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本気のざまぁを見せてやる!
【国王】長い長い事後処理
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弟の本に挟まっていた手紙。
そして母上の日記。
読んでみて分かったのは…
前王の度重なる不倫、そして隠し子の存在だった。
「…あのエロ猿、所構わず撒き散らしやがって…
ぶち殺すぞ」
「リブリー陛下、もう処刑は終わりましたよ」
「そうだった」
女と見るや、その強権と異能を使って…
そう言えば愛人との逢瀬がどうとか抜かしていたが。
「そんなに愛しているなら側妃にでもすれば良かったのに、出来なかったのには理由があったわけだ」
「実に胸糞の悪い話だな」
別に我が国で王が側妃を持つ事は何の問題も無い。
ただ俺は娶る気が無いし、ダリルもそうだというだけの事だ…だが。
「まさか相手が、他人の嫁だったとは」
「しかも不特定多数」
「在りし日のメルバも真っ青だな」
「僕は隠し子作ってないよ?
中に出したのはギゼルにだけだもん」
「聞きたくない話を有難う」
親友の下半身事情など聞いてどうしろと言うんだ。
わー、そうなんだ!…とでも言えと?
…だが、俺が呆れて睨みつけると、メルバは急に眼を逸らした。
急に殊勝な態度?
いや、これはそういう事では…ない。
「…リブリーには、黙ってたんだけどさ。
僕、王様よりも上手だって褒められた事が何度かあったんだよね。
もちろん相手は王妃様じゃないわけでさ、何とも…言い辛かったんだ」
「母上が相手だったらぶち殺してるわ」
この大ヤリチン野郎が何で俺の親友なのか、自分でも良く分からない。
ただあの当時は、メルバだけが…。
俺に普通に話しかけてきたのはこいつだけで、対等に話ができたのもこいつだけだった。
「そこまで節操なしじゃないよ~!
でも王妃様を、リブリーの大切なお母上を、悲しい存在にしたくなくて…言えなかった。
凛として国母であろうとした人が…、その、『旦那に浮気されるようなつまらない女』って、陰で笑われてた…なんて、さ」
「…そうか」
そうだ。
メルバはいつも、俺の気持ちに寄り添ってくれた。
崖っぷちの王子としてではなく、俺自身に寄り添ってくれたというか…
言葉にし辛いが、遊び回っていることを加味しても、共にいたいと思える相手だったのだ。
俺は父親の手帳をパラパラとめくりながら聞いた。
「それで、この中で知ってる相手はいるか?」
「うん、まあ、大体ね」
「前王の子を妊娠した噂のある者は?」
「ほぼ全員じゃない?噂だけなら」
大体の人が王様と寝た事を自慢してたからね~、とメルバは事もなげに言う。
貴族もどき共のイカれた倫理観に目眩を覚える…が、ここは耐えねばならん。
「という事は、噂が無かった者の方が怪しい…?」
「そうだね、本当だったら洒落にならないから…
あっ、この人…!」
「うん?」
メルバは手帳のとあるページを指差して言った。
「俺は遊んだこと無い、っていうか、そういう事絶対したがらない人って印象なんだけど…」
「ふうん…旦那の方は?」
「まあ最低だね。生意気にもこの僕に『金をやるから抱かせろ』って言ってきてさ。
ムカつくから逆に掘ってやったんだけど、そしたら妙にハマっちゃって…しつこかったなぁ」
「お前、中々……やるな」
はは、それほどでも~とメルバが笑う。
別に褒めてはいないぞ?
ともあれ、まさかこんな身近に情報が転がっていたとはな…。
「奥様とはもうデキませんね、って言ったら、あいつには他の男をあてがってやってるとか…
その男が王様だったとは思わなかったけど。
それにしてもこの覚え書き……酷いね」
「……非道いな」
そこには、嫌がる彼女にどうやって口淫させ、どうやって犯したか…事細かに記されていた。
最初のうちこそ拒絶していたものの、何度も通って抱いてやれば「今度はいつ来るのか」と媚び始めたのでつまらなくなって捨てた…
そんな事まで。
「親友の父親にこんな事言いたくないけど、救い難いクズだね」
「この男の血が自分に半分でも流れていると思うと、実に胸糞が悪い」
彼女の事を調べてみよう。
刑を執行した貴族の妻や子どもの処遇については記録が残っているし、その後もある程度までは追跡調査をしているはずだ…
「何でも調べて記録しておくものだな」
「将来何が役に立つか分からないからね」
それにしても、ここに来て隠し子か…
いつまで腐敗の尻拭いが続くのだかな。
そして母上の日記。
読んでみて分かったのは…
前王の度重なる不倫、そして隠し子の存在だった。
「…あのエロ猿、所構わず撒き散らしやがって…
ぶち殺すぞ」
「リブリー陛下、もう処刑は終わりましたよ」
「そうだった」
女と見るや、その強権と異能を使って…
そう言えば愛人との逢瀬がどうとか抜かしていたが。
「そんなに愛しているなら側妃にでもすれば良かったのに、出来なかったのには理由があったわけだ」
「実に胸糞の悪い話だな」
別に我が国で王が側妃を持つ事は何の問題も無い。
ただ俺は娶る気が無いし、ダリルもそうだというだけの事だ…だが。
「まさか相手が、他人の嫁だったとは」
「しかも不特定多数」
「在りし日のメルバも真っ青だな」
「僕は隠し子作ってないよ?
