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向かえ!大団円

再開の… 1

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「屋敷の中を隈なく探せ!」
「屋敷に詳しい者を、早く!」

現場は騒然。
そりゃそうだ、リーダーを取り逃がしたんだものな。

「隠し通路、ですかね…」
「十中八九な」

貴族のお屋敷には必ず隠し通路がある。
避難経路であり、玄関以外から屋敷の中へ入るための手段でもある。

俺を攫ってどっかへ運ぶ時に玄関から堂々と出るわけにもいかないし、逃げるなら当然押さえるべき経路だ。
どちらに転んでも必要になるルートがあるこの屋敷を拠点に据えたのは、そういった理由だろう。

とはいえ、屋敷1つ用意するのもタダではない。
相当の資金を使ったか、今のオーナーを異能で操っているか…。
どっちにしろ普通じゃ出来ない。
国家簒奪を企てるだけのことはある…

「……強敵ですね」

と、急に馬車の外が騒がしくなってきた。

「おいみんな!領主様だ!」
「領主様が帰ってきた!領主様!」
「おい、退けてくれ!諸君、メレゲーン殿を屋敷へ!」

どうやら屋敷の内部を知るために、前のオーナーであるメレゲーン教授が王都から呼ばれていたらしい。
街の人たちはメレゲーン教授の姿を一目見ようと、どんどん集まって来る…

「領主様万歳!」「領主様万歳!」

このまま俺やダリル様がいると混乱を招きかねない。

「…一足先に、宿へ向かおう」
「はい」

という事で、俺とダリル様はひっそりその場を後にした。

***

マイアンで一番警備が厳しいという宿は、当然ながら高級ホテル。
ロビーに入るとコンシェルジュ的な人がすぐにやってきて言った。

「最上階のお部屋をご用意しております」
「ああ、助かる…」

ダリル様はコンシェルジュ的な人の目をじっと見て、真剣な顔つき…

「……殿下?」
「ああ、心を操られていないか確認しただけだ。
 敵はそういう魔法を使うらしい…初めて聞く魔法で、対処が難しくてな」
「左様でございましたか!」

コンシェルジュ的な人はほっとしたように胸をなでおろし、俺たちに鍵をくれた。

「みんなを疑わないといけないって、大変ですね」
「そうだな…もしかしたらあの騒ぎも、敬愛の感情を増大させられた結果かもしれんからな」
「って事は、マイアンの街の人はみんな心のどこかで教授を慕ってるって事でもありますよね」
「ああ、それも利用してここから逃げたとすると、今回の件は宣戦布告と捉えても良かろうな」

そんな話をしながら最上階へ行き、真ん中の部屋の扉を開けると…

「うっ…わぁ…」

広っ!!
これが噂のスイートルーム!?
すごい!お城みたい!やばい!

「この果物って、食べてもいいやつですか!?」
「毒が無ければな」
「この果実水って、飲んでも…」
「毒が無ければな」
「このお菓子って」
「毒が無ければ、な!
 ロンバード、落ち着け。
 王族になったらこれくらいの歓待は常に覚悟しておかなければならんのだぞ」
「か、かくご?」
「どれに誰がどこでどうやって毒を盛っているかもしれんだろう、いちいち確認せねばならん」
「なるほど」

やっぱり王族って面倒だな…
まあ、うちも他人の家の事言えないけど。

「さて、風呂に入るか」
「そうですね、何だか疲れましたし」

色んなことが次から次に分かって、頭が沸騰しそうだもん。
今までの悩みが吹き飛んでスッキリしてる部分もあるけどさ。

「どんなお風呂かなぁ…広かったらいいな」
「…広い風呂の方が、好きか?」
「そうですね、その方が身体を解せるから」
「なるほど、解す…」

ダリル様は何故か静かになった。

「あの…先に入ってもいいですか?」
「ん、ああ、後からいく」

ダリル様は俺を抱き寄せて軽くキスをした。

「…?」

俺は不穏な空気を感じたものの、風呂に入ってさっぱりしたかったので考える事を放棄して風呂へ向かった。
充分な広さの脱衣場にはバスローブや各種タオルも用意されていて、俺は体を洗う用のタオル一本を持って浴室の扉を開けた。

「うわぁ、もうお湯が張ってある…!」

浴槽には花びらが浮かんでいて、ほのかにフローラルな香りもする。

「なんだか貴族になったみたい」

いや、実際貴族なんだけどね。
セルフツッコミの後、シャワーを捻る。
お湯が出る事にも感動しつつ、俺は汗を軽く流してから身体を石鹸でゴシゴシとこする。
自分の身体から垢が落ちていくのを実感しながら、次は頭を洗おうとシャンプーに手を伸ばし…うーん。

「各ご家庭にシャワー設備だけでも普及させられないかなぁ」
「ああ、それを成す為にも、もっと国民に豊かになってもらわねばな」
「あ、ダリル、さ…ま」

いつの間にかダリル様が風呂に来ていた。
一糸まとわぬ姿で…って、風呂だから全裸なのは当たり前なんだけど、その…。

「どうした?ロンバード」
「う、いや、その…」
「そういえば、こうして風呂を共にするのは初めてか」
「う、うん…」

何と言うか、こんなにセクシーだと思わなかったというか…

「その、前…隠して、ください」
「ん?何も恥じらう事はあるまい。
 今まで何度も…」
「隠してくださいっ!」

お、おちんちんが…
その…うん…。

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