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収まるべきところへ

始末の後

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俺は久々に実家へ戻り、親父の手も借りつつ旅の途中にあった事と思いついた事を整理している。

「色んなことがあったなぁ」

転売ヤー撲滅からの密売組織摘発からの国家簒奪騒動。
石碑の修繕からの魔物暴走からの竜との交流。

残すは俺の結婚式と、強化作物の開発、災害救助の国際機関設立、それから義肢の開発に…

「そう言えば、人間の転移はもう出来るの?」
「無事に出て来れるかだな、結局は」
「あぶー」

親父はあれからマンホールみたいな転移陣をもう1つ作り、魔術塔の地下牢へ置いた。
盗まれたという1つは無事にクレーさんからブレックさん経由で返ってきた。

「こっちのやつに乗ってワームホールん中へ入ったやつが、地下牢のから出て来ないからさ…
 やっぱまだ調整がいるな」

親父によると、南東の農場を脱走してバレンの仲間になった魔術師たちが、勝手にこれを使ってどっかへ逃げようとしたんだって事だけど…

それって、体のいい人体実験なのでは?

「なあ親父、その人たちが入ったってとこからコレ動かして大丈夫なん?」
「うん、多分な。一方通行いっつう仕様だから」
「入った場所に戻るのは無理って事?」
「そう、じゃないと土地の魔力永遠に吸っちゃうから」
「ああ…またそういう事になるのね」

俺、何となく分かってきた。
南東の農場って、魔力集積回路の暴走で出来たんじゃないのかって。
もしかしたら、昔あそこに魔術塔みたいな施設があったのかもしれないな…。

「そういえばさ、地竜の…何に使うか決めたか?」
「ううん、まだ全然。
 鱗の方は魔力の無い土地に埋めてみたらどうかなって思ってるけど」
「肉の方も、一部冷凍保存してあるぞ」
「それってまさか、食ってみるって事?」
「いやまあ、食う事もできるって事だ」

竜の肉は乾燥させて滋養強壮薬の原料にするのが定番らしいんだけど、それを食う…か。
食った後が怖いな。

「そういえばロンバード、そろそろ寝ないと…明日はお城へ行くんだろ?」
「うん」
「明日は…その、泊まって、くる、のか?」
「……うん」
「……………そっか」

……んもう、何でわざわざ聞くんだよ。
恥ずかしいじゃんか!!


***


翌日。

「じゃ、行っといで、ロンバード」
「うん…行ってきます」

俺はメルバ父さんと一緒に登城した。
勝手知ったる王城を、2人でトコトコ歩いて、王家の皆様がお仕事をする奥の棟まで進む。

「何か、人が減った?」
「うん、随分首にしたからね!裏で悪い組織と繋がってるようなのを王宮には置いとけないでしょ」
「いや、それは分かるけど…分かるぐらい減るって」

まさか、一人二人の話じゃ無かったとは…。
まあ、一人二人じゃ国際会議の内容が事前に漏れたり、国際交流のお茶会や夜会に刺客が紛れ込んだりしないか。

「でも、もう新しい子を入れたからね。
 今は新人教育中…だから、人が余計少ないんだよね」
「残ってる人は大変だねぇ」
「まあ、残ってる人間はそれなりに真面目に頑張ってた人たちだから、何とかなるんじゃない?
 …それじゃ、僕はここで。頑張ってね!」
「うん、ありがとう父さん」

セジュールとミリエッタさんは学園に行った。
よく考えたらまだ学生なんだよな…2人とも。

「まあ、今日は衣装の打ち合わせだけだって言ってたし…」

まだガイコーとか関係ないもんな。
ダイジョブダイジョブ。

俺はダリル様の執務室の扉をノックする。
すると中から「入れ」と声がする…
いつもなら執事さんが開けてくれるんだけど、その人もいないんだな…大変だ。
そうして自分で扉を開けて中に入ると、書類の束とにらめっこするダリル様が…ここも忙しそう。

「あの…ダリル様、お待たせしました」
「ああ、ロンバードか!いや、こっちも仕事がな…すまんがそこの台帳を取ってくれるか」
「はい…これですか?」
「ああ、それそれ…すまんが、少し待っていてくれるか」
「はい」

…何だか大変そうだな。
俺でも手伝える事があれば…あっ!

「ダリル様、俺、庭で待ってますね」
「ああ、終わったらすぐに行く…」

俺はダリル様の部屋を出て、執事さんがお茶を準備する部屋へ行って大量の砂糖を拝借し、庭へ出た。

「疲れが取れる飴を作って、みんなに配ろう!」

回復効果のある飴は、なぜか部屋の中では作れない。
きっと外の空気ってのが大事なんだろう、って今は勝手に考えている。
論拠はまだない。

「まあ、理由はそのうち見つかるだろう…」

久々の飴づくりだ。
上手く行くと良いんだけどな…。

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