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箱庭でのせいかつ
フクと一緒に菜園へ
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僕はフクに連れられて畑へ来た。
畑に来るのは高校生以来。
昔は家の畑をよく手伝いに行ってた…
土の匂いが好きだったから。
「こっちは…トマトだね」
「うむ、ご主人はトマトが好きだろう?」
「うん、大好きだよ」
「我らもご主人が大好きだぞ」
「ふえっ……」
「だから植えた」
どうやらこの白猫ダンディにからかわれたらしい。
真顔だから分かりづらいけど…
「からかってはいないぞ」
「ふわっ!?」
「好きすぎて、人の姿を取って時々働いているところを見に行ったり…話しかけてみたりもした」
「そうだったの!?」
じゃあ、あの…スーパーで働いてる時に見かけてたイケオジは、フクだったの?
「ご主人が好きな俳優とやらを分析して、好みに合わせたつもりだったが…少し年嵩過ぎただろうか」
「そんなことない!
ずっと…その、素敵な人だと、思ってた…」
「それは良かった」
そう言ってフクはにっこり笑った。
それは心臓に悪いくらいの素敵な笑顔で…
「ボタンやスミも時々そうしていたようだが」
「そうなの!?」
「スミの方は覚えていないか?」
「ううん、お菓子コーナーに時々、かわいい男の子がいたのは覚えてる」
こんなかわいい男の子のお父さんはきっと素敵な人なんだろうな…と妄想したりして、呼びに来るのを待ってみたり…。
その、アイドルを見るみたいな気持ちで、遠くから見るくらいは許されるんじゃないかって…
我ながらとてもキモい。
「そうか、良かった。
スミはかつて、猫を虐めて愉しむ輩共を退治するときにドジを踏んで捕まってな…その時に力を使い過ぎて、未だにあの姿にしかなれぬのだ。
本来なら大人の姿になれるはずの歳ではあるのだが…受け入れてやってくれぬか」
「そんな!スミはかわいいし、僕は、好き…だよ」
「しかし、情事の時に拒否を示していただろう」
「それは……だって、その」
例え見た目だけだとしても、子どもに欲情するなんてさすがに倫理に反することは…。
そうだ!
「ねえ、その力って、元に戻るの……?」
「ご主人が精を与えてくれれば、そのうちに」
せい…セイって、精…
いや、違うものかもだし!
確認しよう。確認大事。
「そのセイって、何なの?」
「精力の精…性的交歓を通じて出るモノの事だ。
ご主人の体が悦びに満ちた時に溢れるそれを摂取する事で、我らとこの地に力が満ちる。
その分こちらからもご主人に精を差し出すことで、ご主人の体はこの世に馴染み、やがて我らと我らの神にとって最良となるのだ。
最良となった後にも、それを維持するために精を循環させることが大事になる」
えっ?
ってことは、結局…その、えー、セックス、しなさいってことなのでは…?
えっ、でも、えーと、うーん…
「背徳感がなあ…」
まあ、その、ナニを見れば大人なのは分かる。
あんなに立派な……、だもの。
でも…どう見ても小学校高学年くらいだし…
「肛門性交が無理なら、舐め合うだけでも良い」
「それも大概ハードル高いよ!?」
僕がそう抗議すると、フクは微苦笑を浮かべて頭を撫でて来た。
「その調子で良い、我らはご主人の飼い猫なのだ…
但し、猫というものは主人の言う事を聞かぬものだがな」
「……そっか」
そうだな。
猫ちゃんは「お猫様」だもの。
そう思えば、今の関係は少しだけ当たっている気がする。
腹減った、かまえ、なでろ、遊べ、
その延長で…こうなってると、思えば…
「僕は、3人の飼い主ってことか」
「そうだな…勝手にするようだが、ご主人の事を想うが故なのだ。
我々はご主人を愛している、それぞれのやり方で」
そう思うと、ただ見た目が変わっただけで態度を変えるのも何だか違う気がして…
「分かった。
頑張ってみる」
今はキモくて金のないオッサンだけど…
お金はもう、いらないし。
少しずつ体も変わるんだ。
心も少しずつ変わっていて、いつか…
彼ら好みになっていければ。
僕はそう思った。
畑に来るのは高校生以来。
昔は家の畑をよく手伝いに行ってた…
土の匂いが好きだったから。
「こっちは…トマトだね」
「うむ、ご主人はトマトが好きだろう?」
「うん、大好きだよ」
「我らもご主人が大好きだぞ」
「ふえっ……」
「だから植えた」
どうやらこの白猫ダンディにからかわれたらしい。
真顔だから分かりづらいけど…
「からかってはいないぞ」
「ふわっ!?」
「好きすぎて、人の姿を取って時々働いているところを見に行ったり…話しかけてみたりもした」
「そうだったの!?」
じゃあ、あの…スーパーで働いてる時に見かけてたイケオジは、フクだったの?
