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箱庭でのせいかつ
スミと和解(?)する
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畑の様子を見てから田んぼのほうへ行く。
植えられた苗も元気だし、張られた水も綺麗だ。
「懐かしいな…」
「ご主人はこういった場所が好きなのか?」
「うん、田舎で生まれたからね」
だけど自分の性癖に気付いてから、実家には居づらくなった。
うちの田舎では、長男のくせに結婚しないで一生独り身でいるのは家の恥だったから…
そのうち女の人を紹介されて結婚させられると思うと、まだ見ぬその子に申し訳なくて…逃げた。
「子どものときは、山や川で遊んだり…
田んぼでザリガニ取ったりしてたな」
特にアメリカザリガニは稲を切ってしまったりするから、見つけ次第捕まえる様にって言われてたし。
じいちゃんなんか茹でで食べてたしな…
懐かしいな。
「あの神社の事は覚えておられるか?」
「うん、掃除のとき以外でも時々行ってた…
高校の時に自分の性癖に気付いてからは、特に」
時々煮干しを持って行って、そこに住んでる猫ちゃんにあげて…その子に悩みを打ち明けたりした。
「なるほど、それで猫神様がご主人の事を良くご存じだったのだな」
「神様だ、なんて知らなかったから…
気品のある猫ちゃんだなとは思ってたけど」
何だか不思議な縁だな。
「そのおかげで、我らがご主人と出会えたのだ。
良い事だ…さて、池のほうへも行ってみるか?」
「うん」
田んぼの奥のちょっとした土手を登ると、大きな池があった。農地の灌漑用にあるというため池には、鯉が数匹泳いでいた。
「時々魚を食べたい時もあるだろうから、こうして養殖することにしたのだ」
「なるほど…」
「釣って楽しむこともできるぞ」
そんな話をしながらフクと池の周りを散策していると…
「あれ?ボタン、スミ」
「あっ…」「あっ!」
ちょうどお屋敷から出てきたらしい2人が見えた。
僕の姿を見て、スミが駆け寄ってくる…
ボタンはいつの間にかいなくなってる。
「ごーしゅじん!いい匂いするぅ~!」
「……そうかな」
「うん、落ち着くにおい~」
スンスン、と鼻を鳴らしてヘソあたりを嗅ぐ。
ヘソのゴマが溜まってないか気になる…。
「ねえご主人、ニワトリ見に行こ!」
「あ、うん…」
「明日は卵産むかな~、ヒヨコにならないやつ!」
「そっか、雄がいるからね」
「だって唐揚げも食べたかったんだもん!
増やさなきゃ食べられないでしょ?」
「う、うん、そうだね」
スミたちには有精卵か無精卵かが分かるらしい。
いいなあその能力。
スミは僕の手を取ってずんずん歩く。
そうだ、僕、謝らなきゃ。
「ねえ、スミ」
「なーに、ご主人?」
「人の姿になったからって、態度変えて、ごめん」
「んにゃ?」
スミは首を傾げて僕を見る。
心臓に悪いくらい可愛い。
僕は何とか言葉を紡ぐ。
「スミがね、とっても可愛い男の子だったから、僕、びっくりしたんだ」
今度は逆の方へスミは首を傾げて、聞く。
「びっくりして、それから?」
「それから…えっと、穢しちゃ駄目だって思って」
納得してないのか、また聞かれる。
「なんで?」
「その…僕の世界ではね、子どもに性的な事をするのは良くない事だったし、子どもはそういう事から守られるべき存在だったから…かな」
それだけじゃ理由として弱いのかもしれないけど、僕がスミのことを嫌いじゃないってこと、好きだってこと、どうしても伝えたかった。
「フクやボタンもだけど…とっても素敵だから、僕なんかが好きになっちゃ駄目だって、思って…。
多分だけど、夢が叶いすぎて…怖くなったんだ」
「そっかぁ…そうなんだ」
「うん」
するとスミはにっこり笑って、言った。
「ぼくたちはご主人の夢を、叶えられたんだね?」
「うん」
「これがずっと続くといいなって、思う?」
「……思うよ」
「なら良いんだ!」
そう言ってスミは、僕に飛びついてキスをした。
