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先祖返りの君と普通の僕
生徒のほうがよほどマトモ
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…ここ、どこだ?
高原先生は見覚えのない場所で目を覚ました。
「あっ、先生、起きた?」
「か…しはら、くん?ここは?」
「サッカー部の寮だよ!
先生、昨日あのまま寝ちゃったからさ、寮長に頼んで、ここへ泊めてもらったの」
「あ…、そっか、ごめん!わざわざ、ありがとう…」
「俺ら、朝飯食いにいくけど」
「いいよ、朝はいつも食べないんだ、だから」
「は?何言ってんの、朝はちゃんと食わねーと」
樫原君は先生を引き摺って、寮の食堂に連行する。
食堂では、他の部員たちがもう朝食を取っていた。
「おはようございます!!!」
みんなの挨拶に圧倒されながら、先生は思った。
隅っこに座って、邪魔にならないようにお茶だけ…
と、思ったら、
「はい、先生のぶん!」
樫原君が勝手に運んできた。
パン、スープ、サラダ、と、カレー?
「こ、こ、こんなに食べるの?」
「はい、この倍は食べます!」
確かに…山盛りのカレー、または山盛りのカレーが盛られていたであろうお皿が皆の前に置かれている。
先生は目の前の「人間」の生徒に言われ、黙るしか無かった。
…………
ちびちびとスープ(具沢山)を飲んで、何とかパンを詰め込み、残りを回りの生徒が食べてくれて、ようやく朝食が終わる。
食べるだけで疲れる…、でも、着替えに帰らないと…と、重いお腹をさすりつつ、寮長に挨拶とお礼を言って、帰ろうとすると、そこに…
小田君…と、矢吹君?
「高原先生、俺ら、先祖がえり連中で、折り入ってご相談がありましてですね…へへ」
「えへへ、ちょっと、ちょっとだけいいすか」
「え…何…?」
小田君も矢吹君も…怪しい。
「いやね、そのー…樫原、お前も来い」
「あ、はい」
サッカー部の獣人3人組が、先生を取り囲む。
「そのー、ちょっと、取引…しません?」
「と、とりひき?」
「あー、えっとね、先生…」
彼らが言う取引とは……
・週1回、みんなに血を分けて欲しい
・代わりに樫原君を思う存分モフモフしていい
という謎の内容だった。
「週1回って……それ、大丈夫なの?中毒とか、依存症とか、ドーピングとか…ならないの?」
「大丈夫っすよ、公式試合でも国際試合でも認められてるんす、魔素の補給って。競技の前は駄目っすけど、後ならいいんだって、部長も言ってたっす」
サッカー部の部長は、元プロ選手の人らしい。
部長が生徒でなくて他にいるなんて、やはり強豪は違う…。
「うーん…考えとく…」
「「「お願いします!」」」
----------
さすがに今日は朝のジョギングを諦め、着替えを取りに帰って、職員会議に出たあと、樫原君たちから相談された内容について調べようと職員室でパソコンをつけ、インターネットで検索していると…
「せんせー!」
「あ、おはよう」
野球部員が1人、職員室に訪ねてきた。
「これ、昼飯に食って」
「えっ?」
「体力つけてさ、野球部の顧問、来年も再来年もやってよ、ね!」
「え、あ、ありがとう…」
「じゃ!」
急に野球部の生徒が来て、オニギリを渡された。
朝もあんなに食べたし、お昼のゼリー飲料もちゃんと持ってきてるのに…困ったな。
「…頑張って食べるか…」
昨日、ゼリー飲料で腹いっぱいの話をしたから、心配してるのかな…。
悪いことしちゃったなぁ。
それにしても…
「何か、やたら食べろって言われるなぁ」
そんなに、ゼリー飲料だけって、変かな…
普通っぽい人に、聞いてみるか。
高原先生は隣の席の教師に聞いた。
「あの、朝って、食べます?」
「もちろん!食べますよ!」
「あのー、それって…普通なんですか?」
「それはもちろん!当然ですよ!」
「お昼、ゼリー飲料だけって、普通ですよね?」
「そうですね!ダイエットしてるならそういう人もいるのかな!おすすめしませんけどね!
