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収まるべきところへ
最後の学園生活
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卒業したら結婚。
だから、今のうちに片付けるべき事が山ほど…
「こればっかりは、俺が作ったって事が大事だもんな」
「まあ、そのプレミア感に金出してもらうんだからそうなるだろうな」
まずはミリエッタさんに渡したネックレスの量産。
初回販売は50。
オークションにかけて、高値で取引出来たら…
「と言っても旅の間に作った分もあるし、間に合うと思うけどね」
「それなら良かった。
ところで、そろそろ寝ないと…」
「明日も学校、でしょ?
親父もそろそろ、リリアンナの授乳…」
「そうだな、行ってくる…お休み、有翔」
「お休み」
最近親父と話す内容は、大体仕事のこと。
俺も卒業したら魔術塔で働くんだって。
カリーナ様の仕事は、セジュールとミリエッタさんが新しく部署を立ち上げてやってくれるみたい。
その他の事もとっても至れり尽くせりで、グヴェン様が言ってた「俺がダリル様と結婚するためにみんなが準備してる」って話は本当だったんだなって…
実際のところ、親父の後の魔術局長に誰もなりたがらないからっていう理由もあるみたいだけど…
ヨークさんじゃ駄目なのかな。
……駄目だろうな。
あんなに書類事でダメ出しされてるもん。
「さて、寝るか…」
明日もお守りの講習会をやらなきゃだしな!
***
朝登校して、授業を受けて、昼飯をダリル様と食べて、また授業。
そして放課後は学生寮…
「こういう生活も、あと少しで終わりなんだな」
「そうですね、そう思うと感慨深いです」
俺はセジュールと一緒に寮までの道を歩く。
「セジュールは3年も飛び級したじゃん?
学園生活が短すぎて不満って事はないの?
ほら、同級生も3歳年上になるし」
「でもミリエッタさんも一緒なので…
実は、話が合う同級生がミリエッタさん以外にあまりいなくてですね」
「う~ん、賢すぎるのも問題だなぁ」
セジュールが飛び級した段階で、実は1年飛び級していたミリエッタさん。
その後テストの度にポンポンと飛び級をかまし、いつの間にか俺と同じ学年になってしまった。
さすが元弁護士、頭の造りが違う。
「そういえば、今日ミリエッタさんは?」
「ええ、王宮へ出仕して、カリーナ様からお仕事の内容を教えて頂くそうです」
「そうなんだ、最近多いね」
「四月の人事でいきなり王室補佐局ってなるより、今のうちから周りを慣らしておいた方が良いって事で」
「そう言えば初の女性官吏か…大変そうだね」
またしょーもない奴らが出てきて、そいつらが首になって人手不足になって…っていう負のサイクルだけは避けていきたい。
「まずはお掃除ロボから始めよう…」
「お掃除ろぼ?」
「そう、床掃除だけでも魔法道具が勝手にやってくれたら楽じゃない?」
「ああ…掃除係も足りないんでしたっけ」
俺の卒業と同時に、今来ている留学生はみんな国へ帰ってしまう。
そうしてまた新しい留学生が来て、オーセンという国を見張るのだ。
前の王様のやらかし…
ざっくり言うと、女と金?
よその国の侍女に強姦まがいのセクハラを働き、その上「この事は黙っておいてやるから金を払え」と脅すとか、外遊先の女の子を拉致して帰ろうとするとか、何かと言えば俺は魔法が使えるんだぞと言って人を脅すとか…
そういうのが積み重なって「次に何かしでかしたら滅ぼすからね?」ってはっきり言われちゃってるし言っちゃってるから、爵位お高めの留学生が見張り役でやってくるんだって。
「新しい風が吹くねぇ」
「僕らも時代の波に取り残されないようにしないといけませんね」
「そうだね、早いとこ信頼回復しないとな」
「ええ…」
世襲制ってのは大変だ。
次の次の王様をちゃんとした子に育てないといけないし、その為には周りの環境も整えなきゃいけないし…。
「女性進出か…」
いつかこの世界にも、女王が誕生する日が来るんだろうな。
そんな事を考えながら、俺は学生寮の門の前に立ち…
「さて、みんな揃ってるかな」
「ええ、きっともうお揃いでしょう」
意外とみんな器用だから、そろそろ講習も終わりにできそうだ。
卒業まであと少し…
みんなといられるのも、あと少しだな。
だから、今のうちに片付けるべき事が山ほど…
「こればっかりは、俺が作ったって事が大事だもんな」
「まあ、そのプレミア感に金出してもらうんだからそうなるだろうな」
まずはミリエッタさんに渡したネックレスの量産。
初回販売は50。
オークションにかけて、高値で取引出来たら…
「と言っても旅の間に作った分もあるし、間に合うと思うけどね」
「それなら良かった。
ところで、そろそろ寝ないと…」
「明日も学校、でしょ?
