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リバース!1
決着1
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「風の刃」
呪文と共に文様が光り、長い髪が揺れる。次いで風が床を切り裂き、俺へと襲いかかるのに俺もまた床を蹴った。
再び頬や足に痛みが走るが、気にせずに黒城へと突進する。
そして軽く目を見張る相手の前で飛び上がり、俺は剣を振り下ろした!
「風の……」
「遅いっ」
一喝し、顔すれすれのところに剣を突き出す。
「……っ!」
僅かに、だけど確かに怯んだ相手と中断した魔法に対して、俺は内心「よしっ!」と拳を握った。魔力はあるが、呪文を言わないと魔法を使えないのは黒城も同様らしい。
だから俺は実際にぶちのめす為じゃなく、呪文を唱えさせない為に剣を振るった。
さっき、わざと顔を狙ったんで、今のところは成功してる。
(……痛ってぇ)
とは言え、一気に動いたからどんどん血が流れて傷が疼く。長くは保たなそうだから、一気にカタをつけないと。
「この……ちょこまかとっ」
そんな俺を、黒城が苛立たったように睨みつけてきた。
その怒りを更に煽るように、俺は剣を振って緑の魔法を使った。刹那、蔦が黒城に絡みつきその動きを封じる。
「とどめだっ」
「させない……光の槍!」
そして地面を蹴り、再び剣を振り上げた俺に黒城が高らかに呪文を言い放った。
……放たれた光は、俺の右脇腹を容赦なく貫いて。
「ぐぁ……っ」
「フフ、調子に乗るからよ」
剣を落とし、苦痛の声を上げて崩れ落ちる俺に、黒城が勝ち誇ったように笑った。
そして蔦を払い、凭れる俺を押しのけようとしたが――それは、俺がガッチリしがみつくことで防いだ。
「…………えっ?」
捕まえたところで、俺は『闇の渦』を発動させた。
「ちょっ……離しなさい!」
魔力を吸い取られるのが解ったのか、俺の腕の中で黒城が暴れる。
元々、闇属性は持ってる奴自体が少ない。
賭けだったが、魔法が通用してるところを見ると闇属性は持っていないみたいだ。あるいはあっても、俺以上の力はないらしい。
(気張れ……根競べだぞ、俺!)
とは言え、間合いに飛び込む為に俺は脇腹を犠牲にした――魔力を吸収するのが先か、俺が出血多量で気絶するのが先か。
「いや……私から、もう奪わないで」
「奪うんじゃない。元々、あんたのじゃないだろ……魔力も、テルスも」
勝手この上ないんだが、縋るような声を聞いたら何か、小さな子を相手にしてる気分になった。
「逃げるな、とは言わねぇが……後悔しないか? 地球で、あんたの世界でやりたいことは本当にないのか?」
だからそう言って頭を撫でてやると、腕の中で黒城が息を呑むのが解った。
「……クッ」
悔しそうな声と共に、その体から力が抜ける。
見ると、黒城の顔や首からは文様が消えていた。だけど、顔色は悪い。俺と違って、怪我をしてる訳じゃないのにグッタリしてる。
そういや、晴香さんとか宮藤も同じだった。いきなり、使い慣れない力を使ったから体に相当、負担がかかったんだろう。
ましてや黒城は、二人以上の魔力を使ってる。病院に連れて行かないと、マズいかもしれない。
「椿、こいつ病院に……あだ!」
「阿呆、貴様の治療の方が先だ」
黒城と一緒にへたり込んだ俺の頭に、気に入ったのか椿が再び手刀を叩き込んだ。
呪文と共に文様が光り、長い髪が揺れる。次いで風が床を切り裂き、俺へと襲いかかるのに俺もまた床を蹴った。
再び頬や足に痛みが走るが、気にせずに黒城へと突進する。
そして軽く目を見張る相手の前で飛び上がり、俺は剣を振り下ろした!
「風の……」
「遅いっ」
一喝し、顔すれすれのところに剣を突き出す。
「……っ!」
僅かに、だけど確かに怯んだ相手と中断した魔法に対して、俺は内心「よしっ!」と拳を握った。魔力はあるが、呪文を言わないと魔法を使えないのは黒城も同様らしい。
だから俺は実際にぶちのめす為じゃなく、呪文を唱えさせない為に剣を振るった。
さっき、わざと顔を狙ったんで、今のところは成功してる。
(……痛ってぇ)
とは言え、一気に動いたからどんどん血が流れて傷が疼く。長くは保たなそうだから、一気にカタをつけないと。
「この……ちょこまかとっ」
そんな俺を、黒城が苛立たったように睨みつけてきた。
その怒りを更に煽るように、俺は剣を振って緑の魔法を使った。刹那、蔦が黒城に絡みつきその動きを封じる。
「とどめだっ」
「させない……光の槍!」
そして地面を蹴り、再び剣を振り上げた俺に黒城が高らかに呪文を言い放った。
……放たれた光は、俺の右脇腹を容赦なく貫いて。
「ぐぁ……っ」
「フフ、調子に乗るからよ」
剣を落とし、苦痛の声を上げて崩れ落ちる俺に、黒城が勝ち誇ったように笑った。
そして蔦を払い、凭れる俺を押しのけようとしたが――それは、俺がガッチリしがみつくことで防いだ。
「…………えっ?」
捕まえたところで、俺は『闇の渦』を発動させた。
「ちょっ……離しなさい!」
魔力を吸い取られるのが解ったのか、俺の腕の中で黒城が暴れる。
元々、闇属性は持ってる奴自体が少ない。
賭けだったが、魔法が通用してるところを見ると闇属性は持っていないみたいだ。あるいはあっても、俺以上の力はないらしい。
(気張れ……根競べだぞ、俺!)
とは言え、間合いに飛び込む為に俺は脇腹を犠牲にした――魔力を吸収するのが先か、俺が出血多量で気絶するのが先か。
「いや……私から、もう奪わないで」
「奪うんじゃない。元々、あんたのじゃないだろ……魔力も、テルスも」
勝手この上ないんだが、縋るような声を聞いたら何か、小さな子を相手にしてる気分になった。
「逃げるな、とは言わねぇが……後悔しないか? 地球で、あんたの世界でやりたいことは本当にないのか?」
だからそう言って頭を撫でてやると、腕の中で黒城が息を呑むのが解った。
「……クッ」
悔しそうな声と共に、その体から力が抜ける。
見ると、黒城の顔や首からは文様が消えていた。だけど、顔色は悪い。俺と違って、怪我をしてる訳じゃないのにグッタリしてる。
そういや、晴香さんとか宮藤も同じだった。いきなり、使い慣れない力を使ったから体に相当、負担がかかったんだろう。
ましてや黒城は、二人以上の魔力を使ってる。病院に連れて行かないと、マズいかもしれない。
「椿、こいつ病院に……あだ!」
「阿呆、貴様の治療の方が先だ」
黒城と一緒にへたり込んだ俺の頭に、気に入ったのか椿が再び手刀を叩き込んだ。
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