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ざまぁなど知らぬ!
ざまぁより魔法
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火山噴火の対処実験に飛び立ったヨークさんが、実験結果を持って戻ってきた。
人気があったのはやっぱりサイクロン式。
前世でもサイクロン式は人気だったし、分からんでもない。
パワーが違う、けど重いし高い。
次が紙パック式。
なんせ軽い。安くて修理も簡単。
ただ紙パックを買い続けなきゃならないけど。
フィルター式は早々に諦めた。
ただ飛んで空気を漉すだけだから、ちょっと効率がね…
ただ、原理がとても簡単なので、どこの国でもパクって作って飛ばせると思う。
沢山作って飛ばせば何とかなるかもしれない。
現在は風の通り道に設置して、パクりたいならどうぞ的扱いになっている。
「最初のやつはまあまあ目詰まりが酷くて…灰の量が多いのもあるんだろうけど」
「次に送ったのはどうでしたか?」
「そっちは両方大丈夫だったぞ!
それに、目詰まりを取る用の道具も作ってくれただろ、あれが殊の外好評で、魔法が無くても出来るんで、現地の人たちも『自分たちにやれることがあるなら』って手伝ってくれてさ。
それから、どっちも灰の取り出しが楽になってて良かった…
んで、その火山灰が、これな」
「…いやぁすごい量…」
「運べるだけ運んだからな~」
しかも紙パック式の紙パックの名前を「火山灰保存袋」にしたがために、サイクロン式で集めたやつも纏めてぎゅうぎゅうに詰めてくれたそうだ。
何てこと…。
「破れたら困るので、詰めるのは8割までで頼みます」
「了解、現地に伝える」
…というわけで、山のような火山灰を手に入れた訳だけど…
これで水はけの良い土とか出来ないかな。
ちょっと農業試験場で聞いてみよう…。
***
「火山灰を土に混ぜる?」
「ええ、それで根腐れを防げたりしませんかね?」
「火山灰を魔法で何かに変える実験は良いんですか」
「いやもう、ありすぎて魔法だけではどうにもなりません…保管場所はどうにでもなるんですけどね」
「そうでしたか、じゃあ粘土質の土に混ぜ込んで、水はけを見てみましょう」
土壌改善が上手く行けば、この灰で取引の一つもできるかもしれませんしね…と、農業のプロたちがいくらか前向きに検討してくれる事になった。
「しかし、ロンバード様が農業にお詳しくなられるとは」
「まだまだ全然です、種から苗も作れないのに」
「はは、そういう魔法を使わずとも出来る事は我々がやれば良いのです。
ロンバード様は、魔法を使わないと成せぬ事をおやりください」
…つまり適材適所だな。
うむうむ。
「皆さん、頼りにしてます」
俺がそう言うと、何故か農業のプロたちは顔を見合わせてから微妙な笑顔で言った。
「…本当ですか?」
「えっ何でですか?」
「いえ、ロンバード様は魔法で何でも何とでもできる方ですから…」
どうやら魔法に対する間違ったイメージがまだ払拭出来ていなかったらしい。
「前も言ったんですけど、魔法って万能じゃないんですよ…誰でも使えないんじゃ、意味ないですし」
「だから使える方は特別なのでは?」
「そういうのが良くないんですよ。
生活を良くするためには、魔法はあくまで最初の一手までに抑えないと…。
魔法を使えない人が使える技術でないと、誰の為にもならないでしょう?」
魔法が使えない人の事も考えないと、魔術師だけの技術になっちゃう。
その為に魔力集積回路があって、土地や宝石の魔力を魔法に変換できるんだから、使わなきゃ。
「それに、魔術師が特別な生き物になったら、保護を理由に国から出られなくなるし…」
「いや、ロンバード様はすでに特別なお方…」
「だから、それが駄目なんです!
俺がいてもいなくても良い様にならないと!」
「ええー……」
みんなが怪訝な顔をするけど、そうじゃん。
国だって、俺みたいな問題児を飼っとく余裕がいつまでもある訳じゃないし。
それに…
「俺みたいなモンを複製するわけに…は、うん?
複製…複製、コピー…うーん、自動操縦…AI…はまだ早い…から、遠隔操作…」
前世でも、何だ、ゼウスとかいうアレ。
遠隔で手術できるとかいうやつ…
「ゴーレムはもうあるから、あれを進化させて…」
「あの、ロンバード様…」
「火山灰でゴーレム作れて、単純作業をさせられるなら復興のお役に立つかも…だから、あーと…
うん、よし、魔術塔に戻ります!」
「あ、あの、ロンバード様!?」
「来客対応よろしくでーーーす!」
そうだ、俺の身代わりがいれば、そいつを置いて旅に出られる!
あるか分からない「ざまぁ」より、頑張れば出来るかもしれない「魔法」に賭けるほうがいい!