「ご主人が好きな俳優とやらを分析して、好みに合わせたつもりだったが…少し年嵩過ぎただろうか」
「そんなことない!
ずっと…その、素敵な人だと、思ってた…」
「それは良かった」
そう言ってフクはにっこり笑った。
それは心臓に悪いくらいの素敵な笑顔で…
「ボタンやスミも時々そうしていたようだが」
「そうなの!?」
「スミの方は覚えていないか?」
「ううん、お菓子コーナーに時々、かわいい男の子がいたのは覚えてる」
こんなかわいい男の子のお父さんはきっと素敵な人なんだろうな…と妄想したりして、呼びに来るのを待ってみたり…。
その、アイドルを見るみたいな気持ちで、遠くから見るくらいは許されるんじゃないかって…
我ながらとてもキモい。
「そうか、良かった。
スミはかつて、猫を虐めて愉しむ輩共を退治するときにドジを踏んで捕まってな…その時に力を使い過ぎて、未だにあの姿にしかなれぬのだ。
本来なら大人の姿になれるはずの歳ではあるのだが…受け入れてやってくれぬか」
「そんな!スミはかわいいし、僕は、好き…だよ」
「しかし、情事の時に拒否を示していただろう」
「それは……だって、その」
例え見た目だけだとしても、子どもに欲情するなんてさすがに倫理に反することは…。
そうだ!
「ねえ、その力って、元に戻るの……?」
「ご主人が精を与えてくれれば、そのうちに」
せい…セイって、精…
いや、違うものかもだし!
確認しよう。確認大事。
「そのセイって、何なの?」
「精力の精…性的交歓を通じて出るモノの事だ。
ご主人の体が悦びに満ちた時に溢れるそれを摂取する事で、我らとこの地に力が満ちる。
その分こちらからもご主人に精を差し出すことで、ご主人の体はこの世に馴染み、やがて我らと我らの神にとって最良となるのだ。
最良となった後にも、それを維持するために精を循環させることが大事になる」
えっ?
ってことは、結局…その、えー、セックス、しなさいってことなのでは…?
えっ、でも、えーと、うーん…
「背徳感がなあ…」
まあ、その、ナニを見れば大人なのは分かる。
あんなに立派な……、だもの。
でも…どう見ても小学校高学年くらいだし…
「肛門性交が無理なら、舐め合うだけでも良い」
「それも大概ハードル高いよ!?」
僕がそう抗議すると、フクは微苦笑を浮かべて頭を撫でて来た。
「その調子で良い、我らはご主人の飼い猫なのだ…
但し、猫というものは主人の言う事を聞かぬものだがな」
「……そっか」
そうだな。
猫ちゃんは「お猫様」だもの。
そう思えば、今の関係は少しだけ当たっている気がする。
腹減った、かまえ、なでろ、遊べ、
その延長で…こうなってると、思えば…
「僕は、3人の飼い主ってことか」
「そうだな…勝手にするようだが、ご主人の事を想うが故なのだ。
我々はご主人を愛している、それぞれのやり方で」
そう思うと、ただ見た目が変わっただけで態度を変えるのも何だか違う気がして…
「分かった。
頑張ってみる」
今はキモくて金のないオッサンだけど…
お金はもう、いらないし。
少しずつ体も変わるんだ。
心も少しずつ変わっていて、いつか…
彼ら好みになっていければ。
僕はそう思った。
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