9 / 218
ざまぁしやがれください!
婚約者が急にエロい ※微
しおりを挟む
セジュールと噴水で一芝居打ってから、1ヶ月が過ぎた。
あれ以来派手な演出の虐めが考えつかなくて、ちょっと小突いたりする程度の芝居ばかりだ。
台本もネタが無くなってきたので、今までのをローテーションで回している。
ただ、セジュールの友達の女の子が良い感じに動いてくれるので、何だか板について…きたりはしないな。
板についてきたのは毎朝の物理無効魔法だけだ。
「はあ…」
早く婚約破棄だ!ってならないかなぁ…
もういい加減疲れてきちゃった。
***
今日は休日。
セジュールの飛び級祝いをするというので、家は朝から大忙しだ。
みんなの邪魔になるので虐め作戦も今日はお休みすることにして、俺は朝から街へ行くことにした。
セジュールへのプレゼントを買うのだ。
「万年筆…は、入学式のとき買ったし、時計…は、お金が足りないし、うーん」
困った事に、俺にはこういうセンスが無い。
可愛い小瓶にいつもの飴玉を詰めるのもな…前に「もう飴玉で喜ぶ歳でもない」って言われちゃったし。
「こういうのは、贈り物のセンスがいい人に聞くのが早いよな」
贈り物のセンスがいい人…
で、セジュールの事を良く知ってて、となると…
「そうだ、ダリル様に聞いてみよう」
ついでに作戦の進捗確認も出来るしな、うん。
よし、となったら、早速…っと、ここらへんに、あ、あったあった。
「ぱぱーん!魔法のお手紙~!」
宛名を書いて窓の外へ出すと、シュッと相手のところまで飛んで行くんだ。
早く連絡取りたい時はこれが便利!
欲を言えばメールみたいに1秒以内に送りたいんだけどな…俺の発想じゃこれが今のとこ精一杯。
「えーと『セジュールの飛び級祝いを買いに行くのですが、何を買えば良いと思いますか?』っと、これで良し」
この程度の文章にペンを出すのも面倒なので、直接インクを操って文章を書き、返信できるように魔法のお手紙セットを同封して窓の外へそれを出す。
「頼んだよ、お手紙!」
すると、手紙はシュパっと打ちあがる様に空へ上がり、一直線に王宮へと飛んで行った。
「よし、今のうちに準備しよう」
貴族として外出するんじゃないから、綿のシャツにチノパン、先の丸い革靴に帆布のリュックサック、スリ対策に財布は首から下げてシャツの下。
もしもの時のお金は革靴の底に仕込んで…
「髪型、どうすっかな…」
いつもは耳の下で適当に括ってるけど、ちょっと上で括ってキャスケットの中に入れちゃおう。
街にはロン毛の奴なんかいないからな…
「んと、うーん…こうか?あれ…」
うーん、久々だと上手くいかないな。
…そうやって俺が髪の毛と格闘していると、ドアがノックされて執事のエバンズが入ってきた。
「ロンバード様、ダリル殿下がお越しで…
何ですか、その格好は!!」
「えっ!?ダリル様、来ちゃったの!?」
返信用のお手紙セットも入れておいたのに?
あと、来るにしたって早すぎない?
何で?
俺は分からないことが多すぎて焦るばかりだ。
「はい、ロンバード様がご連絡なさったのでしょう?…どういうおつもりでかは、知りませんが」
そんな俺にエバンスは冷たい声で言う。
仕方が無い。
俺が何度も家出騒動を起こして迷惑をかけているから、使用人の皆は俺が外出着を着ているのすら嫌がるんだ。
ましてやお忍びスタイルだなんて…逆鱗。
「いや、街に出てセジュールのプレゼント買おうと思って…ほら、みんな忙しいだろ、だから俺の事はほっといて良いから!昼飯もいらないし」
「…ダリル様もお越しだと言うのに?」
エバンスは騙されない、とばかりに俺を睨む。
俺は言う。
「あのさ、セジュールのお祝いをする日に家出なんかしないだろ、普通」
「ロンバード様の『普通』を信用しろと?」
「いやしなさいよそこは」
何とか誤解を解こうともたついていると、部屋の入口から良く知った声が聞こえた。
「ロンバード、お早う」
「ダリル様!」
どうやら待ちきれずに上がってきたらしいダリル様。
その格好は完璧な王子様ルック…俺の服装との差がすごい。
ため息をつくエバンスに、ダリル様はまるで約束があったかのように言った。
「外出の準備は出来ているようだな。ならば早速出掛けるとしよう。
エバンス、戻りは午後、宴の前に、必ず」
「はっ、畏まりまして御座います」
…さすが王子様、信用が違う。
「さあ行こうロンバード」
ダリル様はさっと俺の腰に手を回して抱き寄せ、俺の耳元で囁いた。
「久し振りの逢瀬だ、本当なら明日の朝まで帰したくないがな」
そして俺の耳朶をぺろりと舐めてから優しく噛んだ。
「ひゃ…」
「ふふ、感じた?」
「かっ…かん、じ………ませんっ!」
「それは残念」
ダリル様はそう言うと、堂々と俺の唇にキスして…
んー!んんーー!!
