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第一章/馴れ初め
【回想】出所不明のエロ知識
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その日からエルデ君は変わった。
授業をじっと聞いて、分からない事は聞きに来る…
そうやって他の子との知識量の差を埋めていった。
他の子も負けじと頑張って、僕は覚えているかぎりの知識を教え、足りない分は皆で話し合ったり考えたり、時には学友の方々に尋ねてみたり…。
切磋琢磨、という言葉が一番良く合うような充実した時を過ごした。
エルデ君は魔力の量が多かったこともあって、質を上げれば当たり前のように魔法が上手くなった。
預けられてから3年で僕を追い越してしまったので、帝都の学校へ編入することを進めたけれど、彼は僕の塾のほうが良いと言って聞かなかった。
僕の私塾には僕の他に先生が居ないので上の子が下の子の勉強を見るようにしていたのだけど、彼は人に教える事は苦手なようだった。
将来は魔法で身を立てる事になるだろうな。
うん、ひとかどの人物になることは間違いない。
もしかしたら帝国一の魔導師…筆頭魔導師になれるかもしれない。
僕はザイン様に手紙を書いた。
「将来有望な魔導師が育ちそうです」
***
彼がもうすぐ成人を迎える頃、僕は彼と進路相談をした。
エルデ君は言った。
「この塾で教師をしたいです」
僕は慌てて言った。
「駄目だよ、こんなところで働くなんて…そんな人生を浪費していい人間じゃない、エルデ君は!
もっと多くの人たちに資する仕事をすべきだよ」
だけど彼は譲らなかった。
「私は多くの他人より、愛するあなたを助けたい」
そして続けた。
「そしてご褒美に毎日キス…もちろん舌を絡めて唾液を交換しあう濃厚なやつをして下さい。
そうしたらお返しに、あなたの小ぶりでエロいお尻の割れ目にある控えめな蕾に、猛る私自身を突き立てて、奥の奥まで何度も突いて、快楽の渦に落として差し上げます」
「……エルデ君」
「もちろん、前戯も完璧です。
ちゃんと乳首も摘んで、弾いて、吸って、噛んで、舐め回します。
それどころか全身余すところなく舐め回して性感帯を探り出し、愛撫します。
挿入前にはしっかり指で解しつつ前立腺を刺激して、私の肉棒でなければ静まらない昂りを感じさせます」
「……」
困った事に、成長した彼は僕を口説くようになっていた。
やたら熱烈で・長文で・欲望むき出しでだ。
その言葉を、僕はあまり深く受け止めなかった…
受け止める訳にはいかなかった。
彼も庶子とはいえ帝国貴族の血を引く人物。
その上、これほどの才能がある人間だ。
彼の血を後世に受け継がない事は許されない。
同性婚は、子どもを作らなくても差し支えない者同士でなければ許されない、と定められている。
結婚しないで体を繋げる相手、それすなわち愛人…
いや、ただの性欲処理係かも……。
そんなの、嫌だ。
弟子にまでそんな風に扱われたら生きていけない。
なけなしだけど、僕にもプライドがあるのだ。
僕は彼に繰り返し言った。
「エルデ君、それは駄目です」
「なぜですか」
「君ほどの魔法使いは貴重だからです、才能ある者は、居るべき場所があります」
「嫌です」
「…嫌です、ではありません。
ここに残る事は許しません。
僕は、みんなを輝かしい場所へ送り出すことが使命なんだから」
「私の輝かしい場所はここ、問題ありません」
んもう、ああいえばこう言う…。
仕方が無い、ちゃんと事情を説明するしかないか。
自分が卑屈になるようで、嫌だけど……。
「貧しい属国の生まれで、しかも平民である僕は、身分で言えば帝国の貧民以下だ。
その僕が帝都で私塾を開いているのを、良く思わない人が沢山いて、どうにかしてここを潰そうといつも狙っているんだよ。
この塾は、そんなに良いところじゃない。
僕の他に先生がいないのも、ここが職場としてあまりに不安定すぎるからで…」
「それなら益々私が師匠の側にいるべきです。
私が一生、師匠もこの塾も守ります」
……埒が開かない。
こうなったらもう、仕方がない。
多少強引でも、出て行かせるしか……。
僕は優しい口調を止め、彼に命令した。
「君が進路を選ばないなら、僕が決める。
帝国最高峰の魔術師が集まるという白鷲魔導師団に入団して、頂点に昇りつめる。
この帝国を守る白き鷲の翼になるんだ。
…いいね」
エルデ君は黙った。
暫く黙って、頷いて、それから言った。
「…それを成したら、ご褒美をくれますか?」
「…は?」
「お互いの口の中を舌で犯し合うようなキスをした後、拙いながらも私を悦ばせようと必死に私の肉棒を口に含んで、その先を舌で愛撫しつつ右手でしごきながら、ご自身のモノを左手でしごいてみせてくれますか?
