弟子と師匠と下剋上?

紫蘇

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第二章/深まる仲

約束のご褒美 ※ 〜エルデ視点〜

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ああ、何という佳き日!
私はタビトの下腹に描かれた淫紋を撫でた。

「これで、私の子を、タビトに…ふふふふ」

今は淡いピンク色だが、子を孕んだ瞬間にこれは黒に変わる。
私は術を受けてぐったりしているタビトをいたわろうと、軽く口づけ…………

を、するつもりが、止まれなかった。

「はぁっ………ん、はふっ……んふ」

誰だって、思春期の全てを費やして妄想を捧げた人が隣に寝ていればそうなるはずだ。


貪るようなキスを何度も交わしてから、私はタビトに言った。

「ねえ、気持ちいいこと、しましょ?」

そうだ、今日はまだセックスしてないじゃないか。
私としたことが……。
淫紋により感じる部分が増えたタビトに、新しい性感帯をたっぷりと味あわせてあげなければ。

私はタビトの下腹へ手を伸ばし、くるり、くるりとなでる。
そうするとタビトはぴくぴくと瞼を震わせ、悩まし気な息を吐く。

「ふふ…この紋の部分が感じる?」
「ん……きもちい……」
「じゃあいっぱい触って、いっぱい舐めましょうね」

私がそういうと、タビトは首を横にふるふるして反抗する。

「や、舐めるの、や…」
「どうして?」
「きもちい、すぎるの…やだ」
「気持ちいいのに?」
「おかしく、なる…ん、ふぅ、やだ…」

なんて可愛らしい理由だろう!
朝まで抱き潰してしまいたい!!

「おかしくなればいいのですよ?
 私に狂って、墜ちて、縋ってください…ね?」
「でも、僕は、君の師匠、だから」
「教え子と寝るのに抵抗が?」

すると、小さくこくりと頷くタビト。
たまらない。
タビトは可愛いの精霊なのだろうか?

「言ったでしょう?
 私はもう庇護されるような歳ではありません」
「う、うう~、でも」
「あなたが育てた弟子が、こんなに立派になって帰ってきたのです…ほら」
「う、うう……」

私の、もう子どもではないことを明確に示すそれに、タビトの手を誘う。
耳元で囁く。

「あの時した約束、覚えていますよね?」
「……っ」



そう、あの日した約束。

「私の肉棒を口に含んで、その先を舌で愛撫しつつ右手でしごきながら、ご自身のモノを左手でしごいてみせてくれますか?
 エルデの肉棒が欲しいと言って、股を開いて尻穴を指でまさぐりながら、誘ってくれますか」。


きっとタビトも覚えている。
だって、あの頃からタビトへの言葉には全て魔力を乗せているのだから。

「タビトは『いいよ』と言いましたよね?」
「……うん」
「だから…ほら、してみせて?
 ああ、お尻はこっちですよ…でないと、あなたの痴態を良く見られないでしょう?」

私は、タビトに自分の顔を跨がせるようにして四つん這いにさせ、目の前に彼のお尻とペニスが丸見えになる体勢をとらせた。

しばらくして、心を決めたのか、タビトの口がペニスの先に触れ、ゆっくりと亀頭を包む。
それだけで暴発しそうになる…、

「…この妄想だけは毎日欠かさずしていました。
 どんな苦しいことも、このご褒美があると思えば乗り越えて来られた…、ああ、心が絶頂を迎える…
 ほら、ちゃんと左手も…約束、でしょう…?」

タビトがのろのろと左手を伸ばす。
その左手がタビトの可愛いおちんちんを握り、そろそろと上下を始める。

あとは顔を見るための鏡を、ベッドの足元へ持ってくれば良いだけ。

使い魔に命じる。
【シャドー、鏡、持ってきて】
するすると鏡が所定の位置に移動する……

「ふふ、タビトの顔……やっぱりエッチで素敵だ」
「~~~!?」

私のペニスを頬張るのに一生懸命だったタビトは、鏡がやってきたことに今気がついたらしい。

「おや、興奮したのですか?
 穴がヒクヒクしていますね…やらしくて健気だ」

タビトはふるふると首をふる。
その可愛さに、私のペニスは怒張を増していく。

「いくつになっても可愛いあなたの、快楽に濡れた顔……私しか知りませんよね?」
「……っ」

抗議のつもりなのか、タビトは私のペニスをしごく手に力を入れ、ギュッと握った。

「んっ、タビト、ごめんなさい、疑ったりして」

私が謝ると、またフェラチオが再開される。

「お詫びに、乳首を弄って差し上げますね?」
「…!!」

尻を撫でていた手を、両方とも乳首へ移動させ、固くしこったそこをきゅっとつまむ。

「っあ!」

タビトの口が私のペニスから離れ、小さく叫ぶ。
摘んだ人差し指と親指を擦り合わせるようにして少しキツめに捻ると、ガクガクと身体を震わす。

「…っひ、ああっ!」

この一ヶ月でタビトの身体は変わった。
乳首だけでイケる身体になった。
精子を出さなくともイケる身体になった。

「軽くイッたみたいですね?
 ではそろそろ、最後のあれをお願いします」
「あっ…あ、んんっーー」
「自分の指で自分の蕾を解しながら…言って」


心のこもらないセリフだと知っている。
だけど虚しいとは思わない。
だってこのセリフは、タビトが私とした約束。

タビトが、私の欲望に応えてくれると、返事をしてくれた、約束の言葉だから……。
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