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向かえ!大団円
突入!キャンディッシュ領
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転売被害者への謝罪やら治癒やら、順調にこなしつつついに南ルートも中盤へ。
「いよいよキャンディッシュ領に入りますね」
「ええ、叔父家族と会うのも久しぶりです」
「俺もシド兄ちゃんと会うの楽しみです!」
「はは、ヨーク殿、観光気分ではなりませんぞ?」
キャンディッシュ領…つまりうちの領地。
トリル叔父さんとシドさん、それから従兄弟…
うん、見事に男しかいないな。
「そう言えばスミスさん、奴らが追ってきてる感じはありますか?」
「そうですな、痕跡はあるのですが…そこから発見・捕縛となりますと難しいところです」
「いっそ仕掛けてきてくれれば早いのにな」
「操られないで下さいよ、ヨーク殿!」
「はは、単に親がいないだけで、飢えたことも売られたことも無い奴に同情なんぞしませんよ」
「うーん過去が強い」
実は、感情を操る異能は、その人が持っていない感情を植え付けることは出来ないんだって。
奴が俺の「バレン氏に対する同情心」を増大させられなかったのはそのおかげなんだって。
つまり、裏切らせるきっかけになる感情が無い人には奴の作戦が効かないってこと。
確かに俺が人を助けたいのは、大抵同情心じゃなくて自己満だもんな……。
だって前世じゃ無力感ばっかだったけど、今生の俺にはできる事いっぱいあるから嬉しくってさ。
人が困ってるの見た時に、何か出来る自分って…カッコイイじゃん!
まあ、人としてどうかと思わなくもないけど、同情して貰いたくないって人だっているし、そのへんは持ちつ持たれつ的な?
「スミスさんとブレックさんはどうですか?」
「ああ、クレーをあんな目に合わせた奴に同情する余地はないんで、大丈夫です」
「私も同じく」
「なるほど、頼もしい」
そもそも、散々人を苦しめておきながら「同情してくれよ~」って虫が良すぎ。
そんなやつと結婚なんてできるもんか!!
***
昼休憩を挟んでしばらく馬車を走らせ、俺たちはキャンディッシュ領の端にある村へ着いた。
すると…
「おー、来たかロンバード!」
「シドさん!」
「久しぶりシド兄ちゃん!」
「おー、ヨークもいんのか、元気だったか?」
なんと、トリル叔父さんの伴侶のシドさんが出迎えてくれた。
「この村には宿屋とか無えからさ、村長んちに泊まって貰えるように頼んどいたわ」
「有難う御座います!
ところで、この村に治癒を必要としている方は…」
「ああ、魔力欠乏症の子が2人な。
それから、子どもの頃に病気で目が見えなくなったのが1人…早く見てもらいたいから、動けるやつはここへ連れてきたんだ」
その人たちは村の病院に泊まっているとのことで、早速行ってみる事に。
「子どもの頃に…となると、相当戻さなきゃならないから、明日も来た方がいいかな…」
「つか、治るのか?俺は治癒っていえば戦闘中に千切れた手足をくっつけるのしか知らねーけど」
「やってみないことには分かりません、先天性の病気が隠れてたら難しいかと」
魔力欠乏症のお守りは、あれからいくつか在庫を作っておいたからそれを試して貰おう。
「あと、魔法の飴の事も気になりますが…」
「あ~~それなぁ!
この領って一番最初に魔術師ギルドが出来たおかげで、魔術師の数が揃ってるだろ?
だもんで、魔法使った治癒も割と身近でさ。
高い金払って飴買わなくてもいいんだ、元々」
「ああ、確かに100万200万出さなくても、頼めちゃいますもんね」
魔術師ギルドは魔術塔の下部組織で、地方の民間魔術師の殆どが所属している。
魔法上達のための講習や訓練もやっているし、魔法道具の貸出しもするし、町や村の人たちからの依頼を受ける事もできる場所だ。
もしかして、飴が売られなかった場所は、魔術師ギルドに治癒が得意な人がいる所なのかも。
「ただ、売ってくれって奴は結構訪ねて来たけど」
「えっ!?」
「売らねぇっつったら、今度は盗みに来やがって」
「ええ……」
ここだけの話、シドさんの索敵能力はとんでもない域に達していて、寝ていても屋敷丸ごと監視できるレベルなのだ。
そうでないと生き残れなかったからな、って事も無げに言うけど、シドさんがいた頃の第27騎士団はそれだけ過酷な戦いをし続けてたって事で…
親父が普通の魔術師に見えるくらいに、全員化物級に強い。
「うへぇ、シド兄ちゃんの家に盗みに入るとか、命知らずも良いとこだな……」
「だろ?キュッてしてポイしといた」
「無知ってマジで怖いわー」
ははは、と笑い合う2人。
それを見た俺は思った。
『キュッてしてポイ』…って、何…?
