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恋人同士になる試練
恋愛と「秘密」
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晩餐会はつつがなく進んで、豪華なメシを堪能しつつ穏やかに談笑した。
ミシェルのお姉さんのドゥエ様のお子様たちに、ドリスお兄様のご家族も集合して賑やかな食卓だ。
リゲルさんのバンデリン紹介トークも問題なく終了したしね。
ご当主様が俺に話しかける。
「聖人様の巡礼も、祠があと5つ残るばかりですな」
「そうですね、あと5つで、巡礼は終わります。
ですがここで気を抜く訳にはいきません、まだまだ半分のつもりで頑張らないと…」
「確かに、気が緩んだ瞬間が最も危のうございますからね」
そう、ここで終わりじゃない…
多分あと3つ、最内周に残ってる。
祠の形はしていないかもしれないけど。
長女のドゥエ様からは巡礼の後の事を聞かれる。
「その後は旅に出られる、とお聞きしましたが」
「ええ、各街道の浄化もしたいですし…
出来る限り私の代で浄化をしておけば、200年後の巡礼も楽になるでしょうし」
そう答えると、今度はユニスお兄様が言う。
「もちろん、我が弟ミシェルも、ご一緒させて頂けるのですよね?」
「ええ、その…ご家族からも、ご理解が頂けるなら…」
「ご理解も何も、ミシェルが聖人様と末永く共にある事を、一族全員が望んでおりますとも!」
「ええ…」
そういえば、トラネキサムは恋愛至上主義だったんだっけ。
その辺もバンデリンの「運命の番」至上主義と似てるな…うむうむ。
そんな俺の様子を見ながら、トモアキが俺に耳打ちする。
「シゲ、理解が早くて良かったな」
「お、おう…」
貴族と平民だし、とか、釣り合わないんじゃないか、とか、男同士だから、とか…
ご家族に猛反対される予定でいっぱい色々考えてたのがアホらしい。
結構悩んだんだぞ。
完全な一人相撲じゃんか…あーあ。
俺は自分に苦笑いしつつパンを齧る。
堅くて大きなパンだから、ちまちま齧っていかないと誤嚥しそう…なんて、半分以上照れ隠しだけど。
「俺、何で頑なに許して貰えないって思ってたんだろ…」
「確かに…けど、俺も何となくそう思ってた。
日本じゃ男同士の恋愛なんて差別の対象でしかないから、その感覚が抜けないんじゃね?
特にシゲも俺も、そういう系の犯罪に合ってるし…トラウマなんじゃないの」
「うーん…そうだな、そうかも」
多様性の時代…なんて、所詮は綺麗事。
保守派って言えば聞こえはいいけど、つまりは差別も偏見も「そのままにする」事が正義の人たちが多すぎるんだよな…
なんて、俺は自分のやらかしを社会のせいにして恥を誤魔化す。
それを知ってか知らずか、ミシェルが言う。
「だから大丈夫だと皆も言っただろう?
この国では、親が子どもの恋愛に反対する事は滅多にない。
例え相手が既婚者でもだ」
「ええ!?」
「反対する場合は…そうだな、親子間での恋愛ぐらいか」
「えっ…そうなの!?」
「ああ、兄妹・姉弟でも別に反対しないな」
「ええ…」
ちょっと待って?
それって…ちょっと、激しすぎない?
これって…
この国の秘密に大きく、関わる事なんじゃ…
えっ…?
ミシェルのお姉さんのドゥエ様のお子様たちに、ドリスお兄様のご家族も集合して賑やかな食卓だ。
リゲルさんのバンデリン紹介トークも問題なく終了したしね。
ご当主様が俺に話しかける。
「聖人様の巡礼も、祠があと5つ残るばかりですな」
「そうですね、あと5つで、巡礼は終わります。
ですがここで気を抜く訳にはいきません、まだまだ半分のつもりで頑張らないと…」
「確かに、気が緩んだ瞬間が最も危のうございますからね」
そう、ここで終わりじゃない…
多分あと3つ、最内周に残ってる。
祠の形はしていないかもしれないけど。
長女のドゥエ様からは巡礼の後の事を聞かれる。
「その後は旅に出られる、とお聞きしましたが」
「ええ、各街道の浄化もしたいですし…
出来る限り私の代で浄化をしておけば、200年後の巡礼も楽になるでしょうし」
そう答えると、今度はユニスお兄様が言う。
「もちろん、我が弟ミシェルも、ご一緒させて頂けるのですよね?」
「ええ、その…ご家族からも、ご理解が頂けるなら…」
「ご理解も何も、ミシェルが聖人様と末永く共にある事を、一族全員が望んでおりますとも!」
「ええ…」
そういえば、トラネキサムは恋愛至上主義だったんだっけ。
その辺もバンデリンの「運命の番」至上主義と似てるな…うむうむ。
そんな俺の様子を見ながら、トモアキが俺に耳打ちする。
「シゲ、理解が早くて良かったな」
「お、おう…」
貴族と平民だし、とか、釣り合わないんじゃないか、とか、男同士だから、とか…
ご家族に猛反対される予定でいっぱい色々考えてたのがアホらしい。
結構悩んだんだぞ。
完全な一人相撲じゃんか…あーあ。
俺は自分に苦笑いしつつパンを齧る。
堅くて大きなパンだから、ちまちま齧っていかないと誤嚥しそう…なんて、半分以上照れ隠しだけど。
「俺、何で頑なに許して貰えないって思ってたんだろ…」
「確かに…けど、俺も何となくそう思ってた。
日本じゃ男同士の恋愛なんて差別の対象でしかないから、その感覚が抜けないんじゃね?
特にシゲも俺も、そういう系の犯罪に合ってるし…トラウマなんじゃないの」
「うーん…そうだな、そうかも」
多様性の時代…なんて、所詮は綺麗事。
保守派って言えば聞こえはいいけど、つまりは差別も偏見も「そのままにする」事が正義の人たちが多すぎるんだよな…
なんて、俺は自分のやらかしを社会のせいにして恥を誤魔化す。
それを知ってか知らずか、ミシェルが言う。
「だから大丈夫だと皆も言っただろう?
この国では、親が子どもの恋愛に反対する事は滅多にない。
例え相手が既婚者でもだ」
「ええ!?」
「反対する場合は…そうだな、親子間での恋愛ぐらいか」
「えっ…そうなの!?」
「ああ、兄妹・姉弟でも別に反対しないな」
「ええ…」
ちょっと待って?
それって…ちょっと、激しすぎない?
これって…
この国の秘密に大きく、関わる事なんじゃ…
えっ…?
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