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ざまぁしやがれください!
ざまぁは一日にしてならず
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俺、ロンバード・キャンディッシュ。
先月誕生日を迎えて16歳になったとこ。
よくある話だけど、転生者。
気付いたのは割と早くて、3歳の時だ。
弟が産まれたのが嬉しすぎて魔力暴走を起こして、屋敷中に四つ葉のクローバーを巻き散らかした反動で気がついた。
前世は普通の高校生だった。
そんで大学受験の日に、父子共々事故って死んだ。
…嫌な予感はしてたんだ。
前にデカいトラック、後ろにもデカいトラック。
だから親父もどうにか逃げ場を探してて…それがあだになったっていうか。
気づいたら前のトラックと後ろのトラックに挟まれて、ペッチャンコになった。
親父の話に拠れば、即死だったそうだ。
親父自身は俺の死体を見ながら15分ほどで失血死したんだって…
うーんグロ注意。
ちなみに親父も俺と同じ世界に転生してた。
よりにもよって、また俺の父親に。
だから死んだ時の話も聞けたんだな。
しかもわざわざ秘術とやらを受けて、自分のお腹を痛めて産んでくれたんだよね…。
実はこの世界、女性は全人口の1割程度しかいなくてさ、だから男同士でも妊娠出産が出来るようになってんだって。
他に前世と違うのは、科学の代わりに魔法があることと、魔物がいること。
まあ、ざっくり言うと「ナーロッパ」ってやつ?
貴族もいるしな…目の前に。
俺は金髪ゆるふわオールバックのセクシー貴族・メルバ父さんにサラダを喰わされる親父をチラ見した。
朝から旦那に給餌されてる親父…
まあ、見た目は前世と全然違うから、そんなに微妙な気持ちにはならないけど。
「ロンバード、さっさと支度しないと遅れるぞ」
「あー、空飛んで行けば間に合うっしょ」
「駄目だ、危ないから馬車で行きなさい!」
「えー」
ちなみに俺の身分は…学生?
国立最高等総合専門教育学園っていう、中高一貫校っぽいような大学っぽいようなとこへ通ってる。
そこは通称「学園」って呼ばれていて、貴族の子は大体12歳から通わされるけど、そうでない人は大人になってから試験を受けて入学してくる事が多いんだ。
だから総合で専門…
欲張ったもんだなと思うけど、この国で最も古くて歴史があって、授業も充実してて、研究室もあって、何よりお隣に「魔術塔」っていう魔法の研究機関があって、魔力が多ければ学生でも出入り自由!
実は俺、平均よりちょっと魔法使えるほうで、親父もそこで働いてるし、ちょくちょく出入りさせてもらってるんだ。
おかげで箒無しで空が飛べるようになったぜ!
でも親父は『また死んだらどうするんだ!!』って、いつも怒るんだよな…。
せっかく飛べるのにさ。
「兄様~!早く行きましょ~!」
「あ、ごめんセジュール!今行く~」
弟のセジュールは3歳年下。
入学から1年でもう「神童」って噂になってるぐらい、めっちゃ賢くて可愛い自慢の弟だ。
…でも、俺は弟を虐めなきゃならない。
悪役令息になって、ざまぁされて、この国を追放してもらうために。
大丈夫、家で練習もして、準備は万端。
台本も毎回ちゃんと書いて、用意してるし。
だってそうしないと、俺の想定しない返しが来るかもしれないからさ。
俺は通学の馬車の中でセジュールに今日の虐めについて軽く確認する。
「セジュール、今日の事だけど…」
「ええ、噴水に突き落とすんですよね?」
「そうそう、ちゃんと着替え持って来てる?」
「はい、タオルも」
「さすがセジュール、用意が良い」
んでもって、物理攻撃無効のバフを弟にかける。
「っていうか魔法で一時的な鎧を作るだけだけど」
「それがすんなり出来ちゃうのがお兄様ですよね」
「そんなこと無い無い!
親父なら、も少し器用に出来ると思うし」
正直、親父は大魔術師だから魔法では一生勝てる気がしない。
「…ギゼル父様と競おうっていうのが、もうお兄様にしか出来ない事だと思いますけど」
「そんなこと無い無い!
魔術塔の人も『魔法発動前に殴れたら勝てる』って言ってるし…」
魔法で駄目なら拳で勝負。
勝つためなら手段を選んでる場合じゃない!
「…で、出来るんですか?」
「でーーーーき、ないっ!!」
だって親父は体術だってすごいんだもん。
前線でバリバリやってた時には、魔物の攻撃を剣で捌きつつ詠唱してたってんだから。
「出来ないんですか…」
「そんなんすぐに出来たら苦労しないよ。
だから体術の授業も頑張ってるじゃん」
あと、バックパッカーに必要な外国語とか、サバイバル術とか、そういうのをいっぱい勉強してる。
授業や本だけじゃ不安だから、留学生に声かけてみたりとかして。
「あ、そうだ。今日は先に帰っといてな」
「何かご用があるんですか?」
「うん、留学生の先輩に外国語教わるんだ。
帰りは親父の馬車に乗せてもらうよ」
「分かりました、お気をつけて」
「うん、気をつけるよ」
まあ、警戒するような事も無いんだけどね。
だって相手は外国のお偉いさんの子どもだから、めっちゃ警備の人付いてくるし…。
でも、そんな事言って弟の気遣いを無下にしたりはしないよ?