「いよいよキャンディッシュ領に入りますね」
「ええ、叔父家族と会うのも久しぶりです」
「俺もシド兄ちゃんと会うの楽しみです!」
「はは、ヨーク殿、観光気分ではなりませんぞ?」
キャンディッシュ領…つまりうちの領地。
トリル叔父さんとシドさん、それから従兄弟…
うん、見事に男しかいないな。
「そう言えばスミスさん、奴らが追ってきてる感じはありますか?」
「そうですな、痕跡はあるのですが…そこから発見・捕縛となりますと難しいところです」
「いっそ仕掛けてきてくれれば早いのにな」
「操られないで下さいよ、ヨーク殿!」
「はは、単に親がいないだけで、飢えたことも売られたことも無い奴に同情なんぞしませんよ」
「うーん過去が強い」
実は、感情を操る異能は、その人が持っていない感情を植え付けることは出来ないんだって。
奴が俺の「バレン氏に対する同情心」を増大させられなかったのはそのおかげなんだって。
つまり、裏切らせるきっかけになる感情が無い人には奴の作戦が効かないってこと。
確かに俺が人を助けたいのは、大抵同情心じゃなくて自己満だもんな……。
だって前世じゃ無力感ばっかだったけど、今生の俺にはできる事いっぱいあるから嬉しくってさ。
人が困ってるの見た時に、何か出来る自分って…カッコイイじゃん!
まあ、人としてどうかと思わなくもないけど、同情して貰いたくないって人だっているし、そのへんは持ちつ持たれつ的な?
「スミスさんとブレックさんはどうですか?」
「ああ、クレーをあんな目に合わせた奴に同情する余地はないんで、大丈夫です」
「私も同じく」
「なるほど、頼もしい」
そもそも、散々人を苦しめておきながら「同情してくれよ~」って虫が良すぎ。
そんなやつと結婚なんてできるもんか!!
***
昼休憩を挟んでしばらく馬車を走らせ、俺たちはキャンディッシュ領の端にある村へ着いた。
すると…
「おー、来たかロンバード!」
「シドさん!」
「久しぶりシド兄ちゃん!」
「おー、ヨークもいんのか、元気だったか?」
なんと、トリル叔父さんの伴侶のシドさんが出迎えてくれた。
「この村には宿屋とか無えからさ、村長んちに泊まって貰えるように頼んどいたわ」
「有難う御座います!
ところで、この村に治癒を必要としている方は…」
「ああ、魔力欠乏症の子が2人な。
それから、子どもの頃に病気で目が見えなくなったのが1人…早く見てもらいたいから、動けるやつはここへ連れてきたんだ」
その人たちは村の病院に泊まっているとのことで、早速行ってみる事に。
「子どもの頃に…となると、相当戻さなきゃならないから、明日も来た方がいいかな…」
「つか、治るのか?俺は治癒っていえば戦闘中に千切れた手足をくっつけるのしか知らねーけど」
「やってみないことには分かりません、先天性の病気が隠れてたら難しいかと」
魔力欠乏症のお守りは、あれからいくつか在庫を作っておいたからそれを試して貰おう。
「あと、魔法の飴の事も気になりますが…」
「あ~~それなぁ!
この領って一番最初に魔術師ギルドが出来たおかげで、魔術師の数が揃ってるだろ?
だもんで、魔法使った治癒も割と身近でさ。
高い金払って飴買わなくてもいいんだ、元々」
「ああ、確かに100万200万出さなくても、頼めちゃいますもんね」
魔術師ギルドは魔術塔の下部組織で、地方の民間魔術師の殆どが所属している。
魔法上達のための講習や訓練もやっているし、魔法道具の貸出しもするし、町や村の人たちからの依頼を受ける事もできる場所だ。
もしかして、飴が売られなかった場所は、魔術師ギルドに治癒が得意な人がいる所なのかも。
「ただ、売ってくれって奴は結構訪ねて来たけど」
「えっ!?」
「売らねぇっつったら、今度は盗みに来やがって」
「ええ……」
ここだけの話、シドさんの索敵能力はとんでもない域に達していて、寝ていても屋敷丸ごと監視できるレベルなのだ。
そうでないと生き残れなかったからな、って事も無げに言うけど、シドさんがいた頃の第27騎士団はそれだけ過酷な戦いをし続けてたって事で…
親父が普通の魔術師に見えるくらいに、全員化物級に強い。
「うへぇ、シド兄ちゃんの家に盗みに入るとか、命知らずも良いとこだな……」
「だろ?キュッてしてポイしといた」
「無知ってマジで怖いわー」
ははは、と笑い合う2人。
それを見た俺は思った。
『キュッてしてポイ』…って、何…?
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