別にこいつとは付き合ってませんけど?

紫蘇

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恋人同士になる試練

20番目の祠 1

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いつも通りに旅は進む。

付いてくる行商の人の列も随分長くなってきた…
いや、頼む台数は変わらないんだけど、勝手に付いてくるっていうか…

早く北の街へ行きたい人が多いんだ。

確かに北の街まで行けば、外周は一周まるまる浄化された道になる。
南・東・北・西の街を順番に巡るスタイルの行商が復活できるのだ…これはアツい。

「これで東と西と北の街と王都を繋ぐ道の浄化が終われば、本格的に行商が再開できます!」
「聖人様、どうかお願い致します!」
「はい、力の限り!」

そんな会話をしたりして行商人さんからの信仰を厚くしつつ、20番目の祠に到着した。

***

20番目の祠は、大変普通な外観をしていた。

ここでいう普通とは…円柱状の建物で、門があって、扉があって、扉から中に入れる物。
窓は無く、中に光が差し込まない設計だ。

多分、小説内で言うと「おっぱいの谷間に顔を埋める」アレにあたる祠だろう。

下らないけど「特筆すべき特徴が無い」祠の場所はそれで示唆してるんじゃないかな…きっと。多分。

「あとは中も普通かどうかだな…」
「前室の扉はどれでしょうスタイルのやつか?」
「そうそう、多分それが一番多いと思う」

【スカート】の次は【おっぱい】、という事はスタートした場所の次は普通の祠…
それでもどっちがスタート地点か絞りこめない。

「問題は中、だよな」
「今んとこ街以外の祠で一番多いのは、中で扉を選ぶタイプだな」

俺とトモアキはそんな会話を交わしつつ、みんなと一緒に入口の扉に立つ。

ミシェルが言う。

「それでは、20番目の祠に入る。
 総員気を引き締めて臨もう」
「「はい」」

そうして、ミシェルが最初の扉を開ける。
いつも通り、リラさん・セレスさん・ハイドさん・セトさんの順に中へ…
それに続いて、ミシェル・俺・トモアキ・マルコさんが入る。
中へ入ると今回も灯りがほんのり灯る…

「暗闇では無いですね」
「良かった」

さあ、残り5つの最初の祠。
今回の仕掛けは…

「久々に、大広間に扉…だな」
「今回は7つか…6つは罠って事だな」
「幻惑系がいないといいですね」
「…あれは危険だ、知能が下がる」
「今度こそ完全に燃やしましょう!」
「頼んだぜセトさん」

そうだ、外周2番目の祠にまだいるはずの幻惑植物…
あれを何とかしないとな。

「北の街についたら、ちょっと足を伸ばして2番目の祠にもう一度行かなきゃ」
「そうですね、巡礼の旅が終った後には祠が信仰の場になりますから…」
「えっ」
「浄化の巡礼が無事終えられたと発表があってからだ。だから…間に合うと思う」
「いやいやいやいや」

やばいって。
そりゃこの国の人は決まりをちゃんと守る人ばかりだけど…

「北の街に着いたら、ミシェルと俺だけでもすぐに2番目の祠へ行かなきゃ」
「でもシゲがいないとイベント始められなくね?」
「そこはまあ…安全第一だし」

クリスチーヌさんに頼んで、遅らせてもらうように言ってもらおう。

「さて、どの扉から開ける?」
「右から順でいいだろう。
 リラ、セト。頼むぞ」
「「了解」」

扉を開けて魔法を打ち込む作戦で、今回の祠攻略もスタートだ!

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