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向かえ!大団円
紐より飴?
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俺の素朴な質問に、ブレックさんが引き続き控えめな声で話す。
「いえ、他の隊にもおられないようですよ。
空を飛べる魔術師さえいたら、直接王宮へ行って確かめさせる事が出来たのに…と仰ってましたから」
「ええっ!?」
「しーっ」
俺はびっくりして大きな声を上げてしまった。
まずいまずい。
「魔術塔へ派遣要望書を出した際、『空を飛べる魔術師は出せない』と派遣担当に言われたそうなんです。
いつもなら『冗談だろ』と言って粘るところを、いつもと違う感じがして止めたんだそうで」
「え…」
「それにそもそも、ギゼル殿がおられない魔術塔は信用ならない気がするんだそうですよ」
「ええええ」
ブレックさんによると、第27騎士団は王家の命令を素直に聞いたりなどしないのだそうだ。
「何も考えずただ中央の言いなりになっていたのでは、いざという時に国民を守れない。
どんな命令だろうと、必ず団内で話し合ってどうすべきか考えろ」
というのが団規だそうで…。
何と言うか、ものすごく第27騎士団っぽい。
「だけど、攻撃魔法はともかく回復魔法や治癒魔法が無いと厳しいんじゃ…」
「ええ、それをギゼル様に相談したところ、各分隊に3本ずつの回復用腕輪と、いざという時の飴玉を1人2個ずつ支給してもらったそうで、それで問題無く戦えているようです」
「えっ、飴ちゃん2個だけで!?」
そんなん絶対足りないじゃん!!
いや、回復用腕輪(=回復魔法専用ブレスレット)はまだしも…
魔法しか効かない魔物がいっぱい出てきたらどうする気で?
「飴は致命傷でも無い限り使いませんからね」
「いやいや、そんな馬鹿な!
攻撃に使えないんじゃ、意味ない…」
なんでそんなちょびっとだけのものを?
何で髪の毛紐じゃないの?
まだあれだって在庫があったはずだし…
すると、ブレックさんが苦笑しながら言った。
「騎士や私のような魔法を使えない剣士にとって、あれは緊急時に命を守る大切な一粒です。
それを攻撃に使うなど論外かと」
「じゃあ、何回も使える髪の毛紐なら」
「あれは何年も一流の魔術師と一緒に魔物討伐をしてきた騎士にしか使えません!
普通使った事もない魔法をいきなり実戦で…など、自殺行為です」
そう、普通はそうなんですよ?
…と、ブレックさんは念を押してから、言った。
「倒し方の知識のみでいきなり地竜を倒せるのは、ロンバード様ぐらいですよ」
「えっ」
「普通はいくら知っていようと、現実を前にすれば震えるものです。
そうして知っている事の半分も活かせぬまま、敗走するか、死ぬか…」
「あー、そういう事か…」
俺、一回死んでるからだ。
みんなは一度も死んだ事ないけど、俺と親父は一回死んでるから変なとこ冷静なんだ、多分。
魔力とか魔法とか異世界の知識とかだけじゃない。
一回死んだ経験こそが、チート。
「普通は、みんな死んだ事ないですもんね」
「…?」
「あ、いや、何でもないです」
あんまり前世の事、言わない方が良いよな…
知ってる人は多そうだけど。
「それでは、失礼します…
そろそろ朝食の時間ですしね」
そう言ってブレックさんが出て行くと、ヨークさんがむくりと起きた。
絶対途中から起きてたよな…。
「お早うございますヨークさん」
「ああ、おはよー…昨日はお疲れさん。
飯食ったら石碑の修復に行くか」
「そうですね、資材も集めないと…」
「ん、ああ、木の杭とかの事?
