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恋人同士になる試練
8つ目の祠 3
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突如現れた通路を進む事2~3分。
「ここ、前室っぽくないか…?」
「確かに、いつもみたいに大きなテーブルがある」
祠の前室は、いかにも「ここでお待ちください!」といった雰囲気の場所だ。
いつも大きな石造りのテーブルとベンチがあって、そこで座って休めるようになっている。
「って事は、この部屋のどっかに扉が…」
ぐるりと見渡すと、アーチ状の入口が3つ。
「また3つかよ!」
「何で3つなんだろう」
「どうあっても3手に分かれさせたいとか?」
確かにここまでくると、何かの意思があるような気もする。
サイドストーリーも見たいのよ、的な…。
とはいえ恋愛物となると、俺とミシェル以外にはリラさんとセトさんのカップルしかいないわけで…
うーん……あっ、そうだ。
「封印の間には俺とミシェルしか入れないんだから、俺とミシェルを先頭にして、一つ一つ入ってみよう。
俺とミシェルに続いて誰かが入って来れるならダミー。
誰も入れなかったら、そこは封印の間だから…そん時はみんなここで待ってて」
「シゲル様!?」
みんなが俺を一斉に見る。
また危険な提案を…っていう顔をしている。
俺だって危ない事は分かってるけど、でも…。
「大丈夫、だってミシェルは強いもん。
片手に剣、片手に俺って事になっちゃうけど、いけるでしょ?」
「…ああ、任せろ」
俺はミシェルに右手を差し出す。
ミシェルはそれを左手で握り返す。
ミシェルは右利きだ。
だから右手には剣を握る。
「行こう、封印の間じゃなかったら、みんな、よろしくね」
「……はい」
今回もまた、右側の入口から入ってみる。
最初の入口は大体外れだから、みんなが剣を抜いて臨戦態勢だ。
「それじゃ、行くぞ」
「うん」
ミシェルが俺の手を引く。
俺はミシェルの半歩後ろを付いていく。
その後ろをリラさんとセトさんが、その後ろをトモアキとセレスさんとハイドさんが…
その時、遠くから唸り声が聞こえた。
「…魔物だ」
「うん」
ミシェルがまっすぐ前を向く。
俺は後ろから来るはずの皆の方を…
「えっ!?」
「どうした、シゲル」
「…だれも、いない」
「何だって!?」
…ってことは、ここが封印の、間…?
訳が分からなくて、二人で目を合わせる。
すると一気に場面が切り替わって、周りが明るく…
「…森っ!?」
「封印の間じゃないのか!?」
ぐるる…ぐるる…、魔物の声が近づいてくる。
のし…のし…のし…足音まで聞こえてくる。
「シゲル、あの茂みに身を隠そう」
「うん」
この雰囲気、内周の祠までの道に似てる。
ってことはこの森のどこかに祠がある……?
「…近いな」
「うん」
内周でも、2人で祠を回ったじゃないか。
だから大丈夫、ミシェルならやれる。
「シゲル、私は魔物を倒して来る。
だからここでじっとしていて」
「うん、分かった」
ミシェルは茂みから出て、魔物の方へ向かう。
俺はとにかく見つからないようにじっと…
え?
あっ!
「うわぁ!!?」
「ここ、前室っぽくないか…?」
「確かに、いつもみたいに大きなテーブルがある」
祠の前室は、いかにも「ここでお待ちください!」といった雰囲気の場所だ。
いつも大きな石造りのテーブルとベンチがあって、そこで座って休めるようになっている。
「って事は、この部屋のどっかに扉が…」
ぐるりと見渡すと、アーチ状の入口が3つ。
「また3つかよ!」
「何で3つなんだろう」
「どうあっても3手に分かれさせたいとか?」
確かにここまでくると、何かの意思があるような気もする。
サイドストーリーも見たいのよ、的な…。
とはいえ恋愛物となると、俺とミシェル以外にはリラさんとセトさんのカップルしかいないわけで…
うーん……あっ、そうだ。
「封印の間には俺とミシェルしか入れないんだから、俺とミシェルを先頭にして、一つ一つ入ってみよう。
俺とミシェルに続いて誰かが入って来れるならダミー。
誰も入れなかったら、そこは封印の間だから…そん時はみんなここで待ってて」
「シゲル様!?」
みんなが俺を一斉に見る。
また危険な提案を…っていう顔をしている。
俺だって危ない事は分かってるけど、でも…。
「大丈夫、だってミシェルは強いもん。
片手に剣、片手に俺って事になっちゃうけど、いけるでしょ?」
「…ああ、任せろ」
俺はミシェルに右手を差し出す。
ミシェルはそれを左手で握り返す。
ミシェルは右利きだ。
だから右手には剣を握る。
「行こう、封印の間じゃなかったら、みんな、よろしくね」
「……はい」
今回もまた、右側の入口から入ってみる。
最初の入口は大体外れだから、みんなが剣を抜いて臨戦態勢だ。
「それじゃ、行くぞ」
「うん」
ミシェルが俺の手を引く。
俺はミシェルの半歩後ろを付いていく。
その後ろをリラさんとセトさんが、その後ろをトモアキとセレスさんとハイドさんが…
その時、遠くから唸り声が聞こえた。
「…魔物だ」
「うん」
ミシェルがまっすぐ前を向く。
俺は後ろから来るはずの皆の方を…
「えっ!?」
「どうした、シゲル」
「…だれも、いない」
「何だって!?」
…ってことは、ここが封印の、間…?
訳が分からなくて、二人で目を合わせる。
すると一気に場面が切り替わって、周りが明るく…
「…森っ!?」
「封印の間じゃないのか!?」
ぐるる…ぐるる…、魔物の声が近づいてくる。
のし…のし…のし…足音まで聞こえてくる。
「シゲル、あの茂みに身を隠そう」
「うん」
この雰囲気、内周の祠までの道に似てる。
ってことはこの森のどこかに祠がある……?
「…近いな」
「うん」
内周でも、2人で祠を回ったじゃないか。
だから大丈夫、ミシェルならやれる。
「シゲル、私は魔物を倒して来る。
だからここでじっとしていて」
「うん、分かった」
ミシェルは茂みから出て、魔物の方へ向かう。
俺はとにかく見つからないようにじっと…
え?
あっ!
「うわぁ!!?」
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