中に出したのはギゼルにだけだもん」
「聞きたくない話を有難う」
親友の下半身事情など聞いてどうしろと言うんだ。
わー、そうなんだ!…とでも言えと?
…だが、俺が呆れて睨みつけると、メルバは急に眼を逸らした。
急に殊勝な態度?
いや、これはそういう事では…ない。
「…リブリーには、黙ってたんだけどさ。
僕、王様よりも上手だって褒められた事が何度かあったんだよね。
もちろん相手は王妃様じゃないわけでさ、何とも…言い辛かったんだ」
「母上が相手だったらぶち殺してるわ」
この大ヤリチン野郎が何で俺の親友なのか、自分でも良く分からない。
ただあの当時は、メルバだけが…。
俺に普通に話しかけてきたのはこいつだけで、対等に話ができたのもこいつだけだった。
「そこまで節操なしじゃないよ~!
でも王妃様を、リブリーの大切なお母上を、悲しい存在にしたくなくて…言えなかった。
凛として国母であろうとした人が…、その、『旦那に浮気されるようなつまらない女』って、陰で笑われてた…なんて、さ」
「…そうか」
そうだ。
メルバはいつも、俺の気持ちに寄り添ってくれた。
崖っぷちの王子としてではなく、俺自身に寄り添ってくれたというか…
言葉にし辛いが、遊び回っていることを加味しても、共にいたいと思える相手だったのだ。
俺は父親の手帳をパラパラとめくりながら聞いた。
「それで、この中で知ってる相手はいるか?」
「うん、まあ、大体ね」
「前王の子を妊娠した噂のある者は?」
「ほぼ全員じゃない?噂だけなら」
大体の人が王様と寝た事を自慢してたからね~、とメルバは事もなげに言う。
貴族もどき共のイカれた倫理観に目眩を覚える…が、ここは耐えねばならん。
「という事は、噂が無かった者の方が怪しい…?」
「そうだね、本当だったら洒落にならないから…
あっ、この人…!」
「うん?」
メルバは手帳のとあるページを指差して言った。
「俺は遊んだこと無い、っていうか、そういう事絶対したがらない人って印象なんだけど…」
「ふうん…旦那の方は?」
「まあ最低だね。生意気にもこの僕に『金をやるから抱かせろ』って言ってきてさ。
ムカつくから逆に掘ってやったんだけど、そしたら妙にハマっちゃって…しつこかったなぁ」
「お前、中々……やるな」
はは、それほどでも~とメルバが笑う。
別に褒めてはいないぞ?
ともあれ、まさかこんな身近に情報が転がっていたとはな…。
「奥様とはもうデキませんね、って言ったら、あいつには他の男をあてがってやってるとか…
その男が王様だったとは思わなかったけど。
それにしてもこの覚え書き……酷いね」
「……非道いな」
そこには、嫌がる彼女にどうやって口淫させ、どうやって犯したか…事細かに記されていた。
最初のうちこそ拒絶していたものの、何度も通って抱いてやれば「今度はいつ来るのか」と媚び始めたのでつまらなくなって捨てた…
そんな事まで。
「親友の父親にこんな事言いたくないけど、救い難いクズだね」
「この男の血が自分に半分でも流れていると思うと、実に胸糞が悪い」
彼女の事を調べてみよう。
刑を執行した貴族の妻や子どもの処遇については記録が残っているし、その後もある程度までは追跡調査をしているはずだ…
「何でも調べて記録しておくものだな」
「将来何が役に立つか分からないからね」
それにしても、ここに来て隠し子か…
いつまで腐敗の尻拭いが続くのだかな。
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