別にこいつとは付き合ってませんけど?

紫蘇

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恋人同士になる試練

不安の残る出発

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当然ながらセトさんが急に転移魔法を使えるようになることもなく、俺たちはかなりの不安を東の街に残したまま出発することに。

「転移先が相当に遠方で、しかも陣が無い場合の転移は相当の魔力を使う…ということだけは分かりましたので、後は同僚に託そうかと…。
 シゲル様とマキタ様をお呼びした時の術式と、こちらで使う転移魔法を組み合わせて工夫すれば、何とかなる気はします」
「じゃあ、何ともならないことは無さそう…?」
「何とかはなると思います、少なくともバンデリンでは使われている魔法ですし」

つまり大いに希望はある。
大丈夫だ。
多分。

そして、王都の使者さんも言った。

「今、急ぎ使者をバンデリンへ送っております。
 最悪そちらに連絡して、引き受けに来て貰う様言付けます」

何と、離れた相手に言葉を伝えるトランシーバー的なアイテムがあるらしい。
しかも国境を越えても全然使えるんだって!
すげーな異世界。

「目途が付きさえすれば、領主様も肩の荷が下りるでしょうしね」
「終わりが見えないのは辛いですからね」
「はい、なるべく急がせます。
 今回の計画であれば、ひと月程で着くかと」

バンデリンまでは馬と船で行けば3か月くらいかかるらしいけど、それこそ見えている場所なら転移陣なしの転移魔法が使えるのだそうで、今回は少数精鋭でチョコチョコとジャンプしながら進む事にしているそうだ。
魔法の仕組みは分からないけど、それでも充分凄い。

「それでは出発!」

ミシェルの号令で、馬車列が門の外へ向かう。
街の人たちの温かい激励の言葉がそこかしこから聞こえる。

「行ってらっしゃいませ聖人様!」
「がんばって~せいじんさまぁ!」
「ありがとー!!」

俺はまた調子に乗って、投げキッスで光をキラキラまき散らした。
馬車の中で、トモアキとマルコさんが二人して苦笑していた。

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