何たって、可愛い弟の言うことだからね。
さて、今日は特に気合い入れていくぞ!
先月誕生日を迎えて16歳になったとこ。
よくある話だけど、転生者。
気付いたのは割と早くて、3歳の時だ。
弟が産まれたのが嬉しすぎて魔力暴走を起こして、屋敷中に四つ葉のクローバーを巻き散らかした反動で気がついた。
前世は普通の高校生だった。
そんで大学受験の日に、父子共々事故って死んだ。
…嫌な予感はしてたんだ。
前にデカいトラック、後ろにもデカいトラック。
だから親父もどうにか逃げ場を探してて…それがあだになったっていうか。
気づいたら前のトラックと後ろのトラックに挟まれて、ペッチャンコになった。
親父の話に拠れば、即死だったそうだ。
親父自身は俺の死体を見ながら15分ほどで失血死したんだって…
うーんグロ注意。
ちなみに親父も俺と同じ世界に転生してた。
よりにもよって、また俺の父親に。
だから死んだ時の話も聞けたんだな。
しかもわざわざ秘術とやらを受けて、自分のお腹を痛めて産んでくれたんだよね…。
実はこの世界、女性は全人口の1割程度しかいなくてさ、だから男同士でも妊娠出産が出来るようになってんだって。
他に前世と違うのは、科学の代わりに魔法があることと、魔物がいること。
まあ、ざっくり言うと「ナーロッパ」ってやつ?
貴族もいるしな…目の前に。
俺は金髪ゆるふわオールバックのセクシー貴族・メルバ父さんにサラダを喰わされる親父をチラ見した。
朝から旦那に給餌されてる親父…
まあ、見た目は前世と全然違うから、そんなに微妙な気持ちにはならないけど。
「ロンバード、さっさと支度しないと遅れるぞ」
「あー、空飛んで行けば間に合うっしょ」
「駄目だ、危ないから馬車で行きなさい!」
「えー」
ちなみに俺の身分は…学生?
国立最高等総合専門教育学園っていう、中高一貫校っぽいような大学っぽいようなとこへ通ってる。
そこは通称「学園」って呼ばれていて、貴族の子は大体12歳から通わされるけど、そうでない人は大人になってから試験を受けて入学してくる事が多いんだ。
だから総合で専門…
欲張ったもんだなと思うけど、この国で最も古くて歴史があって、授業も充実してて、研究室もあって、何よりお隣に「魔術塔」っていう魔法の研究機関があって、魔力が多ければ学生でも出入り自由!
実は俺、平均よりちょっと魔法使えるほうで、親父もそこで働いてるし、ちょくちょく出入りさせてもらってるんだ。
おかげで箒無しで空が飛べるようになったぜ!
でも親父は『また死んだらどうするんだ!!』って、いつも怒るんだよな…。
せっかく飛べるのにさ。
「兄様~!早く行きましょ~!」
「あ、ごめんセジュール!今行く~」
弟のセジュールは3歳年下。
入学から1年でもう「神童」って噂になってるぐらい、めっちゃ賢くて可愛い自慢の弟だ。
…でも、俺は弟を虐めなきゃならない。
悪役令息になって、ざまぁされて、この国を追放してもらうために。
大丈夫、家で練習もして、準備は万端。
台本も毎回ちゃんと書いて、用意してるし。
だってそうしないと、俺の想定しない返しが来るかもしれないからさ。
俺は通学の馬車の中でセジュールに今日の虐めについて軽く確認する。
「セジュール、今日の事だけど…」
「ええ、噴水に突き落とすんですよね?」
「そうそう、ちゃんと着替え持って来てる?」
「はい、タオルも」
「さすがセジュール、用意が良い」
んでもって、物理攻撃無効のバフを弟にかける。
「っていうか魔法で一時的な鎧を作るだけだけど」
「それがすんなり出来ちゃうのがお兄様ですよね」
「そんなこと無い無い!
親父なら、も少し器用に出来ると思うし」
正直、親父は大魔術師だから魔法では一生勝てる気がしない。
「…ギゼル父様と競おうっていうのが、もうお兄様にしか出来ない事だと思いますけど」
「そんなこと無い無い!
魔術塔の人も『魔法発動前に殴れたら勝てる』って言ってるし…」
魔法で駄目なら拳で勝負。
勝つためなら手段を選んでる場合じゃない!
「…で、出来るんですか?」
「でーーーーき、ないっ!!」
だって親父は体術だってすごいんだもん。
前線でバリバリやってた時には、魔物の攻撃を剣で捌きつつ詠唱してたってんだから。
「出来ないんですか…」
「そんなんすぐに出来たら苦労しないよ。
だから体術の授業も頑張ってるじゃん」
あと、バックパッカーに必要な外国語とか、サバイバル術とか、そういうのをいっぱい勉強してる。
授業や本だけじゃ不安だから、留学生に声かけてみたりとかして。
「あ、そうだ。今日は先に帰っといてな」
「何かご用があるんですか?」
「うん、留学生の先輩に外国語教わるんだ。
帰りは親父の馬車に乗せてもらうよ」
「分かりました、お気をつけて」
「うん、気をつけるよ」
まあ、警戒するような事も無いんだけどね。
だって相手は外国のお偉いさんの子どもだから、めっちゃ警備の人付いてくるし…。
でも、そんな事言って弟の気遣いを無下にしたりはしないよ?
何たって、可愛い弟の言うことだからね。
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