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料理を教えて貰って、からの
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普段はコーンスターチでカレーにとろみをつけていたが、ニゲルには片栗粉があった。その為、ありがたく使わせて貰うことにする。
そして恵理がトンカツとカレーを、次いで異世界ですっかり慣れたタイ米ではなく、日本でお馴染みのジャポニカ米でご飯を炊き終える(タイ米以外は久しぶりだが、グルナ監修の元頑張った)間、グルナはラードを掬い続けた。このラードはラードで使えるからとそれぞれアイテムボックスに入れたところで豚肉の下茹でが終わった。
「じゃあ、次は味つけするぞ」
そう言うとだし汁や酒、醤油などを入れた煮汁に豚肉を入れ、紙蓋をして半刻(三十分)くらい煮た。そして、同時進行で豚角煮まんの生地を作り出した。
小麦粉と酵母、あと砂糖と水を全て混ぜ、耳たぶくらいの柔らかさ、滑らかさになるまで捏ねた。そして生地がまとまったところで布巾をかけ、四十分から一時間くらい置く。
そして、煮ていた豚肉を一度火から下ろし、冷ましているうちに今度は魯肉飯を作ることになった。
「豚肉とエシャロット、香菜をそれぞれ切って、まずエシャロットから炒める」
角煮が大変だったので、魯肉飯はどうなんだろうかと思ったが――次いで豚肉を炒め、鶏がらスープや醤油、五香粉などを入れた煮込み調味料を加え、半刻(三十分)くらい煮て豚肉は柔らかく、煮汁にとろみが出たところで火を止めるよう言われた。最後、ご飯にかけて香菜を散らして完成らしい。
「え、簡単!」
「だろ? あ、これ、味見」
「あ」
グルナに差し出され、ご飯にかける餡を口にするとしょっぱさと脂の甘みが口いっぱいに広がった。確かに豚の角煮より簡単で、しかしこれはこれで美味しい。
「あとは、生地を蒸して豚の角煮完成させるぞー」
その言葉と共に生地を十二、三分鍋で蒸し、豚の角煮を再度、火にかけて煮込んで豚の角煮を完成。その角煮を、ふかふかに蒸された生地に挟んで、豚角煮まんも完成した。
その間に魯肉飯と、カツカレー丼を盛り付けする。
(グルナは本当、手際良いわよね……テキパキやってくれたおかげで無事、朝食に間に合うわ)
ありがたい、と思ったところで恵理の視線に気づいたのか、グルナが琥珀色の目を上げる。
「どうした?」
「ううん。すごい手際良いなぁって」
「……俺、役に立つよ? だから、恵理のものにしてくれるか?」
「えっ?」
唐突にそう言われ、最初は頭がついていかなかったが――ハオとの言い合いの時に、そんなことを言っていたなと今更ながらに思い出した。
(料理に集中するのに、告白を控えようと思ったけど……私だけじゃなく、グルナも私が好きで両想いってこと?)
