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箱庭でのせいかつ
猫神様の来訪 2
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フクが一匹の猫を恭しく部屋へ放した。
プラチナの毛色の気品あふれる猫ちゃんだ。
猫ちゃんは尻尾を揺らしながらゆっくりとこっちへやってくる…
「ご主人、こちらが猫神様だ。
会った事があるだろう?」
「う、うん、ある…
ある、けど……」
猫ちゃんは僕の膝を右手でトンと押さえた。
座れ、膝に乗せろ…という圧を感じる。
僕はそれに従って、正座をする。
すると猫ちゃんはべしべしと僕の脚を叩いてくる。
「ご主人、正座ではなく胡坐だ」
「え、えええ……」
フクは猫ちゃんの言葉を代弁しているらしい。
猫ちゃんはなおもべしべしと僕の脚を叩く。
僕は足を崩して胡坐を組む…
そこへ猫ちゃんはやってきてよっこらせと寝ころぶ。
ああ、そういえばこんな感じだった。
あの神社でもこうして…
僕は無意識に猫ちゃんを撫でた。
「……綺麗な猫ちゃん」
「神様だぞ」
「じゃあ綺麗な神様……」
「うむ、もっと撫でろ。気持ちがいい」
ゆっくり優しく撫でる。
「ふむ…やはり落ち着く」
「そうですか?」
すると猫ちゃんは急に頭を持ち上げて僕の顔を見てから、くわっと口を開けた。
「神の言う事に間違いはない!」
「あっ、はい!」
やばい。
急に緊張してきた。
この猫ちゃん、本当に神様なんだ…!
猫ちゃん改め猫神様は僕に言う。
「…現世で色々あったんじゃろう?」
「はい…色々と」
「あっちの神に『45歳で死ぬ』と聞いたとき、あまり幸せでない人生になるだろうと思ってな」
「そう…でしたか」
「…こっちはどうだ?
お主の好みに合っておるか」
「ええ、とても…豊かな生活をさせて頂いてます」
僕は緊張しながら受け答えをする。
すると、猫神様は僕をちろりと見て言った。
「夜のほうもか?」
「えっ!え、ええ……はい」
「なら良かった。
倦む事無く生きよ、私からはそれだけだ」
「ありがとうございます…」
それから猫神様は、僕が出て行ってからの神社の様子を教えてくれた。
僕が去ってから暫くは何も起きなかったが、昨今の猫ブームに乗ったのか急に人が増えたらしい。
「神社までの道もキレイに柵がついてな、道を迷わんようになっておるわ」
「へえ…良かったですね」
「落ち着かん場所になってしまったが、賽銭と捧げものは増えたからな。
わしが喰いきれんものはこっちへ回しておる。
カツオ節や煮干しみたいな腐らないものはな」
「あっ、そうだったんですか!?」
「そうだ、しかし高級猫缶とちゅー○はやらんぞ」
どうやら猫神様は半分くらい猫らしい。
うちにあるカツオ節と煮干しの謎が急に解けてしまった。
「そういえば、畑で採れない物はどこから来ているんだろうと思っていたんです」
「ほほ、謎が少し解けたか」
「はい」
猫神様はそこまで話すとふわあ…と欠伸をし、寝てしまった。
これは…気に入られたって事で良いんだろうか?
「……」
何となく僕はまた猫神様を撫でた。
脚が痺れて動けなくなるまで、僕はずっとそうしていた。
プラチナの毛色の気品あふれる猫ちゃんだ。
猫ちゃんは尻尾を揺らしながらゆっくりとこっちへやってくる…
「ご主人、こちらが猫神様だ。
会った事があるだろう?」
「う、うん、ある…
ある、けど……」
猫ちゃんは僕の膝を右手でトンと押さえた。
座れ、膝に乗せろ…という圧を感じる。
僕はそれに従って、正座をする。
すると猫ちゃんはべしべしと僕の脚を叩いてくる。
「ご主人、正座ではなく胡坐だ」
「え、えええ……」
フクは猫ちゃんの言葉を代弁しているらしい。
猫ちゃんはなおもべしべしと僕の脚を叩く。
僕は足を崩して胡坐を組む…
そこへ猫ちゃんはやってきてよっこらせと寝ころぶ。
ああ、そういえばこんな感じだった。
あの神社でもこうして…
僕は無意識に猫ちゃんを撫でた。
「……綺麗な猫ちゃん」
「神様だぞ」
「じゃあ綺麗な神様……」
「うむ、もっと撫でろ。気持ちがいい」
ゆっくり優しく撫でる。
「ふむ…やはり落ち着く」
「そうですか?」
すると猫ちゃんは急に頭を持ち上げて僕の顔を見てから、くわっと口を開けた。
「神の言う事に間違いはない!」
「あっ、はい!」
やばい。
急に緊張してきた。
この猫ちゃん、本当に神様なんだ…!
猫ちゃん改め猫神様は僕に言う。
「…現世で色々あったんじゃろう?」
「はい…色々と」
「あっちの神に『45歳で死ぬ』と聞いたとき、あまり幸せでない人生になるだろうと思ってな」
「そう…でしたか」
「…こっちはどうだ?
お主の好みに合っておるか」
「ええ、とても…豊かな生活をさせて頂いてます」
僕は緊張しながら受け答えをする。
すると、猫神様は僕をちろりと見て言った。
「夜のほうもか?」
「えっ!え、ええ……はい」
「なら良かった。
倦む事無く生きよ、私からはそれだけだ」
「ありがとうございます…」
それから猫神様は、僕が出て行ってからの神社の様子を教えてくれた。
僕が去ってから暫くは何も起きなかったが、昨今の猫ブームに乗ったのか急に人が増えたらしい。
「神社までの道もキレイに柵がついてな、道を迷わんようになっておるわ」
「へえ…良かったですね」
「落ち着かん場所になってしまったが、賽銭と捧げものは増えたからな。
わしが喰いきれんものはこっちへ回しておる。
カツオ節や煮干しみたいな腐らないものはな」
「あっ、そうだったんですか!?」
「そうだ、しかし高級猫缶とちゅー○はやらんぞ」
どうやら猫神様は半分くらい猫らしい。
うちにあるカツオ節と煮干しの謎が急に解けてしまった。
「そういえば、畑で採れない物はどこから来ているんだろうと思っていたんです」
「ほほ、謎が少し解けたか」
「はい」
猫神様はそこまで話すとふわあ…と欠伸をし、寝てしまった。
これは…気に入られたって事で良いんだろうか?
「……」
何となく僕はまた猫神様を撫でた。
脚が痺れて動けなくなるまで、僕はずっとそうしていた。
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