 一人なのを良いことに、腹を抱えて笑い転げていた。
 ちなみに床のように『見える』が、基本は神力で形成されているのでゴロゴロ転がっても汚れることはない。

「遊星君ってば、この創世神の法則自体を壊しちゃうんだもんっ……また魔王が生まれても、勇者君達二人が生まれ変われば……ああ、あの魔王君でもありかな? 誰かが魔王を使い魔に出来るだろうし、結果、世界は壊れない」

 そこまで呟いて、創世神は笑いすぎて浮かんだ目尻の涙を拭った。
 神は、元々はエネルギー体なのでこういう生理的現象は起こらないのだが――創世神は、自分が創った人間が大好きだ。だから彼らが住む世界を長らえたいと思うし、世界が壊れない程度に干渉する。
 ……それは短い寿命と、神からすれば無力ながらもその命を燃やすように生きるところだったが。
 そんな中でも、遊星は創世神の予想外なことばかりした。

「でも、遊星君すごいよなぁ……隕石メテオライトみたいに色々、ぶち壊しておいて。結局は、世界も友達も救っちゃったんだもん」

 はぁ、と満足げに息を吐いて。創世神はその長い金髪のように、無造作に両手足を投げ出した。

「ガブリエルも、惚れる訳だ……うーん。私が遊星君争奪戦に参戦したら魔王君と勇者君、闇堕ちしちゃうかなぁ? でも、楽しそうだよなぁ」

 そして創世神は、不穏なことを満面の笑みで呟くのだった。



「暁・向坂です。遊星とはし……同郷出身です。よろしくお願いします」

 にこにこ、にこにこ。
 魔力を制御しつつも、転入試験を余裕でクリアしSクラスに転入してきた暁に、女子生徒達が色めき立つ。
 遊星としては中学の時のトラウマがあるので、暁が親友と言いそうになるのを目線で制した。
 全く他人のフリをするつもりはないが、下手に仲が良いことが知られて逆恨みされたくない。

(あー……でも、アルバとは仲良いから。暁だけ駄目って言うのも、おかしいかな)

 色々あったせいもあるが、タイプは違うが同じくらい美形のアルバとの交流は隠していない。
 いや、正確には『アルバがオープン過ぎるので、仲の良さを隠せない』だけである。
 そして、暁が『親友』という言葉を出さなかったのに、アルバがすかさず立ち上がり笑顔で言う。

「『遊星の親友』のアルバ・ヴェーチェルです。よろしくお願いします」
「……遊星? こいつは、何を言っているのかな?」
「うぇっ!? え、えっと……どっちも、大切な友達だからっ」

 そして、暁相手にマウントを取ろうとするアルバと、笑顔でプレッシャーをかけてくる暁に板挟みされた遊星は――全く隠せなかったことに内心、嘆きつつも観念してそう答えた。
 そんな遊星に、唯一と言われなかったアルバは拗ね、大切と言って貰えた暁は嬉しそうに笑う。
 ……ちなみに地球では、管理神の影響もあり即苛めに発展したが。
 ティエーラでは血の承継にこだわらない(だが、恋愛としては一夫多妻制も認められている)一方で同性愛に寛大な為、美形であっても相手にされないとなると恋愛対象にはならず。

「えっ? い、いいの? いや、ドMじゃないから、苛められないのはいいんだけど」
「……ド?」
「アルバは、知らなくていいからっ」

 結果、アルバと暁も観賞用として認識され。
 後にそのことを知った遊星は、困惑しながらもホッとするが――迂闊に口走った言葉に反応したアルバの口を、慌てて塞ぐことになる。

―終―
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