リバース!

渡里あずま

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リバース!1

ヒーローになりたい

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「あの、宝生君……好きです! わたしとつき合っ」
「断る」

 放課後の、誰もいない教室で。
 告白をぶった切られ、女の子がペコリと頭を下げて走り去る。幸い、ゴミ捨てから戻って遭遇し、ドアに張りついていた俺には気づかなかったみたいだ。
(本当にモテるよな、椿……ってか俺、魔法が使えりゃああだったのか?)

「何をボサッとしてる、帰るぞ」

 凹む俺にそう言うと、慌てる俺を余所に椿はさっさと歩き出した。
 あれから一週間経ったが、いっそ拍子抜けするくらい平和だった。黒城が転校し、それが椿のせいだって噂が流れたが(実際は俺のせいなんだが)しばらくしたら消えた。

「いっそ、定着した方が雑魚や女避けに良かったんだがな」
「何だ、その黒い台詞!?」

 いつもみたいに一緒に帰りながら、俺は思わずツッコミを入れた。
 全く、相変わらず容赦のない――そこまで考えて、俺はふと引っかかった。

「前にお前、俺のことヒーローだって言ったけど……それなら、お前もそうだろ?」
「……俺が?」

 聞き返されたのに、俺は頷いた。救いを与えてくれるのがヒーローなら、宮藤とか黒城の時の椿だって十分、当てはまると思う。
 そう言った俺に、何故か眉をしかめながら椿が口を開く。

「嫌味か? 俺にはお前みたいに、そんな恥ずかしいことを真顔では言えんぞ」
「って、何でそんな喧嘩腰!?」
「……甘んじて受けろ」
「理不尽だっ」

 照れてるにしても、ツンがすぎるぞ椿!
 訴えた俺にため息をつくと、不意に椿が俺の顔を覗き込むようにして目線を合わせてきた。

「ヒーローを守りたいのなら……対等になりたいなら、俺もヒーローになるしかなかろう?」

 ……前言撤回しろとしか思えない、恥ずかしいことを言う椿に。
 不覚にも俺は見惚れてしまい――次いで、そんな自分が信じられなくて頭を抱えることになる。



ひとまずここまで。今週~来週に、また新キャラの出てくる続きを更新します。
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