「もっ、殿下…っ!」
それから息も絶え絶えな俺に、不敵な笑みを浮かべて、囁く。
「続きは馬車の中で…な」
「ご、ご遠慮、します」
「おやおや、そんなつれない事を言うなんて…。
ロンバードの貞操は誰のものなのか、この体に教え込まないといけないな?」
「ふわぁ!?」
そういうとダリル様は俺を左肩に担ぎ上げ、右手で俺の尻を撫でながら歩きだした。
「ちょ、降ろ…降ろして、ひゃ、あっ」
「それは無理だな、この尻がもっと触れと言っているから」
は…ぁ!?
ケツが喋るとか、そんな言い訳…
うひゃあ…!
あれ以来派手な演出の虐めが考えつかなくて、ちょっと小突いたりする程度の芝居ばかりだ。
台本もネタが無くなってきたので、今までのをローテーションで回している。
ただ、セジュールの友達の女の子が良い感じに動いてくれるので、何だか板について…きたりはしないな。
板についてきたのは毎朝の物理無効魔法だけだ。
「はあ…」
早く婚約破棄だ!ってならないかなぁ…
もういい加減疲れてきちゃった。
***
今日は休日。
セジュールの飛び級祝いをするというので、家は朝から大忙しだ。
みんなの邪魔になるので虐め作戦も今日はお休みすることにして、俺は朝から街へ行くことにした。
セジュールへのプレゼントを買うのだ。
「万年筆…は、入学式のとき買ったし、時計…は、お金が足りないし、うーん」
困った事に、俺にはこういうセンスが無い。
可愛い小瓶にいつもの飴玉を詰めるのもな…前に「もう飴玉で喜ぶ歳でもない」って言われちゃったし。
「こういうのは、贈り物のセンスがいい人に聞くのが早いよな」
贈り物のセンスがいい人…
で、セジュールの事を良く知ってて、となると…
「そうだ、ダリル様に聞いてみよう」
ついでに作戦の進捗確認も出来るしな、うん。
よし、となったら、早速…っと、ここらへんに、あ、あったあった。
「ぱぱーん!魔法のお手紙~!」
宛名を書いて窓の外へ出すと、シュッと相手のところまで飛んで行くんだ。
早く連絡取りたい時はこれが便利!
欲を言えばメールみたいに1秒以内に送りたいんだけどな…俺の発想じゃこれが今のとこ精一杯。
「えーと『セジュールの飛び級祝いを買いに行くのですが、何を買えば良いと思いますか?』っと、これで良し」
この程度の文章にペンを出すのも面倒なので、直接インクを操って文章を書き、返信できるように魔法のお手紙セットを同封して窓の外へそれを出す。
「頼んだよ、お手紙!」
すると、手紙はシュパっと打ちあがる様に空へ上がり、一直線に王宮へと飛んで行った。
「よし、今のうちに準備しよう」
貴族として外出するんじゃないから、綿のシャツにチノパン、先の丸い革靴に帆布のリュックサック、スリ対策に財布は首から下げてシャツの下。
もしもの時のお金は革靴の底に仕込んで…
「髪型、どうすっかな…」
いつもは耳の下で適当に括ってるけど、ちょっと上で括ってキャスケットの中に入れちゃおう。
街にはロン毛の奴なんかいないからな…
「んと、うーん…こうか?あれ…」
うーん、久々だと上手くいかないな。
…そうやって俺が髪の毛と格闘していると、ドアがノックされて執事のエバンズが入ってきた。
「ロンバード様、ダリル殿下がお越しで…
何ですか、その格好は!!」
「えっ!?ダリル様、来ちゃったの!?」
返信用のお手紙セットも入れておいたのに?
あと、来るにしたって早すぎない?
何で?
俺は分からないことが多すぎて焦るばかりだ。
「はい、ロンバード様がご連絡なさったのでしょう?…どういうおつもりでかは、知りませんが」
そんな俺にエバンスは冷たい声で言う。
仕方が無い。
俺が何度も家出騒動を起こして迷惑をかけているから、使用人の皆は俺が外出着を着ているのすら嫌がるんだ。
ましてやお忍びスタイルだなんて…逆鱗。
「いや、街に出てセジュールのプレゼント買おうと思って…ほら、みんな忙しいだろ、だから俺の事はほっといて良いから!昼飯もいらないし」
「…ダリル様もお越しだと言うのに?」
エバンスは騙されない、とばかりに俺を睨む。
俺は言う。
「あのさ、セジュールのお祝いをする日に家出なんかしないだろ、普通」
「ロンバード様の『普通』を信用しろと?」
「いやしなさいよそこは」
何とか誤解を解こうともたついていると、部屋の入口から良く知った声が聞こえた。
「ロンバード、お早う」
「ダリル様!」
どうやら待ちきれずに上がってきたらしいダリル様。
その格好は完璧な王子様ルック…俺の服装との差がすごい。
ため息をつくエバンスに、ダリル様はまるで約束があったかのように言った。
「外出の準備は出来ているようだな。ならば早速出掛けるとしよう。
エバンス、戻りは午後、宴の前に、必ず」
「はっ、畏まりまして御座います」
…さすが王子様、信用が違う。
「さあ行こうロンバード」
ダリル様はさっと俺の腰に手を回して抱き寄せ、俺の耳元で囁いた。
「久し振りの逢瀬だ、本当なら明日の朝まで帰したくないがな」
そして俺の耳朶をぺろりと舐めてから優しく噛んだ。
「ひゃ…」
「ふふ、感じた?」
「かっ…かん、じ………ませんっ!」
「それは残念」
ダリル様はそう言うと、堂々と俺の唇にキスして…
んー!んんーー!!