村の連中に頼んで分けてもらったぞ」
「えっ、いつの間に?まさか昨日の晩?」
「うん、そう…討伐が終わったのを知らせに行ったついでにな」
ふわぁ…と欠伸をするヨークさん。
夜遅くでも対応してくれたって事は、村の人たちも相当不安なんだろうな…
早く応急処置して、石碑の事だけでも不安を取り除かないとだ。
「それに、魔物の死体も片付けないと…」
なんせ不安を煽るように、村のそこら中に鳥の魔物の死体が落っこちてるんだよね。
親父が言うような「焼き鳥パーティー」も、ちょっとテンション的に無理そうだし。
でも、ただ燃やしてしまうのもな…
命を無駄にしているようで、申し訳ないし。
どうにか捌ける人に来てもらえないかな…
「…転移魔法陣で魔術塔に送っとくか?」
「…そうですね、先に一言、お手紙送っときますか」
「おー、頼むわ…回路の設置、明日やるし」
「あれ?まだ設置してなかったんですか?」
「んん、昨日はちょっと用事があって」
いつもなら、俺が病院に行っている間に終わってるのに…。
何かあったのかな。
***
魔物の死体をどうするか、についてはさておき、石碑の修復は急がなきゃならない。
俺たちは資材を積んだ荷馬車に揺られながら今回の応急処置について話を詰める。
「こう、石の周りに、魔力集積回路を阻害しないように杭を打って、杭ごと縄でくくってこれ以上割れないように締めるんです」
「今回も前回とは違う方法なのですな」
「北は金継ぎ、東は蔦で固定、南は木の杭…」
「石の性質やその土地で用意できる物によって、方法が随分変わりますね」
「どっちにしたって、新品と交換し終わるまでは不安だよなぁ」
それぞれの村の村長さんには事情を説明して、何かあったらすぐ連絡くださいって事で魔法のお手紙を託してきたけど…やっぱ通信用ブレスレットの簡易版みたいなのが欲しいよな。
帰ったらすぐ作ろう。
「しかし、石碑が壊れている事を、村人に教えて良かったんでしょうか…」
「良いも悪いも、万が一壊れた時を考えたら隠している方が恐えぇよ」
「危険度が増していると思えばこそ、備える事にも真剣になりますしね」
「ちょっとした変化にも気づくようになりますしな」
とはいえ、村人全員に説明するわけにもいかず、村長さんと病院の先生ぐらいにしか説明できてないんだけど…。
「あ、石碑が見えましたよ!」
「昨日と変わり無さそうですな」
「必死で押さえた甲斐がありました」
それぞれが出来る事を出来る限り頑張った結果、石碑は倒れる事なく機能している。
これがチームワークって事なのかな…
なんて少し思ったりしながら、俺は石碑で待っている騎士さんたちに手を振った。
「いえ、他の隊にもおられないようですよ。
空を飛べる魔術師さえいたら、直接王宮へ行って確かめさせる事が出来たのに…と仰ってましたから」
「ええっ!?」
「しーっ」
俺はびっくりして大きな声を上げてしまった。
まずいまずい。
「魔術塔へ派遣要望書を出した際、『空を飛べる魔術師は出せない』と派遣担当に言われたそうなんです。
いつもなら『冗談だろ』と言って粘るところを、いつもと違う感じがして止めたんだそうで」
「え…」
「それにそもそも、ギゼル殿がおられない魔術塔は信用ならない気がするんだそうですよ」
「ええええ」
ブレックさんによると、第27騎士団は王家の命令を素直に聞いたりなどしないのだそうだ。
「何も考えずただ中央の言いなりになっていたのでは、いざという時に国民を守れない。
どんな命令だろうと、必ず団内で話し合ってどうすべきか考えろ」
というのが団規だそうで…。
何と言うか、ものすごく第27騎士団っぽい。
「だけど、攻撃魔法はともかく回復魔法や治癒魔法が無いと厳しいんじゃ…」
「ええ、それをギゼル様に相談したところ、各分隊に3本ずつの回復用腕輪と、いざという時の飴玉を1人2個ずつ支給してもらったそうで、それで問題無く戦えているようです」
「えっ、飴ちゃん2個だけで!?」
そんなん絶対足りないじゃん!!
いや、回復用腕輪(=回復魔法専用ブレスレット)はまだしも…
魔法しか効かない魔物がいっぱい出てきたらどうする気で?
「飴は致命傷でも無い限り使いませんからね」
「いやいや、そんな馬鹿な!
攻撃に使えないんじゃ、意味ない…」
なんでそんなちょびっとだけのものを?
何で髪の毛紐じゃないの?
まだあれだって在庫があったはずだし…
すると、ブレックさんが苦笑しながら言った。
「騎士や私のような魔法を使えない剣士にとって、あれは緊急時に命を守る大切な一粒です。
それを攻撃に使うなど論外かと」
「じゃあ、何回も使える髪の毛紐なら」
「あれは何年も一流の魔術師と一緒に魔物討伐をしてきた騎士にしか使えません!
