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収まるべきところへ

久々の登校 1

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夏から続いた旅が終ったのが冬休み前。

そしてその冬休みも昨日で終わり、俺はセジュールと久々の登校だ。
寮の部屋は泥棒がめっちゃ来るので引き払ったらしい。
そりゃ寮監さんが不在なんだもんな…。
いや物騒物騒。

「久し振りの学園ですけど、お兄様…大丈夫ですか?」
「うん、まあ…休学扱いだから、欠席にはならないって先生が言ってたし、大丈夫」
「いや単位の話じゃなくてですね」

うん、まあ言いたい事は分かってるとも。
久々の登校って緊張するもんな。

「…あの、留学生の5人。
 お兄様が戻るのを随分と待ってらっしゃいましたから…」
「あ~、レドモンド君とニールには途中で会ったけど、サリュール先輩やカナデ君やクレア君には会ってなかったもんな。
 久々の再会になるし、お昼はみんなと一緒に食べる事になるかも」
「僕が必ずお供しますから、教室で待っていてくださいね」
「うん」

飛び級して同じ学年になったセジュールだけど、クラスは別々だ。
何故ならセジュールの方がずっと成績が良いから…
ううっ。

***

久々に入った教室で、クレア君と久々の再会。
ニールはまだ来てないみたい…
きっとドラークの色々が忙しいんだろうな。

「久し振りだね、ロンバード」
「あ、クレア君!久しぶり…
 随分色々手伝ってもらったって聞いたよ、ありがとう」
「ううん、全然楽勝だった…と、言いたいところなんだけどね」
「えっ?」

とその時、セジュールが俺を呼ぶ声が聞こえた。
するとクレア君はニッコリ笑って一歩下がり…。

「…ま、お昼休みに改めて…ね」
「ああ、うん…お昼にね」

何だろう、また外交の話かな…?
まあいいか、お昼休みにはセジュールもいるし。
俺はセジュールの姿を確認しようと一旦教室の外へ出て…ん?

「いないな…」

何だったんだろ、もしかしてあっちの教室で何かあったのかな。
ちょっと行ってみるか…

「これ、キャンディッシュ君。
 もう授業が始まるぞ、教室へ戻りなさい!」
「えっ、あ、先生!」
「卒業までしっかり授業に出て勉強しないと、立派な王太子妃にはなれないぞ!」
「あ、はい…」

うん?
今、先生、王太子って言った…?
聞き間違いかな。

・・・

一時間目が無事終了。
冬休みで詰め込み勉強した甲斐あって、何とかついていけた…やれやれ。

ほっとしながら二時間目の授業の準備をしていると、教室の入口が開いて良く知った顔が現れた。
ニールだ。

「あ~、遅れちゃった…。
 ロンバード、久し振り!」
「ニール!久しぶりだね、ドラークは大丈夫?」
「うん、冬休みにしっかり話してきた。
 ロンバードの結婚式にはお兄様も来るって」
「そうなんだ、わざわざ遠い所から…」

ニールのお兄さんか。
何かちょっと難しそうなイメージの人だけど、仲良くできるかなぁ。

「ま、転売屋騒動の後始末もあるしね。
 直接謝りたいんだって…これでオーセンとの仲がこじれたら大変だしね」
「は、ははは」

そりゃそうだ。
すっかり忘れてたけど、今回の騒動の裏でちょっと暗躍してたんだよな…ニールのお兄さん。
バレンも捕まったし、組織の連中も押さえたから良かったようなものの。

「そうそう、バレンの組織網を使って商業ギルドを作るんだって?」
「うん、そんな話してたよ」
「その商業ギルドなんだけどさ…」

すると、また教室の外からセジュールの声が聞こえた。
さっきも同じ事があったような気がするけど、念の為に一旦教室を出て…

「ロンバード、次の授業始まるよ!」
「え、あ、そっか」

…セジュールに何かあったのかな。
心配だ…後で絶対探しに行かなくちゃ。

・・・

2時間目が終わったと同時に俺はセジュールの教室へ急いだ。

「セジュール!」
「あっ、お兄様!どうされたんですか?」
「いや、さっきから俺の事呼んでるから…」
「……何のことです?」

セジュールはキョトンとした顔で俺を見る。
そんな、2回も同じ聞き間違いなんかしないと思うんだけどな…。

「いや、何でもなければ良いんだ、ごめん」
「そんな!僕はお兄様のお顔が見られて嬉しいです!休み時間にはお顔を見せて頂けたら安心できますし」
「…そう?じゃあ、また来る…」
「ええ、また次の休み時間に」

と、俺が教室を出ようとしたところで、またも知った人から声をかけられる。

「久し振りだね、ロンバード君」
「あっ、カナデ君!セジュールと同じクラスだったっけ、そう言えば」
「そう、レドモンドさんも一緒…なんだけど、今日はまだ姿を見てなくてさ」
「そっかぁ…まだ帰って来てないのかな」

そういえば、あの時別れてからヨークさんに会ってないや…
あの時、ヨークさんと2人にしたのまずかったかなぁ。

「いや帰っては来てるよ、寮で会ったし。
 もしかしたら抜け駆けしたのが後ろめたいのかもしれないけど」
「…抜け駆け?」
「うん、あの『オマモリ』の」
「お兄様、そろそろ次の授業が!」
「あっ、本当だ!ごめんカナデ君、また後で!」

・・・・・・

3時間目が終わって、休み時間毎に顔を見せろってセジュールが言ってたのが気になったので廊下へ出る。
すると、またも見知った顔が現れて声をかけられる。

「は~い、ロンバード、久し振りね!」
「あれ、サリュール先輩!卒業したんじゃ…」
「留学生からね、そういうの適当なの」
「はあ、なるほど…」

サリュール先輩は色んな研究室を渡り歩いて、自分の国で使えそうな知識がないか探しているそうだ。

「今は種とかの話ね。
 作物を研究するの畑に、人預けるの話進めてる」
「いつの間に!?」
「そのうち話する、陛下に。
 多分他の国からも来るの事になると思う、留学生の代わりね」
「ああ、なるほど…」

新しい作物の研究は、研究のやり方さえ学んで帰ってくれたら母国での研究に役立つはずだ。
学ぶ理由がより明確になるぶん、小さな国からも人が来やすくなるかもしれない。

「そういえばロンバード、今は?」
「あ、セジュールの教室に行こうと思って」
「そうなのね!私、お昼の食事誘いに来た。
 仕方ないから弟も来ていい事にする」
「ありがとうございます!
 あ、もう行かないと…そろそろ次の授業なので、では!」

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