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【過去ばなし】チート魔術師とチャラ男令息
大チャンス…?
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「……ギゼル?」
「……」
どうしたらいいんだろう僕。
想い人が自分の腕の中で寝てしまったんだけど。
「……かわいい」
はっ、ダメダメ!
そうだ一旦ソファに運んでそこで寝かせたらいいんだそういうことだですよね神様!
「……軽い」
細い、小さい、でも僕なんかより遥かに強い。
魔法だけじゃなく剣も使えるって聞いた。
僕は魔法もちょっと水を出せる程度だし、剣もあんまり得意じゃない…
「……でも、魔物より質の悪い人間がいる事はよく知ってる」
君を潰すだろう欲望が、ここには渦巻いてる。
名誉、権力、自己顕示…支配、嗜虐…色欲。
その身に危険が降りかかったとしても、きっと君はどうにかして逃げられるだろう。
だけど心は傷つく。
僕はその暴力から、君を守る。
「…色欲は、僕も…だけど」
猛烈にキスしたい。
でも起きちゃうかもしれない。
でもキスしたい、キスして、触って、蕩けさて。
自称36歳だし、最後までしても…
「……ん……」
こんな無防備なギゼル、見たことない……
36歳どころか、本来の年齢より少し幼く見える……
はっ!!
今僕は何を!?
だからソファに運ぶんだって……!!
僕は必死で欲望を抑え込み、彼を抱き抱えてソファへ運び、優しくそこへ寝かせる…
「……だめだ、離れちゃ……」
「!!!?」
離れようとした時、ギゼルがぐいっと服を引いた。
「ちゃんと、くっつけ、よ…く、……」
僕はソファの前の床に座らされ、ギゼルに、抱きつかれ…
色欲を支配しろ、メルバ。
散々遊んできたんだろ、この程度の情慾、抑、、
はっ!?
今僕は何を!?
「…ん…いい…」
「!?」
いい!?
いいの!?
キス…しちゃうよ?
いいの?
目の前にはギゼルの幼い表情。
涙の跡を嘗めてみる。
しょっぱい。
やっぱりギゼルも人間なんだ…
「好きだよ、ギゼル。
汚ない人間から君を守る、必ず…」
傷つかない心なんかない。
大きな魔法を操る君でも、人間だから…
「愛してるよ。
君だけを一途に愛すると誓うよ。
だから僕と…結婚して?」
地位も権力も捨てない。
君のために、君と一緒になるために。
「好きだよ…」
僕はギゼルの手を握る。
「良い、んだ、よね…?」
可愛い唇に自分の唇を重ね…
と、その時。
「おいメルバ、ギゼル殿は大丈夫か」
と外から声がした。
***
声を掛けてきたのはリブリーだった。
「…なんだその顔は」
「べつに~?なんでもないです~」
「お前…」
第27騎士団を敵に回す気か?とリブリー。
いやいや、それは御免被るけどさ。
「けど、随分疲れてるみたい」
「そうだろうな、飯に毒が入ってる事なんか日常茶飯事だそうだから」
「はっ!?」
「これ以上はここで話せん。
一旦外へ出よう…ギゼル殿は第27騎士団に頼んで、客間へお連れする」
そう言って外へ出ると、そこにはさっき弟を頼んだ人…と、侍従…多分、と、それに加えてなぜか弟も一緒に待機していた。
「ギゼル殿を客間へ。…案内を頼む」
「畏まりました」
リブリーの言葉に全員が頭を下げたのを確認し、僕はギゼルから離れた。
きっとあの人なら信頼できる。
勿論、弟のトリルも。
無防備なギゼルを誰かに任せるなんて、悔しくて仕方ないけど…
今の僕じゃ、信頼もない。
嫉妬する権利すら、無いから。
「騎士様、ギゼル殿の事、宜しくお願いします」
「ええ、お任せください!」
騎士はギゼルをそっと抱き上げ、侍従の案内で部屋を出ていった。
騎士の腕に抱えられたギゼルが、まるで安心した子どものように見えて…
この状況に忸怩たる思いになるけれど、ここから巻き返さなきゃ。
ギゼルを将来にわたって守るのは僕だ。
今はまだ、無理でも…。
「……」
どうしたらいいんだろう僕。
想い人が自分の腕の中で寝てしまったんだけど。
「……かわいい」
はっ、ダメダメ!