普通使った事もない魔法をいきなり実戦で…など、自殺行為です」
そう、普通はそうなんですよ?
…と、ブレックさんは念を押してから、言った。
「倒し方の知識のみでいきなり地竜を倒せるのは、ロンバード様ぐらいですよ」
「えっ」
「普通はいくら知っていようと、現実を前にすれば震えるものです。
そうして知っている事の半分も活かせぬまま、敗走するか、死ぬか…」
「あー、そういう事か…」
俺、一回死んでるからだ。
みんなは一度も死んだ事ないけど、俺と親父は一回死んでるから変なとこ冷静なんだ、多分。
魔力とか魔法とか異世界の知識とかだけじゃない。
一回死んだ経験こそが、チート。
「普通は、みんな死んだ事ないですもんね」
「…?」
「あ、いや、何でもないです」
あんまり前世の事、言わない方が良いよな…
知ってる人は多そうだけど。
「それでは、失礼します…
そろそろ朝食の時間ですしね」
そう言ってブレックさんが出て行くと、ヨークさんがむくりと起きた。
絶対途中から起きてたよな…。
「お早うございますヨークさん」
「ああ、おはよー…昨日はお疲れさん。
飯食ったら石碑の修復に行くか」
「そうですね、資材も集めないと…」
「ん、ああ、木の杭とかの事?
村の連中に頼んで分けてもらったぞ」
「えっ、いつの間に?まさか昨日の晩?」
「うん、そう…討伐が終わったのを知らせに行ったついでにな」
ふわぁ…と欠伸をするヨークさん。
夜遅くでも対応してくれたって事は、村の人たちも相当不安なんだろうな…
早く応急処置して、石碑の事だけでも不安を取り除かないとだ。
「それに、魔物の死体も片付けないと…」
なんせ不安を煽るように、村のそこら中に鳥の魔物の死体が落っこちてるんだよね。
親父が言うような「焼き鳥パーティー」も、ちょっとテンション的に無理そうだし。
でも、ただ燃やしてしまうのもな…
命を無駄にしているようで、申し訳ないし。
どうにか捌ける人に来てもらえないかな…
「…転移魔法陣で魔術塔に送っとくか?」
「…そうですね、先に一言、お手紙送っときますか」
「おー、頼むわ…回路の設置、明日やるし」
「あれ?まだ設置してなかったんですか?」
「んん、昨日はちょっと用事があって」
いつもなら、俺が病院に行っている間に終わってるのに…。
何かあったのかな。
***
魔物の死体をどうするか、についてはさておき、石碑の修復は急がなきゃならない。
俺たちは資材を積んだ荷馬車に揺られながら今回の応急処置について話を詰める。
「こう、石の周りに、魔力集積回路を阻害しないように杭を打って、杭ごと縄でくくってこれ以上割れないように締めるんです」
「今回も前回とは違う方法なのですな」
「北は金継ぎ、東は蔦で固定、南は木の杭…」
「石の性質やその土地で用意できる物によって、方法が随分変わりますね」
「どっちにしたって、新品と交換し終わるまでは不安だよなぁ」
それぞれの村の村長さんには事情を説明して、何かあったらすぐ連絡くださいって事で魔法のお手紙を託してきたけど…やっぱ通信用ブレスレットの簡易版みたいなのが欲しいよな。
帰ったらすぐ作ろう。
「しかし、石碑が壊れている事を、村人に教えて良かったんでしょうか…」
「良いも悪いも、万が一壊れた時を考えたら隠している方が恐えぇよ」
「危険度が増していると思えばこそ、備える事にも真剣になりますしね」
「ちょっとした変化にも気づくようになりますしな」
とはいえ、村人全員に説明するわけにもいかず、村長さんと病院の先生ぐらいにしか説明できてないんだけど…。
「あ、石碑が見えましたよ!」
「昨日と変わり無さそうですな」
「必死で押さえた甲斐がありました」
それぞれが出来る事を出来る限り頑張った結果、石碑は倒れる事なく機能している。
これがチームワークって事なのかな…
なんて少し思ったりしながら、俺は石碑で待っている騎士さんたちに手を振った。
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