「よーし、やる気出てきたぞ!」
まずは火山灰の成分を調べる所からだ!
やるぞ!
人気があったのはやっぱりサイクロン式。
前世でもサイクロン式は人気だったし、分からんでもない。
パワーが違う、けど重いし高い。
次が紙パック式。
なんせ軽い。安くて修理も簡単。
ただ紙パックを買い続けなきゃならないけど。
フィルター式は早々に諦めた。
ただ飛んで空気を漉すだけだから、ちょっと効率がね…
ただ、原理がとても簡単なので、どこの国でもパクって作って飛ばせると思う。
沢山作って飛ばせば何とかなるかもしれない。
現在は風の通り道に設置して、パクりたいならどうぞ的扱いになっている。
「最初のやつはまあまあ目詰まりが酷くて…灰の量が多いのもあるんだろうけど」
「次に送ったのはどうでしたか?」
「そっちは両方大丈夫だったぞ!
それに、目詰まりを取る用の道具も作ってくれただろ、あれが殊の外好評で、魔法が無くても出来るんで、現地の人たちも『自分たちにやれることがあるなら』って手伝ってくれてさ。
それから、どっちも灰の取り出しが楽になってて良かった…
んで、その火山灰が、これな」
「…いやぁすごい量…」
「運べるだけ運んだからな~」
しかも紙パック式の紙パックの名前を「火山灰保存袋」にしたがために、サイクロン式で集めたやつも纏めてぎゅうぎゅうに詰めてくれたそうだ。
何てこと…。
「破れたら困るので、詰めるのは8割までで頼みます」
「了解、現地に伝える」
…というわけで、山のような火山灰を手に入れた訳だけど…
これで水はけの良い土とか出来ないかな。
ちょっと農業試験場で聞いてみよう…。
***
「火山灰を土に混ぜる?」
「ええ、それで根腐れを防げたりしませんかね?」
「火山灰を魔法で何かに変える実験は良いんですか」
「いやもう、ありすぎて魔法だけではどうにもなりません…保管場所はどうにでもなるんですけどね」
「そうでしたか、じゃあ粘土質の土に混ぜ込んで、水はけを見てみましょう」
土壌改善が上手く行けば、この灰で取引の一つもできるかもしれませんしね…と、農業のプロたちがいくらか前向きに検討してくれる事になった。
「しかし、ロンバード様が農業にお詳しくなられるとは」
「まだまだ全然です、種から苗も作れないのに」
「はは、そういう魔法を使わずとも出来る事は我々がやれば良いのです。
ロンバード様は、魔法を使わないと成せぬ事をおやりください」
…つまり適材適所だな。
うむうむ。
「皆さん、頼りにしてます」
俺がそう言うと、何故か農業のプロたちは顔を見合わせてから微妙な笑顔で言った。
「…本当ですか?」
「えっ何でですか?」
「いえ、ロンバード様は魔法で何でも何とでもできる方ですから…」
どうやら魔法に対する間違ったイメージがまだ払拭出来ていなかったらしい。
「前も言ったんですけど、魔法って万能じゃないんですよ…誰でも使えないんじゃ、意味ないですし」
「だから使える方は特別なのでは?」
「そういうのが良くないんですよ。
生活を良くするためには、魔法はあくまで最初の一手までに抑えないと…。
魔法を使えない人が使える技術でないと、誰の為にもならないでしょう?」
魔法が使えない人の事も考えないと、魔術師だけの技術になっちゃう。
その為に魔力集積回路があって、土地や宝石の魔力を魔法に変換できるんだから、使わなきゃ。
「それに、魔術師が特別な生き物になったら、保護を理由に国から出られなくなるし…」
「いや、ロンバード様はすでに特別なお方…」
「だから、それが駄目なんです!
俺がいてもいなくても良い様にならないと!」
「ええー……」
みんなが怪訝な顔をするけど、そうじゃん。
国だって、俺みたいな問題児を飼っとく余裕がいつまでもある訳じゃないし。
それに…
「俺みたいなモンを複製するわけに…は、うん?
複製…複製、コピー…うーん、自動操縦…AI…はまだ早い…から、遠隔操作…」
前世でも、何だ、ゼウスとかいうアレ。
遠隔で手術できるとかいうやつ…
「ゴーレムはもうあるから、あれを進化させて…」
「あの、ロンバード様…」
「火山灰でゴーレム作れて、単純作業をさせられるなら復興のお役に立つかも…だから、あーと…
うん、よし、魔術塔に戻ります!」
「あ、あの、ロンバード様!?」
「来客対応よろしくでーーーす!」
そうだ、俺の身代わりがいれば、そいつを置いて旅に出られる!
あるか分からない「ざまぁ」より、頑張れば出来るかもしれない「魔法」に賭けるほうがいい!
「よーし、やる気出てきたぞ!」
まずは火山灰の成分を調べる所からだ!
やるぞ!
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