高原先生は痩せたいんですか!朝もジョギングしてるでしょ!」
「いや、あれは体力を付けようと思って…」
教師は怪訝な顔をする。
「体力つけたいから走ってるのにゼリー飲料しか飲まないなんて!駄目ですよ!体力をつけるには筋力!筋力にはプロテインですよ!」
「ぷ、ぷろていん?」
教師は立ち上がり、腰に手を当てて胸を張る。
「商店街にスポーツ用品店あるでしょ!あそこで色々売ってますよ!おすすめはバナナ味かな!
高原先生の好きなイチゴ味もありますよ!」
「えっ?」
「前イチゴミルク飲んでたでしょ!」
「あ、あれは貰ったから…」
「そうですか!まあ体力=筋力=プロテイン!そして正しいトレーニング!それさえあれば3ヶ月でデカくなりますよ!どうです!放課後に1杯!」
「あ、や、お酒は…」
「違いますよ!プロテインですよ!」
高原先生は「この人はプロテインがよっぽど好きなんだな」…と解釈し、とりあえず、プロテイン、買ってみます…と言って、授業の準備に取り掛かる。
「さて、今日は1組からか…」
調べ物は後にして、予鈴の前に動き出す。
お腹が苦しい…でも生徒たちが良かれと思って…
ふう、ふう、プロテインはともかく、野球のユニフォームは買わないといけないから、商店街に行ってみよう、キャプテンさんに話を聞いたら、普通がわかるかもしれないし、あ、でも今日特別授業の日か、商店街って何時まで開いてるのかな…
「何だか最近、忙しいな~」
しかし、忙しいのが、楽しい。
充実してる…そんな感じが、する。
………
そして、翌日から、
朝のジョギング後にサッカー部からサンドイッチをもらい、それを何とか食べ終わると、今度はお昼ごはんにと野球部からオニギリを貰い、お昼には隣の教師から筋肉雑誌を押し付けられる日々が始まるのだった。
高原先生は見覚えのない場所で目を覚ました。
「あっ、先生、起きた?」
「か…しはら、くん?ここは?」
「サッカー部の寮だよ!
先生、昨日あのまま寝ちゃったからさ、寮長に頼んで、ここへ泊めてもらったの」
「あ…、そっか、ごめん!わざわざ、ありがとう…」
「俺ら、朝飯食いにいくけど」
「いいよ、朝はいつも食べないんだ、だから」
「は?何言ってんの、朝はちゃんと食わねーと」
樫原君は先生を引き摺って、寮の食堂に連行する。
食堂では、他の部員たちがもう朝食を取っていた。
「おはようございます!!!」
みんなの挨拶に圧倒されながら、先生は思った。
隅っこに座って、邪魔にならないようにお茶だけ…
と、思ったら、
「はい、先生のぶん!」
樫原君が勝手に運んできた。
パン、スープ、サラダ、と、カレー?
「こ、こ、こんなに食べるの?」
「はい、この倍は食べます!」
確かに…山盛りのカレー、または山盛りのカレーが盛られていたであろうお皿が皆の前に置かれている。
先生は目の前の「人間」の生徒に言われ、黙るしか無かった。
…………
ちびちびとスープ(具沢山)を飲んで、何とかパンを詰め込み、残りを回りの生徒が食べてくれて、ようやく朝食が終わる。
食べるだけで疲れる…、でも、着替えに帰らないと…と、重いお腹をさすりつつ、寮長に挨拶とお礼を言って、帰ろうとすると、そこに…
小田君…と、矢吹君?