そうだ一旦ソファに運んでそこで寝かせたらいいんだそういうことだですよね神様!
「……軽い」
細い、小さい、でも僕なんかより遥かに強い。
魔法だけじゃなく剣も使えるって聞いた。
僕は魔法もちょっと水を出せる程度だし、剣もあんまり得意じゃない…
「……でも、魔物より質の悪い人間がいる事はよく知ってる」
君を潰すだろう欲望が、ここには渦巻いてる。
名誉、権力、自己顕示…支配、嗜虐…色欲。
その身に危険が降りかかったとしても、きっと君はどうにかして逃げられるだろう。
だけど心は傷つく。
僕はその暴力から、君を守る。
「…色欲は、僕も…だけど」
猛烈にキスしたい。
でも起きちゃうかもしれない。
でもキスしたい、キスして、触って、蕩けさて。
自称36歳だし、最後までしても…
「……ん……」
こんな無防備なギゼル、見たことない……
36歳どころか、本来の年齢より少し幼く見える……
はっ!!
今僕は何を!?
だからソファに運ぶんだって……!!
僕は必死で欲望を抑え込み、彼を抱き抱えてソファへ運び、優しくそこへ寝かせる…
「……だめだ、離れちゃ……」
「!!!?」
離れようとした時、ギゼルがぐいっと服を引いた。
「ちゃんと、くっつけ、よ…く、……」
僕はソファの前の床に座らされ、ギゼルに、抱きつかれ…
色欲を支配しろ、メルバ。
散々遊んできたんだろ、この程度の情慾、抑、、
はっ!?
今僕は何を!?
「…ん…いい…」
「!?」
いい!?
いいの!?
キス…しちゃうよ?
いいの?
目の前にはギゼルの幼い表情。
涙の跡を嘗めてみる。
しょっぱい。
やっぱりギゼルも人間なんだ…
「好きだよ、ギゼル。
汚ない人間から君を守る、必ず…」
傷つかない心なんかない。
大きな魔法を操る君でも、人間だから…
「愛してるよ。
君だけを一途に愛すると誓うよ。
だから僕と…結婚して?」
地位も権力も捨てない。
君のために、君と一緒になるために。
「好きだよ…」
僕はギゼルの手を握る。
「良い、んだ、よね…?」
可愛い唇に自分の唇を重ね…
と、その時。
「おいメルバ、ギゼル殿は大丈夫か」
と外から声がした。
***
声を掛けてきたのはリブリーだった。
「…なんだその顔は」
「べつに~?なんでもないです~」
「お前…」
第27騎士団を敵に回す気か?とリブリー。
いやいや、それは御免被るけどさ。
「けど、随分疲れてるみたい」
「そうだろうな、飯に毒が入ってる事なんか日常茶飯事だそうだから」
「はっ!?」
「これ以上はここで話せん。
一旦外へ出よう…ギゼル殿は第27騎士団に頼んで、客間へお連れする」
そう言って外へ出ると、そこにはさっき弟を頼んだ人…と、侍従…多分、と、それに加えてなぜか弟も一緒に待機していた。
「ギゼル殿を客間へ。…案内を頼む」
「畏まりました」
リブリーの言葉に全員が頭を下げたのを確認し、僕はギゼルから離れた。
きっとあの人なら信頼できる。
勿論、弟のトリルも。
無防備なギゼルを誰かに任せるなんて、悔しくて仕方ないけど…
今の僕じゃ、信頼もない。
嫉妬する権利すら、無いから。
「騎士様、ギゼル殿の事、宜しくお願いします」
「ええ、お任せください!」
騎士はギゼルをそっと抱き上げ、侍従の案内で部屋を出ていった。
騎士の腕に抱えられたギゼルが、まるで安心した子どものように見えて…
この状況に忸怩たる思いになるけれど、ここから巻き返さなきゃ。
ギゼルを将来にわたって守るのは僕だ。
今はまだ、無理でも…。
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