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向かえ!大団円
【レドモンド】優しい恩人
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「あそこか…!」
村の上空を旋回していた魔鳥どもが降下するのを見て、その地点へと走った。
そこは村の広場に面した、3階建て。
随分と立派な建物が…
「何っ!?」
その時、見えたから、咄嗟に叫んだ。
「避けろロンバード!!」
「えっ!」
何故そんな所にいた!?
避難所にも行かず、何の防御もせず、
「っぁああああああ!?」
いや、防御はしていたのかもしれない。
ただ、ガルーダの嘴がそれ以上に堅かった…
「ロンバード!!」
私はガルーダの首を刎ねようと、
「だ、め、…!まっ、て…!!」
「何言ってる、君は!」
「っ、……ゅ、!」
ロンバード君が何か唱える。
すると裂けた腹がみるみる元に戻る…
「元に、戻れ、俺の血肉…!」
そうか、治癒!
その手があったか、さすが…
「レドモンド君、伏せて!
…空飛ぶもの、しばし眠れ、強制睡眠!!」
ロンバードが叫ぶと、目の前のガルーダと、こっちへ向かって来ていた魔鳥たちがぐらりと傾き…
「ロンバード君、危ない!」
「えっ…いだぁ!!」
…落ちてきたロックバードがロンバードの頭を直撃し…
「痛ったぁ…あーもー、治れ治れ~」
「…ロンバード君」
その恐ろしく雑で完璧な治癒魔法に、思わず我に返った私は…
「…何かするなら、先に一声掛けてくれ」
と、愚痴っぽく彼に溢した。
***
私を追いかけてきたのか、3人の英雄たちもこの建物の前に集まった。
「急に魔物が全部空から落っこちましてな」
「突然寝たから、ロンバードの仕業だなと」
「よく暴走してたよな!…昔俺んとこの村でもさぁ」
「やめてよグラノールおじさん!」
さっき腹が裂けて死にかけたとは思えない元気さで、3人と会話するロンバード君…
何だか頭がくらくらする。
「それで、何をしようとしたんだ?」
「うん、上空を飛んでた鳥の魔物、もしかしたら卵を探してるんじゃないかと思って」
「なるほど、馬車に積んだまま車庫へ入れ、魔法で隠匿していたと」
「そうかもしれない程度の確率ですが」
そう言いながら、ロンバード君は馬車庫の扉を解錠した。
「卵を返せば、大人しく森に帰ってくれるんなら…
その方がいいんじゃないかなって。
子どもを理不尽に殺して、その上で復讐しに来た親を正義面して殺すなんて、そんな身勝手で醜悪な話…
魔物相手だとしても、許せないし」
「…そうだな」
「だから、せめて卵を返す事ぐらい…できないかなって」
「なるほど…。」
学園にいる時はその優しさが甘さに見えていたけれど…その優しさは、命懸けだったのだな。
「ロンバード君は…優しいな」
「えっ、急に何を言い出すのレドモンド君」
すると英雄の3人もふむふむと頷きながら言う。
「確かに、ロンバードは優しいな!」
「俺たちじゃぁ考えつかねぇ収め方だ!
だが、やってみる価値はあるんじゃないか?
無理なら…こいつらも殺して、卵も割るしか無いけどよ」
「それで、卵はありますかな?」
「まあ待てよビゼー…ったくおい、これにも鍵がかかってるじゃねーか!」
バキン、とルーシャ殿が荷馬車の扉の鍵を破壊し、こじ開ける。
するとそこには…
「…あったな、卵」
「ああ」
そこには魔鳥の卵が布に包まれて、大量に積み込まれていた…。
村の上空を旋回していた魔鳥どもが降下するのを見て、その地点へと走った。
そこは村の広場に面した、3階建て。
随分と立派な建物が…
「何っ!?」
その時、見えたから、咄嗟に叫んだ。
「避けろロンバード!!」
「えっ!」
何故そんな所にいた!?
避難所にも行かず、何の防御もせず、
「っぁああああああ!?」
いや、防御はしていたのかもしれない。
ただ、ガルーダの嘴がそれ以上に堅かった…
「ロンバード!!」
私はガルーダの首を刎ねようと、
「だ、め、…!まっ、て…!!」
「何言ってる、君は!」
「っ、……ゅ、!」
ロンバード君が何か唱える。
すると裂けた腹がみるみる元に戻る…
「元に、戻れ、俺の血肉…!」
そうか、治癒!
その手があったか、さすが…
「レドモンド君、伏せて!
…空飛ぶもの、しばし眠れ、強制睡眠!!」
ロンバードが叫ぶと、目の前のガルーダと、こっちへ向かって来ていた魔鳥たちがぐらりと傾き…
「ロンバード君、危ない!」
「えっ…いだぁ!!」
…落ちてきたロックバードがロンバードの頭を直撃し…
「痛ったぁ…あーもー、治れ治れ~」
「…ロンバード君」
その恐ろしく雑で完璧な治癒魔法に、思わず我に返った私は…
「…何かするなら、先に一声掛けてくれ」
と、愚痴っぽく彼に溢した。
***
私を追いかけてきたのか、3人の英雄たちもこの建物の前に集まった。
「急に魔物が全部空から落っこちましてな」
「突然寝たから、ロンバードの仕業だなと」
「よく暴走してたよな!…昔俺んとこの村でもさぁ」
「やめてよグラノールおじさん!」
さっき腹が裂けて死にかけたとは思えない元気さで、3人と会話するロンバード君…
何だか頭がくらくらする。
「それで、何をしようとしたんだ?」
「うん、上空を飛んでた鳥の魔物、もしかしたら卵を探してるんじゃないかと思って」
「なるほど、馬車に積んだまま車庫へ入れ、魔法で隠匿していたと」
「そうかもしれない程度の確率ですが」
そう言いながら、ロンバード君は馬車庫の扉を解錠した。
「卵を返せば、大人しく森に帰ってくれるんなら…
その方がいいんじゃないかなって。
子どもを理不尽に殺して、その上で復讐しに来た親を正義面して殺すなんて、そんな身勝手で醜悪な話…
魔物相手だとしても、許せないし」
「…そうだな」
「だから、せめて卵を返す事ぐらい…できないかなって」
「なるほど…。」
学園にいる時はその優しさが甘さに見えていたけれど…その優しさは、命懸けだったのだな。
「ロンバード君は…優しいな」
「えっ、急に何を言い出すのレドモンド君」
すると英雄の3人もふむふむと頷きながら言う。
「確かに、ロンバードは優しいな!」
「俺たちじゃぁ考えつかねぇ収め方だ!
だが、やってみる価値はあるんじゃないか?
無理なら…こいつらも殺して、卵も割るしか無いけどよ」
「それで、卵はありますかな?」
「まあ待てよビゼー…ったくおい、これにも鍵がかかってるじゃねーか!」
バキン、とルーシャ殿が荷馬車の扉の鍵を破壊し、こじ開ける。
するとそこには…
「…あったな、卵」
「ああ」
そこには魔鳥の卵が布に包まれて、大量に積み込まれていた…。
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