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向かえ!大団円

ギリギリの戦い

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グリフォンの卵を探す、とは言ったものの、どこにそれがあるのかは全く当てがない。
卵を返せばグリフォンが帰ってくれるかどうかも、分からない。
それでもやってみる価値はあるはず!

俺は取り敢えず走り出した。
ヨークさんが叫んだ。

「卵は任せた!俺はまだ避難できてない奴がいないか探す!」
「分かりました!」
「まずは避難場所になってる建物に行け!
 そこに卵があったら最悪だからな!」
「分かりました!」

まだグリフォンはこっちに降りて来ない。
上空をぐるぐると回っている。
きっと卵を探しているんだ、と、思う。
だからまだ間に合う…!

俺は教会へ走る。
村人はみんな地下室へ入れたようで、無人…

「くそっ、卵からの魔力さえ感じ取れたら…!」

教会の地上部分は、講堂と倉庫と学校の3つに分かれている。
一番可能性があるのは倉庫…!

「…ない!」

講堂、学校と探すけど、ここには無い…
避難所が襲撃される可能性が下がった事は喜ばしいけど。

「…そうか」

修道院で生まれたバレンには、盗んできた物を教会に置くのは憚られたのかもしれない。

「彼にとって、そういう物を心置きなく置いておける場所…」

村長の家?
集会所?
それとも宿屋…

急がないと、グリフォンが降りてきたら確実にやられる。
グリフォンの方が!

「大事なものは、自分の目が届く場所に置く…」

バレンが居た場所…
いた可能性の高い場所。
沢山の仲間たちと一緒にいられる場所…

「……宿屋?」

オーセンの殆どの村には宿屋がある。
いわゆる「ニュー・ディール政策」の一環で、様々な公共事業をぶちあげ、人をたくさん雇って彼らにお給料を払うことで、富を分け与える…その時に作られた箱モノだ。

今の国政に不満がある彼には、壊れても…いや、壊れたほうが嬉しいくらいの、建物。
その上、魔物退治に向かう騎士団が利用できるように、厩や馬車庫も完備されている…

「そうだ、馬車!」

南の森で魔物が怒り狂ってたのは昨日だ。
ってことは、運び込まれて間もないはず!!

俺は空を見上げた。
グリフォン以外の鳥の魔物も空で旋回を始めた。
きっとあの4人が強いから、どうしようか迷ってるんだ…
あの4人に何の恨みもないだろうし。
それでも簡単に引き下がらない、って事は…

「他の卵も、あるかもしれない!」

俺は急いで馬車庫へと走る。
扉が閉まっている車庫は3つ。
きっとこのうちのどれかだろう、片っ端から
閉じられている扉を開けようとして気づく。

「…施錠と結界の魔法だ」

結界の魔法を解いたら、上空の魔物が襲ってくるかもしれない。
だけど、先に解錠魔法から試そうとしても結界で魔法が弾かれる…

今、魔物との距離は!?

俺は上空をまた見上げる。
村の上空をぐるぐると、大きく旋回…

「…誰かに応援を、頼む?」

違う、そんな事をしたら、降りてきた瞬間に魔物は倒されてしまう。
だったら…

「結界を解いて、自分に物理障壁を張って、それから解錠…いや」

魔物が降りてきたら、全員眠らせて、それから解錠…
ええい、とにかくここを開けてみるしかない!
そもそも卵を積んでるかどうかなんて分からないし!

「……結界、解除……」

誰かがかけた結界を読み解く。
結界魔法は掛けた人や目的によって変化する。
跳ね返すタイプと、無効化タイプ…
これは跳ね返すタイプ、魔法結界は大した事ないけど、物理結界はかなり強固…

先に物理結界から、と思うけど、これを掛けた人は最後に魔法結界を掛けたらしくどうしても魔法結界から解くことになってしまう。

「………解除、完了」

空、魔物、まだこちらに気付く様子無し。
次、物理結界…

「…………」

焦るな、平常心…
空を気にするな、今はまず、目の前の結界…!

「ゥォーー」
「キュォオーーー」
「キュールルルーーー」
「クルルーーーー!」

魔物の声が、次第に大きくなる…

「……この結界、根性悪い……!」

急げ、焦るな、くそ、集中、集中……!!

「………っ、解除、」
「避けろロンバード!」
「えっ!?」

俺は横へ飛んだ。
どっち側に飛んだかは分からない。

「っぁああああああ!?」
「ロンバード!!」






====

2024/9/29
全ての村→殆どの村、へ変更。
整合性の為。

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