「もっ、殿下…っ!」
それから息も絶え絶えな俺に、不敵な笑みを浮かべて、囁く。
「続きは馬車の中で…な」
「ご、ご遠慮、します」
「おやおや、そんなつれない事を言うなんて…。
ロンバードの貞操は誰のものなのか、この体に教え込まないといけないな?」
「ふわぁ!?」
そういうとダリル様は俺を左肩に担ぎ上げ、右手で俺の尻を撫でながら歩きだした。
「ちょ、降ろ…降ろして、ひゃ、あっ」
「それは無理だな、この尻がもっと触れと言っているから」
は…ぁ!?
ケツが喋るとか、そんな言い訳…
うひゃあ…!
279
お気に入りに追加
436
あなたにおすすめの小説

幼い精霊を預けられたので、俺と主様が育ての父母になった件
雪玉 円記
BL
ハイマー辺境領主のグルシエス家に仕える、ディラン・サヘンドラ。
主である辺境伯グルシエス家三男、クリストファーと共に王立学園を卒業し、ハイマー領へと戻る。
その数日後、魔獣討伐のために騎士団と共に出撃したところ、幼い見た目の言葉を話せない子供を拾う。
リアンと名付けたその子供は、クリストファーの思惑でディランと彼を父母と認識してしまった。
個性豊かなグルシエス家、仕える面々、不思議な生き物たちに囲まれ、リアンはのびのびと暮らす。
ある日、世界的宗教であるマナ・ユリエ教の教団騎士であるエイギルがリアンを訪ねてきた。
リアンは次代の世界樹の精霊である。そのため、次のシンボルとして教団に居を移してほしい、と告げるエイギル。
だがリアンはそれを拒否する。リアンが嫌なら、と二人も支持する。
その判断が教皇アーシスの怒髪天をついてしまった。
数週間後、教団騎士団がハイマー辺境領邸を襲撃した。
ディランはリアンとクリストファーを守るため、リアンを迎えにきたエイギルと対峙する。
だが実力の差は大きく、ディランは斬り伏せられ、死の淵を彷徨う。
次に目が覚めた時、ディランはユグドラシルの元にいた。
ユグドラシルが用意したアフタヌーンティーを前に、意識が途絶えたあとのこと、自分とクリストファーの状態、リアンの決断、そして、何故自分とクリストファーがリアンの養親に選ばれたのかを聞かされる。
ユグドラシルに送り出され、意識が戻ったのは襲撃から数日後だった。
後日、リアンが拾ってきた不思議な生き物たちが実は四大元素の精霊たちであると知らされる。
彼らとグルシエス家中の協力を得て、ディランとクリストファーは鍛錬に励む。
一ヶ月後、ディランとクリスは四大精霊を伴い、教団本部がある隣国にいた。
ユグドラシルとリアンの意思を叶えるために。
そして、自分達を圧倒的戦闘力でねじ伏せたエイギルへのリベンジを果たすために──……。
※一部に流血を含む戦闘シーン、R-15程度のイチャイチャが含まれます。
※現在、改稿したものを順次投稿中です。
詳しくは最新の近況ボードをご覧ください。
【完結】断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
古堂 素央
恋愛
【完結】
「なんでわたしを突き落とさないのよ」
学園の廊下で、見知らぬ女生徒に声をかけられた公爵令嬢ハナコ。
階段から転げ落ちたことをきっかけに、ハナコは自分が乙女ゲームの世界に生まれ変わったことを知る。しかもハナコは悪役令嬢のポジションで。
しかしなぜかヒロインそっちのけでぐいぐいハナコに迫ってくる攻略対象の王子。その上、王子は前世でハナコがこっぴどく振った瓶底眼鏡の山田そっくりで。
ギロチンエンドか瓶底眼鏡とゴールインするか。選択を迫られる中、他の攻略対象の好感度まで上がっていって!?
悪役令嬢? 断罪ざまぁ? いいえ、冴えない王子と結ばれるくらいなら、ノシつけてヒロインに押しつけます!
黒ヒロインの陰謀を交わしつつ、無事ハナコは王子の魔の手から逃げ切ることはできるのか!?
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
随時更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる