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向かえ!大団円
この世界には、2種類の転売ヤーしかいない
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実家を襲撃した奴らをまとめて馬車に詰め込み、俺たちはシドさんと共にキャンディッシュ領の懲罰服役所へ。
魔術師には最近考案した「魔力封じチョーカー」をつけてみた。
マイアンの街でダリル様と会った時、犯罪を犯した魔術師を一か所に集めて管理するのは危険なんじゃないかって話をしてからすぐに考え始めて、設計図を起こしたんだ。
ダリル様には当たり障りの無いデザインのやつをお願いしたんだけど、せっかくだから俺も試作品をいくつか…デザインに迷っていくつも作っちゃったんだけど、ちょうど良かった。
「うーん、この人にはこのチョーカーかな…」
「おう」
「この人にはこれかな…」
「うーい」
まあ、チョーカーっていうより首輪なんだけどね。
引き千切られたり切られたりしないように、ほぼ金属のパーツで出来てるし。
そんで案の定、チョーカーを着けた魔術師からはクレームと嫌味の嵐。
「はっ、俺たちを飼い犬にしたつもりか」
「俗物共が…首輪を着けて新しい飼い主になったと笑っていられるのも今のうちだけだ!」
ただ、俺はともかく他のメンバーは黙ってニコニコ聞いてるタイプでもないわけで、
「野良魔術師は野良のくせに甘えてんなぁー」
「殺処分されないだけ有り難いと思わねーの?」
「討伐童貞は黙っているがよろしい」
「誰かさんみたいに喉潰すか?あ?」
…と、1クレームにつき2恫喝くらいされながら馬車に揺られて懲罰服役所…前世で言うところの刑務所へ。
「そう言えば、スミスさん。
服役所にいる人に話を聞くって言ってませんでしたっけ?」
「ええ、ちゃんと申請の書類も出しましたぞ!」
「…確かに受け取ったな」
フフン、と腕組みをするスミスさんと、それを見て苦笑いするシドさん。
やられた分をやり返した…みたいな?
おじさん同士の微笑ましい交流を見せつけられる。
「それはそうと、何故その人たちに話を?」
「ふむ、説明しますとですな…」
スミスさん曰く、転売ヤーには2種類いるそうだ。
それが上納先がある転売ヤーと、無い転売ヤー。
まず「上納先がある転売ヤー」。
彼らは最新の情報を確実に得ることが出来る代わりに元締に売上の何割かを支払い、上意下達の行き届いた組織に属することで安全で確実な商売をしているそうだ。
そして「無い転売ヤー」は、他の転売ヤーと腹の探り合いをしつつ自分で情報を集めて商材を仕入れ、半分博打のような商売をしているらしい。
「悪質性で言えば『上納先がある』転売屋の方が断然上ですな。
禁制品の売買や、組織だった買い占めをする事もしばしばですし、脅したり騙したりして物品を買い叩いたり奪ったりする事もありますからな。
おまけに組織の頭目たちは金と醜聞を存分に駆使して、宮廷の人間とも繋がりを持っているとか」
「えっ、そうなんですか!?」
「でなければ、国際会議で飴の話が出る事を事前に掴むことなど出来ますまい」
「むむ…そっか」
もはや悪徳商人の域を越えてマフィアみたい。
禁制品を売るとか脅すとか騙すとか…犯罪じゃん。
金とスキャンダルで政府に近づくとか…。
「そのうち転売組織同士で抗争が起きたりしそう」
「ご明察ですロンバード殿。
ですから我々第3騎士団におきまして、国民の安全や治安を守る為にそうした組織の全容をつかむ必要があるのですな」
「それで話を聞きたいってことか」
「ええ、そうです」
スミスさんによると、「上納先のある転売ヤー」たちのいる組織は国境を越えて他国へも拡がっているらしい。
ブレックさんが補足してくれる。
「この間も、ドラーク帝国のとある部族から資源を格安で騙し盗ろうとした連中がおりましてね」
「なんと、そんな事が………………ん?」
ドラーク?
最近どっかで、って昨日聞いたばっか、な…
あっ!?
「まさか、その『連中』、バレンの組織の…」
「ええ、多分そうでしょうね。
まだこちらから何も申し入れていないのにあっさり開放されたので、何かあるだろうと思っていましたが…こんな所で繋がっているとは。
いやまあ、まだ可能性の話ですが?」
いや、可能性があるって、ほぼそうだって言ってるようなもんなのでは…?
と、俺が突っ込んで聞こうとしたタイミングで、ブレックさんが話を切り替えた。
「ちなみに、王都で捕まった転売屋は、8割方がどこかの組織に所属していた連中だそうです」
「さすがに仕入れ値が500万を超えると、個人の転売屋では髪の毛紐に手が出んという事でしょうな。
売り先も無いでしょうし」
「はっ?ごひゃくまんっ!?」
「魔法一回の飴の末端価格が100~150万ですぞ?
何度も魔法が出せる髪の毛紐なら、もっと高値が付くのが道理でしょう」
えええーー!?
どこの誰にそんなお金あるの!?
そして何の為に買うの!?
怖っ!!
でも、ヨークさんにはどうやら[買いたい人」に心当たりがあるようで…。
「持ってるだけで相当な回数の魔法が使えるんだから、領主様が今後の魔物対策のために買い入れる可能性もあるんじゃねーの?
今はどこの領主様も魔法なしだから…西以外」
「あ、ああ、そっか、そういう切実な理由で取引しちゃう人もいるのか…」
「そうなのです、だから資金が減らんのですよ」
「そういう品が求められてもいますからね」
真っ先に粗悪品でも良いと「喉を焼かれた魔術師」に手を出した「組織に属していない転売ヤー」もいるにはいたそうだけど、組織の連中に脅されて安値で手放させられたりした模様。
危ない橋渡った挙げ句に逮捕されちゃって、何というか…これこそ「ざまぁ」な感じだな…。
「その為に魔術師ギルドがあるんだけど、大増殖の恐怖は抜け切らないだろうからな。
しっかりしてる領主は特に」
「結局、人の弱みにつけこんでるんですね」
「そういうこったな」
シドさんの言葉に、やっぱり転売ヤーは許せないという気持ちが湧いてくる。
けど…
「何でもタダで配るのも、違う気がします」
「おっ、タダで魔法の飴をそこら中に配ってた奴が、えらく成長したな」
「そりゃもう、今回の事で懲りましたから…」
価値のあるものをホイホイ配ってはいけない。
はっきり言って、自分の作った物の価値をよく分からないでいた俺も悪いのだ。
転売ヤー対策をしない売り手側もまた、批判の対象になる…
俺もしっかり反省しないとな。
魔術師には最近考案した「魔力封じチョーカー」をつけてみた。
マイアンの街でダリル様と会った時、犯罪を犯した魔術師を一か所に集めて管理するのは危険なんじゃないかって話をしてからすぐに考え始めて、設計図を起こしたんだ。
ダリル様には当たり障りの無いデザインのやつをお願いしたんだけど、せっかくだから俺も試作品をいくつか…デザインに迷っていくつも作っちゃったんだけど、ちょうど良かった。
「うーん、この人にはこのチョーカーかな…」
「おう」
「この人にはこれかな…」
「うーい」
まあ、チョーカーっていうより首輪なんだけどね。
引き千切られたり切られたりしないように、ほぼ金属のパーツで出来てるし。
そんで案の定、チョーカーを着けた魔術師からはクレームと嫌味の嵐。
「はっ、俺たちを飼い犬にしたつもりか」
「俗物共が…首輪を着けて新しい飼い主になったと笑っていられるのも今のうちだけだ!」
ただ、俺はともかく他のメンバーは黙ってニコニコ聞いてるタイプでもないわけで、
「野良魔術師は野良のくせに甘えてんなぁー」
「殺処分されないだけ有り難いと思わねーの?」
「討伐童貞は黙っているがよろしい」
「誰かさんみたいに喉潰すか?あ?」
…と、1クレームにつき2恫喝くらいされながら馬車に揺られて懲罰服役所…前世で言うところの刑務所へ。
「そう言えば、スミスさん。
服役所にいる人に話を聞くって言ってませんでしたっけ?」
「ええ、ちゃんと申請の書類も出しましたぞ!」
「…確かに受け取ったな」
フフン、と腕組みをするスミスさんと、それを見て苦笑いするシドさん。
やられた分をやり返した…みたいな?
おじさん同士の微笑ましい交流を見せつけられる。
「それはそうと、何故その人たちに話を?」
「ふむ、説明しますとですな…」
スミスさん曰く、転売ヤーには2種類いるそうだ。
それが上納先がある転売ヤーと、無い転売ヤー。
まず「上納先がある転売ヤー」。
彼らは最新の情報を確実に得ることが出来る代わりに元締に売上の何割かを支払い、上意下達の行き届いた組織に属することで安全で確実な商売をしているそうだ。
そして「無い転売ヤー」は、他の転売ヤーと腹の探り合いをしつつ自分で情報を集めて商材を仕入れ、半分博打のような商売をしているらしい。
「悪質性で言えば『上納先がある』転売屋の方が断然上ですな。
禁制品の売買や、組織だった買い占めをする事もしばしばですし、脅したり騙したりして物品を買い叩いたり奪ったりする事もありますからな。
おまけに組織の頭目たちは金と醜聞を存分に駆使して、宮廷の人間とも繋がりを持っているとか」
「えっ、そうなんですか!?」
「でなければ、国際会議で飴の話が出る事を事前に掴むことなど出来ますまい」
「むむ…そっか」
もはや悪徳商人の域を越えてマフィアみたい。
禁制品を売るとか脅すとか騙すとか…犯罪じゃん。
金とスキャンダルで政府に近づくとか…。
「そのうち転売組織同士で抗争が起きたりしそう」
「ご明察ですロンバード殿。
ですから我々第3騎士団におきまして、国民の安全や治安を守る為にそうした組織の全容をつかむ必要があるのですな」
「それで話を聞きたいってことか」
「ええ、そうです」
スミスさんによると、「上納先のある転売ヤー」たちのいる組織は国境を越えて他国へも拡がっているらしい。
ブレックさんが補足してくれる。
「この間も、ドラーク帝国のとある部族から資源を格安で騙し盗ろうとした連中がおりましてね」
「なんと、そんな事が………………ん?」
ドラーク?
最近どっかで、って昨日聞いたばっか、な…
あっ!?
「まさか、その『連中』、バレンの組織の…」
「ええ、多分そうでしょうね。
まだこちらから何も申し入れていないのにあっさり開放されたので、何かあるだろうと思っていましたが…こんな所で繋がっているとは。
いやまあ、まだ可能性の話ですが?」
いや、可能性があるって、ほぼそうだって言ってるようなもんなのでは…?
と、俺が突っ込んで聞こうとしたタイミングで、ブレックさんが話を切り替えた。
「ちなみに、王都で捕まった転売屋は、8割方がどこかの組織に所属していた連中だそうです」
「さすがに仕入れ値が500万を超えると、個人の転売屋では髪の毛紐に手が出んという事でしょうな。
売り先も無いでしょうし」
「はっ?ごひゃくまんっ!?」
「魔法一回の飴の末端価格が100~150万ですぞ?
何度も魔法が出せる髪の毛紐なら、もっと高値が付くのが道理でしょう」
えええーー!?
どこの誰にそんなお金あるの!?
そして何の為に買うの!?
怖っ!!
でも、ヨークさんにはどうやら[買いたい人」に心当たりがあるようで…。
「持ってるだけで相当な回数の魔法が使えるんだから、領主様が今後の魔物対策のために買い入れる可能性もあるんじゃねーの?
今はどこの領主様も魔法なしだから…西以外」
「あ、ああ、そっか、そういう切実な理由で取引しちゃう人もいるのか…」
「そうなのです、だから資金が減らんのですよ」
「そういう品が求められてもいますからね」
真っ先に粗悪品でも良いと「喉を焼かれた魔術師」に手を出した「組織に属していない転売ヤー」もいるにはいたそうだけど、組織の連中に脅されて安値で手放させられたりした模様。
危ない橋渡った挙げ句に逮捕されちゃって、何というか…これこそ「ざまぁ」な感じだな…。
「その為に魔術師ギルドがあるんだけど、大増殖の恐怖は抜け切らないだろうからな。
しっかりしてる領主は特に」
「結局、人の弱みにつけこんでるんですね」
「そういうこったな」
シドさんの言葉に、やっぱり転売ヤーは許せないという気持ちが湧いてくる。
けど…
「何でもタダで配るのも、違う気がします」
「おっ、タダで魔法の飴をそこら中に配ってた奴が、えらく成長したな」
「そりゃもう、今回の事で懲りましたから…」
価値のあるものをホイホイ配ってはいけない。
はっきり言って、自分の作った物の価値をよく分からないでいた俺も悪いのだ。
転売ヤー対策をしない売り手側もまた、批判の対象になる…
俺もしっかり反省しないとな。
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