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ざまぁなど知らぬ!
彼女の名は、ミリエッタ 1
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今日も朝から授業に押しボタン制作に感謝祭的システム構築にと動き回って、すっかり夕方。
うっかり昼飯を食うのを忘れて腹が減っている俺は、寮の部屋に戻らず直接食堂へ…あれ?
「あっ、お兄様!おかえりなさいませ」
「うん、ただいま…あっ!」
食堂にすでにセジュールが来ているのも驚いたけど、セジュールの向かいに、何と女の子が!
確か名前は…
「ミリエッタ…さん、ですよね?」
「はい、ビスキュイネ家が次女、ミリエッタ・ビスキュイネと申します。
ロンバード様、ご機嫌麗しく」
ミリエッタさんが見事なカーテシーでご挨拶下さったので、俺も貴族モードで対応する。
「丁寧なご挨拶を頂き、有難う存じます。
私はロンバード・キャンディッシュ、セジュールの兄で御座います。
ミリエッタ様、ご機嫌麗しく」
ビスキュイネ家は女子率10%未満のこの世界では珍しい、三姉妹のいるおうちだ。
確かご長男がダリル様と同学年だったはず…
「ところでミリエッタさんは、本日どのようなご用件でこちらへお越しになられたのですか?」
「はい、私、結婚について大いに意見が御座いまして、その事をセジュール様の伝手を頼りにダリル殿下にご奏上したくこちらへ参りました」
「そうでしたか……」
うん?
結婚について意見がある?
それって俺とダリル様が結婚することについて物申したいって事かな?
あっ、そういえばこの子、いじめっ子作戦の時、セジュールを励ましてくれてたんだっけ……
てことは、あの芝居を本気にして?
えっ、まさか「ざまぁ」が成立しちゃうの?
ここに来て、今更…!?
混乱する俺に、ミリエッタさんは言った。
「ロンバード様。私を、本日の晩餐に同席させて頂けますでしょうか?」
「え、ええ、それは…勿論、構いませんが」
俺は何とか外交的笑顔で言葉を返し…
立っているのも何だからと座るよう促すと、更にミリエッタさんが言った。
「すみません、お席の事なのですけれど。
私をダリル殿下と向かい合わせにして頂けませんでしょうか?」
***
混乱しているうちに席が決まってしまい、ついでにダリル様もやってきてしまって、謎の晩餐会が始まってしまった。
ダリル様の向かいにミリエッタさん、その隣にセジュール、その向かいに俺…だから、隣は必然的にダリル様なわけだけど…
これどういう状況?
「ダリル殿下の事は良く兄から伺っておりました。
ロンバード様をそれは一途に愛されている…と」
「ああ、そうだ。
君の兄上は真っ先にこの婚約を喜んでくれたな」
「あら…そうでしたか、さすが私の兄ですわ!」
話を聞くに、ミリエッタさんのお兄さんはなんと恋愛結婚らしい。
お相手のご実家は商家、つまり平民なわけだけど、女の子だからっていうので押し切ったそうだ。
「はは…そういえば君の兄上も結婚して暫くか」
「ええ、義姉様とは仲良くさせて頂いております。
時々私共とお出かけになったり、時にはお一人で里帰りなさったり…」
「一人で?」
「ええ、家族水入らずの時間をお過ごしですの。
殿下も、結婚したら婚家だけが自分の家…という考え方はいかがなものかと思いませんこと?」
「なるほど、ビスキュイネ家は先進的だな」
「いえ、それほどのことはありませんわ。
母を含めれば4人も女がおりますから、他の家より女の意見が通りやすいのかもしれません。
普段、この世では無視されがちな女の意見が…」
そういってミリエッタさんはにこりと笑い…
「殿方は女をどう見ていらっしゃるのかしら。
愚かで力の無い、保護すべき生き物?
それとも、便利な道具…でしょうか」
そうして、彼女の怒涛のプレゼンが始まった。
うっかり昼飯を食うのを忘れて腹が減っている俺は、寮の部屋に戻らず直接食堂へ…あれ?
「あっ、お兄様!おかえりなさいませ」
「うん、ただいま…あっ!」
食堂にすでにセジュールが来ているのも驚いたけど、セジュールの向かいに、何と女の子が!
確か名前は…
「ミリエッタ…さん、ですよね?」
「はい、ビスキュイネ家が次女、ミリエッタ・ビスキュイネと申します。
ロンバード様、ご機嫌麗しく」
ミリエッタさんが見事なカーテシーでご挨拶下さったので、俺も貴族モードで対応する。
「丁寧なご挨拶を頂き、有難う存じます。
私はロンバード・キャンディッシュ、セジュールの兄で御座います。
ミリエッタ様、ご機嫌麗しく」
ビスキュイネ家は女子率10%未満のこの世界では珍しい、三姉妹のいるおうちだ。
確かご長男がダリル様と同学年だったはず…
「ところでミリエッタさんは、本日どのようなご用件でこちらへお越しになられたのですか?」
「はい、私、結婚について大いに意見が御座いまして、その事をセジュール様の伝手を頼りにダリル殿下にご奏上したくこちらへ参りました」
「そうでしたか……」
うん?
結婚について意見がある?
それって俺とダリル様が結婚することについて物申したいって事かな?
あっ、そういえばこの子、いじめっ子作戦の時、セジュールを励ましてくれてたんだっけ……
てことは、あの芝居を本気にして?
えっ、まさか「ざまぁ」が成立しちゃうの?
ここに来て、今更…!?
混乱する俺に、ミリエッタさんは言った。
「ロンバード様。私を、本日の晩餐に同席させて頂けますでしょうか?」
「え、ええ、それは…勿論、構いませんが」
俺は何とか外交的笑顔で言葉を返し…
立っているのも何だからと座るよう促すと、更にミリエッタさんが言った。
「すみません、お席の事なのですけれど。
私をダリル殿下と向かい合わせにして頂けませんでしょうか?」
***
混乱しているうちに席が決まってしまい、ついでにダリル様もやってきてしまって、謎の晩餐会が始まってしまった。
ダリル様の向かいにミリエッタさん、その隣にセジュール、その向かいに俺…だから、隣は必然的にダリル様なわけだけど…
これどういう状況?
「ダリル殿下の事は良く兄から伺っておりました。
ロンバード様をそれは一途に愛されている…と」
「ああ、そうだ。
君の兄上は真っ先にこの婚約を喜んでくれたな」
「あら…そうでしたか、さすが私の兄ですわ!」
話を聞くに、ミリエッタさんのお兄さんはなんと恋愛結婚らしい。
お相手のご実家は商家、つまり平民なわけだけど、女の子だからっていうので押し切ったそうだ。
「はは…そういえば君の兄上も結婚して暫くか」
「ええ、義姉様とは仲良くさせて頂いております。
時々私共とお出かけになったり、時にはお一人で里帰りなさったり…」
「一人で?」
「ええ、家族水入らずの時間をお過ごしですの。
殿下も、結婚したら婚家だけが自分の家…という考え方はいかがなものかと思いませんこと?」
「なるほど、ビスキュイネ家は先進的だな」
「いえ、それほどのことはありませんわ。
母を含めれば4人も女がおりますから、他の家より女の意見が通りやすいのかもしれません。
普段、この世では無視されがちな女の意見が…」
そういってミリエッタさんはにこりと笑い…
「殿方は女をどう見ていらっしゃるのかしら。
愚かで力の無い、保護すべき生き物?
それとも、便利な道具…でしょうか」
そうして、彼女の怒涛のプレゼンが始まった。
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