冒険者時代に、多少は口説かれたことがある。
ただ、その時は単純な色恋ではなく冒険者パーティーのリーダーであるアレンの『愛人』だと思われて、寝とってやろうとちょっかいを出されていた。その為、多少どころではなく下心が目線や言動から溢れ出ていたので、スルーしたり時には蹴りで反撃したりしていたが、とにかく嫌な印象しか受けなかった。
ただ、グルナはそんな過去の男達と違う。人柄なのか、グルナが恵理に向ける眼差しや言葉はいつも、とても優しい――ただそのせいで、今の今までグルナも恵理が好きなのだと気付かなかったけれど。
(冒険者の、肉食系男子を基準にしちゃいけなかったわ)
反省しつつも、キッチリ返事をしようと恵理は口を開いた。
「ええ。私もグルナのものになるから、グルナも私のものになってね……今だけじゃなく、これからずっとよ?」
「っ! ああ、勿論っ」
告白と言うよりプロポーズのような恵理の言葉に、俯いていたグルナはパッと顔を上げ、コクコクと音がする勢いで頷いた。
そして恵理がトンカツとカレーを、次いで異世界ですっかり慣れたタイ米ではなく、日本でお馴染みのジャポニカ米でご飯を炊き終える(タイ米以外は久しぶりだが、グルナ監修の元頑張った)間、グルナはラードを掬い続けた。このラードはラードで使えるからとそれぞれアイテムボックスに入れたところで豚肉の下茹でが終わった。
「じゃあ、次は味つけするぞ」
そう言うとだし汁や酒、醤油などを入れた煮汁に豚肉を入れ、紙蓋をして半刻(三十分)くらい煮た。そして、同時進行で豚角煮まんの生地を作り出した。
小麦粉と酵母、あと砂糖と水を全て混ぜ、耳たぶくらいの柔らかさ、滑らかさになるまで捏ねた。そして生地がまとまったところで布巾をかけ、四十分から一時間くらい置く。
そして、煮ていた豚肉を一度火から下ろし、冷ましているうちに今度は魯肉飯を作ることになった。
「豚肉とエシャロット、香菜をそれぞれ切って、まずエシャロットから炒める」
角煮が大変だったので、魯肉飯はどうなんだろうかと思ったが――次いで豚肉を炒め、鶏がらスープや醤油、五香粉などを入れた煮込み調味料を加え、半刻(三十分)くらい煮て豚肉は柔らかく、煮汁にとろみが出たところで火を止めるよう言われた。最後、ご飯にかけて香菜を散らして完成らしい。
「え、簡単!」
「だろ? あ、これ、味見」
「あ」
グルナに差し出され、ご飯にかける餡を口にするとしょっぱさと脂の甘みが口いっぱいに広がった。確かに豚の角煮より簡単で、しかしこれはこれで美味しい。
「あとは、生地を蒸して豚の角煮完成させるぞー」
その言葉と共に生地を十二、三分鍋で蒸し、豚の角煮を再度、火にかけて煮込んで豚の角煮を完成。その角煮を、ふかふかに蒸された生地に挟んで、豚角煮まんも完成した。
その間に魯肉飯と、カツカレー丼を盛り付けする。
(グルナは本当、手際良いわよね……テキパキやってくれたおかげで無事、朝食に間に合うわ)
ありがたい、と思ったところで恵理の視線に気づいたのか、グルナが琥珀色の目を上げる。
「どうした?」
「ううん。すごい手際良いなぁって」
「……俺、役に立つよ? だから、恵理のものにしてくれるか?」
「えっ?」
唐突にそう言われ、最初は頭がついていかなかったが――ハオとの言い合いの時に、そんなことを言っていたなと今更ながらに思い出した。
(料理に集中するのに、告白を控えようと思ったけど……私だけじゃなく、グルナも私が好きで両想いってこと?)
冒険者時代に、多少は口説かれたことがある。
ただ、その時は単純な色恋ではなく冒険者パーティーのリーダーであるアレンの『愛人』だと思われて、寝とってやろうとちょっかいを出されていた。その為、多少どころではなく下心が目線や言動から溢れ出ていたので、スルーしたり時には蹴りで反撃したりしていたが、とにかく嫌な印象しか受けなかった。
ただ、グルナはそんな過去の男達と違う。人柄なのか、グルナが恵理に向ける眼差しや言葉はいつも、とても優しい――ただそのせいで、今の今までグルナも恵理が好きなのだと気付かなかったけれど。
(冒険者の、肉食系男子を基準にしちゃいけなかったわ)
反省しつつも、キッチリ返事をしようと恵理は口を開いた。
「ええ。私もグルナのものになるから、グルナも私のものになってね……今だけじゃなく、これからずっとよ?」
「っ! ああ、勿論っ」
告白と言うよりプロポーズのような恵理の言葉に、俯いていたグルナはパッと顔を上げ、コクコクと音がする勢いで頷いた。
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