親父もそろそろ、リリアンナの授乳…」
「そうだな、行ってくる…お休み、有翔」
「お休み」
最近親父と話す内容は、大体仕事のこと。
俺も卒業したら魔術塔で働くんだって。
カリーナ様の仕事は、セジュールとミリエッタさんが新しく部署を立ち上げてやってくれるみたい。
その他の事もとっても至れり尽くせりで、グヴェン様が言ってた「俺がダリル様と結婚するためにみんなが準備してる」って話は本当だったんだなって…
実際のところ、親父の後の魔術局長に誰もなりたがらないからっていう理由もあるみたいだけど…
ヨークさんじゃ駄目なのかな。
……駄目だろうな。
あんなに書類事でダメ出しされてるもん。
「さて、寝るか…」
明日もお守りの講習会をやらなきゃだしな!
***
朝登校して、授業を受けて、昼飯をダリル様と食べて、また授業。
そして放課後は学生寮…
「こういう生活も、あと少しで終わりなんだな」
「そうですね、そう思うと感慨深いです」
俺はセジュールと一緒に寮までの道を歩く。
「セジュールは3年も飛び級したじゃん?
学園生活が短すぎて不満って事はないの?
ほら、同級生も3歳年上になるし」
「でもミリエッタさんも一緒なので…
実は、話が合う同級生がミリエッタさん以外にあまりいなくてですね」
「う~ん、賢すぎるのも問題だなぁ」
セジュールが飛び級した段階で、実は1年飛び級していたミリエッタさん。
その後テストの度にポンポンと飛び級をかまし、いつの間にか俺と同じ学年になってしまった。
さすが元弁護士、頭の造りが違う。
「そういえば、今日ミリエッタさんは?」
「ええ、王宮へ出仕して、カリーナ様からお仕事の内容を教えて頂くそうです」
「そうなんだ、最近多いね」
「四月の人事でいきなり王室補佐局ってなるより、今のうちから周りを慣らしておいた方が良いって事で」
「そう言えば初の女性官吏か…大変そうだね」
またしょーもない奴らが出てきて、そいつらが首になって人手不足になって…っていう負のサイクルだけは避けていきたい。
「まずはお掃除ロボから始めよう…」
「お掃除ろぼ?」
「そう、床掃除だけでも魔法道具が勝手にやってくれたら楽じゃない?」
「ああ…掃除係も足りないんでしたっけ」
俺の卒業と同時に、今来ている留学生はみんな国へ帰ってしまう。
そうしてまた新しい留学生が来て、オーセンという国を見張るのだ。
前の王様のやらかし…
ざっくり言うと、女と金?
よその国の侍女に強姦まがいのセクハラを働き、その上「この事は黙っておいてやるから金を払え」と脅すとか、外遊先の女の子を拉致して帰ろうとするとか、何かと言えば俺は魔法が使えるんだぞと言って人を脅すとか…
そういうのが積み重なって「次に何かしでかしたら滅ぼすからね?」ってはっきり言われちゃってるし言っちゃってるから、爵位お高めの留学生が見張り役でやってくるんだって。
「新しい風が吹くねぇ」
「僕らも時代の波に取り残されないようにしないといけませんね」
「そうだね、早いとこ信頼回復しないとな」
「ええ…」
世襲制ってのは大変だ。
次の次の王様をちゃんとした子に育てないといけないし、その為には周りの環境も整えなきゃいけないし…。
「女性進出か…」
いつかこの世界にも、女王が誕生する日が来るんだろうな。
そんな事を考えながら、俺は学生寮の門の前に立ち…
「さて、みんな揃ってるかな」
「ええ、きっともうお揃いでしょう」
意外とみんな器用だから、そろそろ講習も終わりにできそうだ。
卒業まであと少し…
みんなといられるのも、あと少しだな。
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