リバース!

渡里あずま

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リバース!2

It's small world

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 今の携帯電話は(ガラケーもスマホも)大体、写真が撮れる。
 だからってこう、隠し……てないな、あれだけ堂々と他人を撮るのはどうなんだと俺は思う。

「すごい人気だな、芸能人みたいだな椿」
「…………」

 夏休みが終わり、登校するようになってから椿はそれこそ囲み取材みたいに携帯電話のレンズを向けられるようになった。
 今までも時折、隠し撮りされていたみたいだが明らかに数が違う。俺からすると、転生前の自分と同じ顔なんで今イチ解らないが、基本平たい顔の中では椿の顔は目立つらしい。
 このリア充が、と舌打ちしたくなりはするが、本人がこれだけ憮然としてるんでそれも出来ない。って言うか、こんな不機嫌な椿相手に退かないとか、女の子のパワーって凄まじい。

「多分、他校の生徒宛てに送るんじゃないかな?」
「へっ?」

 感心していた俺に、部室で一緒にお昼を食べていた晴香さんが答えらしきものをくれた。くれたけど、意味が解らなくて俺は首を傾げた。

「うちの学校には、こんなイケメンがいるんだよ……自分の学校の方が上なんだよって。女の子は、代理戦争が好きだからね」

 僕も、彼程じゃないけど撮られてるよ。
 そう言った晴香さんは、俺同様に夏服だ。半袖で、上は白――相変わらずのスタイルの良さが、よく解る。
 って男の椿はまだしも、何で晴香さんまで? 今の話だと、写真のやり取りしてるのは女の子なんだろう?

「晴香さん、女性ですよね?」
「うん、杏里ちゃんもね……女の子は、綺麗なものが好きなんだよ」
「……こいつに、余計なことを教えるな」

 首を傾げていると、低い声で椿が会話に割り込んできた。そんな椿に、晴香さんがにっこりと笑う。

「保護者って言うか父親みたいで、すごくウザいよ君?」
「…………」
(晴香さん、やめてあげて! そりゃあ、ちょっとは俺も思うけどっ)

 ……心の中だけで(怖くて声に出せるか!)ツッコミを入れつつ。
 花のような笑顔で毒を吐く晴香さんと、目を据わらせた椿との睨み合いに俺は座っていた椅子へと縋りついた。
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