僕はスミが猫だったときの事を思い出して…
そのまま抱きしめて、キスを返した。
植えられた苗も元気だし、張られた水も綺麗だ。
「懐かしいな…」
「ご主人はこういった場所が好きなのか?」
「うん、田舎で生まれたからね」
だけど自分の性癖に気付いてから、実家には居づらくなった。
うちの田舎では、長男のくせに結婚しないで一生独り身でいるのは家の恥だったから…
そのうち女の人を紹介されて結婚させられると思うと、まだ見ぬその子に申し訳なくて…逃げた。
「子どものときは、山や川で遊んだり…
田んぼでザリガニ取ったりしてたな」
特にアメリカザリガニは稲を切ってしまったりするから、見つけ次第捕まえる様にって言われてたし。
じいちゃんなんか茹でで食べてたしな…
懐かしいな。
「あの神社の事は覚えておられるか?」
「うん、掃除のとき以外でも時々行ってた…
高校の時に自分の性癖に気付いてからは、特に」
時々煮干しを持って行って、そこに住んでる猫ちゃんにあげて…その子に悩みを打ち明けたりした。
「なるほど、それで猫神様がご主人の事を良くご存じだったのだな」
「神様だ、なんて知らなかったから…
気品のある猫ちゃんだなとは思ってたけど」
何だか不思議な縁だな。
「そのおかげで、我らがご主人と出会えたのだ。
良い事だ…さて、池のほうへも行ってみるか?」
「うん」
田んぼの奥のちょっとした土手を登ると、大きな池があった。農地の灌漑用にあるというため池には、鯉が数匹泳いでいた。
「時々魚を食べたい時もあるだろうから、こうして養殖することにしたのだ」
「なるほど…」
「釣って楽しむこともできるぞ」
そんな話をしながらフクと池の周りを散策していると…
「あれ?ボタン、スミ」
「あっ…」「あっ!」
ちょうどお屋敷から出てきたらしい2人が見えた。
僕の姿を見て、スミが駆け寄ってくる…
ボタンはいつの間にかいなくなってる。
「ごーしゅじん!いい匂いするぅ~!」
「……そうかな」
「うん、落ち着くにおい~」
スンスン、と鼻を鳴らしてヘソあたりを嗅ぐ。
ヘソのゴマが溜まってないか気になる…。
「ねえご主人、ニワトリ見に行こ!」
「あ、うん…」
「明日は卵産むかな~、ヒヨコにならないやつ!」
「そっか、雄がいるからね」
「だって唐揚げも食べたかったんだもん!
増やさなきゃ食べられないでしょ?」
「う、うん、そうだね」
スミたちには有精卵か無精卵かが分かるらしい。
いいなあその能力。
スミは僕の手を取ってずんずん歩く。
そうだ、僕、謝らなきゃ。
「ねえ、スミ」
「なーに、ご主人?」
「人の姿になったからって、態度変えて、ごめん」
「んにゃ?」
スミは首を傾げて僕を見る。
心臓に悪いくらい可愛い。
僕は何とか言葉を紡ぐ。
「スミがね、とっても可愛い男の子だったから、僕、びっくりしたんだ」
今度は逆の方へスミは首を傾げて、聞く。
「びっくりして、それから?」
「それから…えっと、穢しちゃ駄目だって思って」
納得してないのか、また聞かれる。
「なんで?」
「その…僕の世界ではね、子どもに性的な事をするのは良くない事だったし、子どもはそういう事から守られるべき存在だったから…かな」
それだけじゃ理由として弱いのかもしれないけど、僕がスミのことを嫌いじゃないってこと、好きだってこと、どうしても伝えたかった。
「フクやボタンもだけど…とっても素敵だから、僕なんかが好きになっちゃ駄目だって、思って…。
多分だけど、夢が叶いすぎて…怖くなったんだ」
「そっかぁ…そうなんだ」
「うん」
するとスミはにっこり笑って、言った。
「ぼくたちはご主人の夢を、叶えられたんだね?」
「うん」
「これがずっと続くといいなって、思う?」
「……思うよ」
「なら良いんだ!」
そう言ってスミは、僕に飛びついてキスをした。
僕はスミが猫だったときの事を思い出して…
そのまま抱きしめて、キスを返した。
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