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エピローグ
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休みであるだけではなく、そもそもそんな余裕もなかったので、スマートフォンの目覚ましはかけなかった。
それでも、いつもなら早生より早く目を覚ましていたが――今朝は、うっすらと目を開けた日向に、それこそ太陽より眩しい笑顔を早生から向けられて焦った。咄嗟に後ずさろうとするが、いつの間にか相手の腕の中に収まっていてそれは果たせなかった。
「おはようございます」
「……お、はよ」
答えた日向の声は、随分と掠れていて。ますます焦っていると、盛大にお腹が鳴ってしまい「コントかよ!」と声に出さずにツッコミを入れた。
「ごめんなさい。日向さんみたいに朝食を用意するべきだったんでしょうが、寝顔を見られたのが嬉しくて……その、離れがたくて」
「え? いや、その」
「……恥ずかしながら僕、自炊ってした事なくて。トーストを出すくらいしか、出来ませんけど」
生真面目に、そして申し訳無さそうに言う早生に思わず頬が緩む。
日向からすると恥ずかしいのは寝顔を見られた事だが、随分と甘い事を言う一方で料理が出来ないと落ち込む早生をたまらなく可愛いと思う。
「じゃあ、一緒に作ろうぜ」
「えっ……?」
「早生がトースト担当で、俺は……卵あるか? いや、冷蔵庫見た方が早いか」
「あ、はい」
これからも付き合うのなら、日向もまた早生の家に来るだろうし、そうなると台所を使う事になる。
そう思いながら、日向はベッドから起きようとした。
そして朝の光の中、同様に身を起こした相手の背中に自分がつけた爪痕を見て真っ赤になる。
「どうか僕と、落ちてくれませんか?」
……けれど昨夜、早生がくれた言葉を思い出して。
応えるように誓うように、日向はその爪痕に口付けた。
それでも、いつもなら早生より早く目を覚ましていたが――今朝は、うっすらと目を開けた日向に、それこそ太陽より眩しい笑顔を早生から向けられて焦った。咄嗟に後ずさろうとするが、いつの間にか相手の腕の中に収まっていてそれは果たせなかった。
「おはようございます」
「……お、はよ」
答えた日向の声は、随分と掠れていて。ますます焦っていると、盛大にお腹が鳴ってしまい「コントかよ!」と声に出さずにツッコミを入れた。
「ごめんなさい。日向さんみたいに朝食を用意するべきだったんでしょうが、寝顔を見られたのが嬉しくて……その、離れがたくて」
「え? いや、その」
「……恥ずかしながら僕、自炊ってした事なくて。トーストを出すくらいしか、出来ませんけど」
生真面目に、そして申し訳無さそうに言う早生に思わず頬が緩む。
日向からすると恥ずかしいのは寝顔を見られた事だが、随分と甘い事を言う一方で料理が出来ないと落ち込む早生をたまらなく可愛いと思う。
「じゃあ、一緒に作ろうぜ」
「えっ……?」
「早生がトースト担当で、俺は……卵あるか? いや、冷蔵庫見た方が早いか」
「あ、はい」
これからも付き合うのなら、日向もまた早生の家に来るだろうし、そうなると台所を使う事になる。
そう思いながら、日向はベッドから起きようとした。
そして朝の光の中、同様に身を起こした相手の背中に自分がつけた爪痕を見て真っ赤になる。
「どうか僕と、落ちてくれませんか?」
……けれど昨夜、早生がくれた言葉を思い出して。
応えるように誓うように、日向はその爪痕に口付けた。
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