エルデの肉棒が欲しいと言って、股を開いて尻穴を指でまさぐりながら、誘ってくれますか」
…どこまでもこの調子だ。
僕は真剣な話をしているというのに。
「はあ……」
でも、これを拒んだら、僕は彼の希望を何も叶えてあげられなくなる。
一回だけなら、いいか…。
僕はエルデ君に言った。
「……分かった」
「ならば必ず10年以内にそれを達成してみせます」
「あ、ああ、うん…期待、してる」
その「期待してる」が、彼の頭の中でどう処理されたのかは分からないが、彼は言った。
「はい、師匠……いえ、タビト。
待っていてください…愛しています」
授業をじっと聞いて、分からない事は聞きに来る…
そうやって他の子との知識量の差を埋めていった。
他の子も負けじと頑張って、僕は覚えているかぎりの知識を教え、足りない分は皆で話し合ったり考えたり、時には学友の方々に尋ねてみたり…。
切磋琢磨、という言葉が一番良く合うような充実した時を過ごした。
エルデ君は魔力の量が多かったこともあって、質を上げれば当たり前のように魔法が上手くなった。
預けられてから3年で僕を追い越してしまったので、帝都の学校へ編入することを進めたけれど、彼は僕の塾のほうが良いと言って聞かなかった。
僕の私塾には僕の他に先生が居ないので上の子が下の子の勉強を見るようにしていたのだけど、彼は人に教える事は苦手なようだった。
将来は魔法で身を立てる事になるだろうな。
うん、ひとかどの人物になることは間違いない。
もしかしたら帝国一の魔導師…筆頭魔導師になれるかもしれない。
僕はザイン様に手紙を書いた。
「将来有望な魔導師が育ちそうです」
***
彼がもうすぐ成人を迎える頃、僕は彼と進路相談をした。
エルデ君は言った。
「この塾で教師をしたいです」
僕は慌てて言った。
「駄目だよ、こんなところで働くなんて…そんな人生を浪費していい人間じゃない、エルデ君は!
もっと多くの人たちに資する仕事をすべきだよ」
だけど彼は譲らなかった。
「私は多くの他人より、愛するあなたを助けたい」
そして続けた。
「そしてご褒美に毎日キス…もちろん舌を絡めて唾液を交換しあう濃厚なやつをして下さい。
そうしたらお返しに、あなたの小ぶりでエロいお尻の割れ目にある控えめな蕾に、猛る私自身を突き立てて、奥の奥まで何度も突いて、快楽の渦に落として差し上げます」
「……エルデ君」
「もちろん、前戯も完璧です。
ちゃんと乳首も摘んで、弾いて、吸って、噛んで、舐め回します。
それどころか全身余すところなく舐め回して性感帯を探り出し、愛撫します。
挿入前にはしっかり指で解しつつ前立腺を刺激して、私の肉棒でなければ静まらない昂りを感じさせます」
「……」
困った事に、成長した彼は僕を口説くようになっていた。
やたら熱烈で・長文で・欲望むき出しでだ。
その言葉を、僕はあまり深く受け止めなかった…
受け止める訳にはいかなかった。
彼も庶子とはいえ帝国貴族の血を引く人物。
その上、これほどの才能がある人間だ。
彼の血を後世に受け継がない事は許されない。
同性婚は、子どもを作らなくても差し支えない者同士でなければ許されない、と定められている。
結婚しないで体を繋げる相手、それすなわち愛人…
いや、ただの性欲処理係かも……。
そんなの、嫌だ。
弟子にまでそんな風に扱われたら生きていけない。
なけなしだけど、僕にもプライドがあるのだ。
僕は彼に繰り返し言った。
「エルデ君、それは駄目です」
「なぜですか」
「君ほどの魔法使いは貴重だからです、才能ある者は、居るべき場所があります」
「嫌です」
「…嫌です、ではありません。
ここに残る事は許しません。
僕は、みんなを輝かしい場所へ送り出すことが使命なんだから」
「私の輝かしい場所はここ、問題ありません」
んもう、ああいえばこう言う…。
仕方が無い、ちゃんと事情を説明するしかないか。
自分が卑屈になるようで、嫌だけど……。
「貧しい属国の生まれで、しかも平民である僕は、身分で言えば帝国の貧民以下だ。
その僕が帝都で私塾を開いているのを、良く思わない人が沢山いて、どうにかしてここを潰そうといつも狙っているんだよ。
この塾は、そんなに良いところじゃない。
僕の他に先生がいないのも、ここが職場としてあまりに不安定すぎるからで…」
「それなら益々私が師匠の側にいるべきです。
私が一生、師匠もこの塾も守ります」
……埒が開かない。
こうなったらもう、仕方がない。
多少強引でも、出て行かせるしか……。
僕は優しい口調を止め、彼に命令した。
「君が進路を選ばないなら、僕が決める。
帝国最高峰の魔術師が集まるという白鷲魔導師団に入団して、頂点に昇りつめる。
この帝国を守る白き鷲の翼になるんだ。
…いいね」
エルデ君は黙った。
暫く黙って、頷いて、それから言った。
「…それを成したら、ご褒美をくれますか?」
「…は?」
「お互いの口の中を舌で犯し合うようなキスをした後、拙いながらも私を悦ばせようと必死に私の肉棒を口に含んで、その先を舌で愛撫しつつ右手でしごきながら、ご自身のモノを左手でしごいてみせてくれますか?
エルデの肉棒が欲しいと言って、股を開いて尻穴を指でまさぐりながら、誘ってくれますか」
…どこまでもこの調子だ。
僕は真剣な話をしているというのに。
「はあ……」
でも、これを拒んだら、僕は彼の希望を何も叶えてあげられなくなる。
一回だけなら、いいか…。
僕はエルデ君に言った。
「……分かった」
「ならば必ず10年以内にそれを達成してみせます」
「あ、ああ、うん…期待、してる」
その「期待してる」が、彼の頭の中でどう処理されたのかは分からないが、彼は言った。
「はい、師匠……いえ、タビト。
待っていてください…愛しています」
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