上 下
28 / 208
ざまぁなど知らぬ!

【閑話】暗躍する女子

しおりを挟む
「そうですわ!
 お兄様の側近になって、一緒にお仕事なされば良いのではありませんこと?」
「えっ、どういうこと?」

私はミリエッタ。
オーセン国ブロマンス協会の発起人にして転生者!
私が学園に入ってから推しに推してるご兄弟、それがキャンディッシュ侯爵令息ズ!

兄のロンバード様は変人で皆に優しい方。
弟のセジュール様は妖精の様に可愛らしく賢い方。

兄の足りないところを補う弟。
その弟を陰ながら守り、大切に想う兄…


あーーーもーーー



尊い尊い超尊い!!!
たまらないわ…特にセジュール様からの愛が少しだけ一方通行なのが…

とうーーとーーーい!

2次創作待ったなしよ!
前世じゃ売れない同人誌ばっか描いて、強烈な頭痛がしたと思ったらポックリ…みたいな感じで死んだけど、今生は生きて生きて生きまくって、死がこの二人を分かつまで見届ける!

あっだめだめミリエッタ。
今は大事な時なんだから……ゲフンゲフン。

「よろしいことっ?ロンバード様にはセジュール様がいないと駄目なのですわ!
 ご結婚なさっても側で支えて差し上げないと…
 ですから、お兄様の補佐として、宮廷に上がるのですわっ!セジュール様なら出来ますとも!」

「……!そっか、その手が!……でも」
「何か御座いまして?」
「僕は、領地を継がなければ…だから…」
「あっ…そうでしたわね…」

そうなのよ。

お兄様がとんでもない魔力の持ち主で、もう一人のお父様である大魔術師の跡を継ぐと目されている上に、ダリル第1王子様の婚約者でもあるから、セジュール様はキャンディッシュ家の次期当主にならざるをえないの…


せつないわーーー!

でも何とかしてあげたーーい!

何なら私が代わりに、ううんそれは駄目。
お二人を見られなくなっちゃうもの。

だけど、セジュール様は何か思いついていらっしゃるご様子よ?
うふふ…これが…兄弟愛…
お互いに恋愛感情は無くても、想い合う気持ちは誰にも負けない!!
そう、これが……

ブ ロ マ ン ス っ!!

生まれ変わって良かった!
サンキューゴッド!!

あっ、ブロマンスは、別に兄弟でなくとも良いのですわよ?
仲の良すぎる男子たちを見てときめく貴女!
ぜひブロマンス協会にご一報ですわっ!!


そんなセジュール様は、私の存在を忘れて考え込んでいらっしゃる…

「あっ、でも…そうだ、うーん…ギゼル父様が…だから、まだギリギリ…あーでも…うーん…」

こういうところがご兄弟そっくりなのも…

うへへへへへへへ

はっ、いけないミリエッタ。
扇でお口を隠すのよ!
はしたない笑いがヤバいわよ!!

「……お兄様のご要望であれば大抵のことは通る、誰も将来の大魔術師様のご機嫌を損ねたくないから……だから……」
「でしたらお兄様を転が…いえ、ご説得なされば」
「今『転がす』って言った?」
「ええ…申し訳ありません、その…
 ロンバード様はそういった部分で、その…」

あらやだ、口が滑ったわ!
でもそうなの、ロンバード様はあっちこっちフラフラ、それにやきもきするダリル殿下のお姿がたまらないって…皆が口を揃えて言うわ。

分かるわよ!
私もブロマンスにハマる前はゴリゴリに腐女子だったから、そこもまた美味しいの…

美形王子×天才魔術師…
スパダリ×天然…
一途×無自覚タラシ…

分かる、分かるわよ!
でも私の推しはセジュール様&ロンバード様。
ダリル殿下は美しいけど可愛くないんだもの!

……なーんて、私はこの局面にも萌が止まらなくて、ヤバい顔してるから下を向く。
それをセジュール様はどうやら勘違いなさったらしく、私のことをフォローしてくださる。

「うふふ…。
 分かるよ、お兄様は他人の思惑にすぐに乗せられちゃうからね…そこが大変なんだけど」

セジュール様のその笑顔…。

大変なんだけど大好きなのね?
大好きなんでしょ!?
もーー辛抱たまらん!!

我、貴族令嬢たる前にブロマンスを愛する者!
故に美しきブロマンスを守るに躊躇なし!

「その通り!
 そこをセジュール様が側でお助けになられること、それこそが正義なり!!ですわっ!」

私はついに拳を掲げ、セジュール様を鼓舞する。
貴族の婦女にあるまじきなど知らぬ!!

心の中ではガンバレって言っている!
聞こえて欲しいあなたにも!!

「ふふ、そうだね。
 父に相談してみようかな?」
「ええ、ええ、是非とも!」
「ふふ、ありがとう、ミリエッタさん…
 僕、もっともっと頑張らなきゃね!」
「そうですわ!」

どうやら私の心の声、届いたわね。
やはりブ◯ーハーツは神…

…って、いっけない、転生した歳がばれちゃう!
おほほほほ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目

カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!

冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。 「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」 前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて…… 演技チャラ男攻め×美人人間不信受け ※最終的にはハッピーエンドです ※何かしら地雷のある方にはお勧めしません ※ムーンライトノベルズにも投稿しています

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

【完結】お嬢様の身代わりで冷酷公爵閣下とのお見合いに参加した僕だけど、公爵閣下は僕を離しません

八神紫音
BL
 やりたい放題のわがままお嬢様。そんなお嬢様の付き人……いや、下僕をしている僕は、毎日お嬢様に虐げられる日々。  そんなお嬢様のために、旦那様は王族である公爵閣下との縁談を持ってくるが、それは初めから叶わない縁談。それに気付いたプライドの高いお嬢様は、振られるくらいなら、と僕に女装をしてお嬢様の代わりを果たすよう命令を下す。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

処理中です...