「高原先生、俺ら、先祖がえり連中で、折り入ってご相談がありましてですね…へへ」
「えへへ、ちょっと、ちょっとだけいいすか」
「え…何…?」
小田君も矢吹君も…怪しい。
「いやね、そのー…樫原、お前も来い」
「あ、はい」
サッカー部の獣人3人組が、先生を取り囲む。
「そのー、ちょっと、取引…しません?」
「と、とりひき?」
「あー、えっとね、先生…」
彼らが言う取引とは……
・週1回、みんなに血を分けて欲しい
・代わりに樫原君を思う存分モフモフしていい
という謎の内容だった。
「週1回って……それ、大丈夫なの?中毒とか、依存症とか、ドーピングとか…ならないの?」
「大丈夫っすよ、公式試合でも国際試合でも認められてるんす、魔素の補給って。競技の前は駄目っすけど、後ならいいんだって、部長も言ってたっす」
サッカー部の部長は、元プロ選手の人らしい。
部長が生徒でなくて他にいるなんて、やはり強豪は違う…。
「うーん…考えとく…」
「「「お願いします!」」」
----------
さすがに今日は朝のジョギングを諦め、着替えを取りに帰って、職員会議に出たあと、樫原君たちから相談された内容について調べようと職員室でパソコンをつけ、インターネットで検索していると…
「せんせー!」
「あ、おはよう」
野球部員が1人、職員室に訪ねてきた。
「これ、昼飯に食って」
「えっ?」
「体力つけてさ、野球部の顧問、来年も再来年もやってよ、ね!」
「え、あ、ありがとう…」
「じゃ!」
急に野球部の生徒が来て、オニギリを渡された。
朝もあんなに食べたし、お昼のゼリー飲料もちゃんと持ってきてるのに…困ったな。
「…頑張って食べるか…」
昨日、ゼリー飲料で腹いっぱいの話をしたから、心配してるのかな…。
悪いことしちゃったなぁ。
それにしても…
「何か、やたら食べろって言われるなぁ」
そんなに、ゼリー飲料だけって、変かな…
普通っぽい人に、聞いてみるか。
高原先生は隣の席の教師に聞いた。
「あの、朝って、食べます?」
「もちろん!食べますよ!」
「あのー、それって…普通なんですか?」
「それはもちろん!当然ですよ!」
「お昼、ゼリー飲料だけって、普通ですよね?」
「そうですね!ダイエットしてるならそういう人もいるのかな!おすすめしませんけどね!
高原先生は痩せたいんですか!朝もジョギングしてるでしょ!」
「いや、あれは体力を付けようと思って…」
教師は怪訝な顔をする。
「体力つけたいから走ってるのにゼリー飲料しか飲まないなんて!駄目ですよ!体力をつけるには筋力!筋力にはプロテインですよ!」
「ぷ、ぷろていん?」
教師は立ち上がり、腰に手を当てて胸を張る。
「商店街にスポーツ用品店あるでしょ!あそこで色々売ってますよ!おすすめはバナナ味かな!
高原先生の好きなイチゴ味もありますよ!」
「えっ?」
「前イチゴミルク飲んでたでしょ!」
「あ、あれは貰ったから…」
「そうですか!まあ体力=筋力=プロテイン!そして正しいトレーニング!それさえあれば3ヶ月でデカくなりますよ!どうです!放課後に1杯!」
「あ、や、お酒は…」
「違いますよ!プロテインですよ!」
高原先生は「この人はプロテインがよっぽど好きなんだな」…と解釈し、とりあえず、プロテイン、買ってみます…と言って、授業の準備に取り掛かる。
「さて、今日は1組からか…」
調べ物は後にして、予鈴の前に動き出す。
お腹が苦しい…でも生徒たちが良かれと思って…
ふう、ふう、プロテインはともかく、野球のユニフォームは買わないといけないから、商店街に行ってみよう、キャプテンさんに話を聞いたら、普通がわかるかもしれないし、あ、でも今日特別授業の日か、商店街って何時まで開いてるのかな…
「何だか最近、忙しいな~」
しかし、忙しいのが、楽しい。
充実してる…そんな感じが、する。
………
そして、翌日から、
朝のジョギング後にサッカー部からサンドイッチをもらい、それを何とか食べ終わると、今度はお昼ごはんにと野球部からオニギリを貰い、お昼には隣の教師から筋肉雑誌を押し付けられる日々が始まるのだった。
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