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聖人様になる旅路
そして内周最初の村へ
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心置きなく宴会をして、飲んで食べて寝落ちして、神様に今日の祠での事を褒めてもらったりして、次の日。
「それでは、我々はもう行く。
祠の封印は果たされたが、暫く森の中へ行くのは控えてもらいたい」
「はっ、わかりました騎士様」
「またお越しくださいね、聖人様!」
「次にお越しになる時には、もっと活気のある村になっていますから!」
「はい、その時はよろしくお願いします!」
村の人たちに見送られ、俺たちは最初に浄化した村へと出発した。
「…最初の村、ちゃんと浄化されたままかなぁ」
「さあ、行ってみない事には分かんないけど、ヤバくなってたら神様も何か言いそうなもんじゃね」
「言ってくれるのかねあの神様」
昨日、さすがに夢の中には俺とラブラヴ神様しかいなかったけど、会話も遊びもキスも、何ならその後のオナニーまで褒められて、超絶怒涛の恥ずかしさだった。
<この調子で外周の祠も頑張ってね!
気合い入れてセット組んじゃうから♡>
って、何のセットを組む気だろう…
嫌な予感しかしないな。
「どしたシゲ、お疲れか?」
「ううん、昨日の夢を思い出してゲンナリしてるだけ」
「あー、セットがどうとか言われたやつ?
内装がラブホみたいになってたら笑うな」
「そうだったらまだ良いけどさ、保健室とか旅館の部屋とかの再現されてたら嫌じゃね」
「あー、確かにガチでAVぽくて笑えないな…」
夢の中身を話すついでに、結局あの祠の中で何があったのかはトモアキに話した。
トモアキは「無理して話さなくていい」って、すげえ言ってくれるんだけどさ…
あの神様が黙ってるとは思えないんだよね。
こっぱずかしいけど、神様がグフグフ言いながら囁く前に言っておかないと、した事にプラスして隠してた事も恥ずかしくなっちゃう。
はー、何であんなに喋るかねぇ…。
黙ってれば美人なのになぁ。
***
午前中は特に何事もなく進んだ。
俺はトモアキがまとめた光の力研究ノートをめくりつつ、トモアキからも質問を受けたりした。
「祈るのと暴走じゃ、効果がちょっと違うんだな」
「そうそう、診療所とかは『みんな良くなれ~』って気持ちでやるだろ。
暴走は『元に戻れ』とか『いい加減にしろ』って気持ちが爆発してそうなるだろ。
そのせいか分かんないけど、祈る方は治癒の力のほうが強くて、暴走の方は闇を払う力のほうが強いみたいなんだ」
トモアキは内周の2つ目でその事に気が付いたらしく、毎回丁寧にデータを集めていたらしい。
「祈りでも暴走でも両方の効果があるんだけど、その比率が変わるっつうか、そんな感じ」
「へえー、ってことは、俺の心の持ち様で変わって来るって事?」
「そうそう、そゆこと」
「そんなん良く気づいたなぁ」
光の力の強さは浄化できた範囲で測ってたから、そこら中浄化して回ったらどっからどこまでだったかなんて分からなくなりそうなもんなのに…。
いちいち端っこ見つけて印つけたりしてたんかな…
誰かに手伝ってもらったとか?
俺が不思議に思っていると、トモアキが自慢げに言った。
「俺さ、何となく闇の力の量みたいなんが分かる様になってきたのよ。ファンデの色の違いを見分けるってか、そんな感じ?
そんで、どんくらい闇が抜けたか、範囲調べなくても分かるようになったんだ」
「おお…すげえ、元いた世界の知識が役立ってる!」
「だろ?違いの分かる男と呼べ」
ふははーとトモアキが笑う。
俺もそれに乗ってすげえすげえと笑う。
そして気づく。
「つまり、練習すれば時と場合に合わせて比率変えたりできる…?」
「うん、今後力を使うことが増えるだろ?
今のままだと結構無駄もあるから、そこを削ってって回数を増やせるようになれば…どうよ」
「いいな、それ!」
正直、今後何を頑張ればいいのか分かんなくなってたとこだから、努力する方向が見えたのは有難い。
「よーし、もっと出来るようになるぞ!」
「おう、頑張れ!」
とにかく何かしなきゃ。
天寿を全うするためにも!
「それでは、我々はもう行く。
祠の封印は果たされたが、暫く森の中へ行くのは控えてもらいたい」
「はっ、わかりました騎士様」
「またお越しくださいね、聖人様!」
「次にお越しになる時には、もっと活気のある村になっていますから!」
「はい、その時はよろしくお願いします!」
村の人たちに見送られ、俺たちは最初に浄化した村へと出発した。
「…最初の村、ちゃんと浄化されたままかなぁ」
「さあ、行ってみない事には分かんないけど、ヤバくなってたら神様も何か言いそうなもんじゃね」
「言ってくれるのかねあの神様」
昨日、さすがに夢の中には俺とラブラヴ神様しかいなかったけど、会話も遊びもキスも、何ならその後のオナニーまで褒められて、超絶怒涛の恥ずかしさだった。
<この調子で外周の祠も頑張ってね!
気合い入れてセット組んじゃうから♡>
って、何のセットを組む気だろう…
嫌な予感しかしないな。
「どしたシゲ、お疲れか?」
「ううん、昨日の夢を思い出してゲンナリしてるだけ」
「あー、セットがどうとか言われたやつ?
内装がラブホみたいになってたら笑うな」
「そうだったらまだ良いけどさ、保健室とか旅館の部屋とかの再現されてたら嫌じゃね」
「あー、確かにガチでAVぽくて笑えないな…」
夢の中身を話すついでに、結局あの祠の中で何があったのかはトモアキに話した。
トモアキは「無理して話さなくていい」って、すげえ言ってくれるんだけどさ…
あの神様が黙ってるとは思えないんだよね。
こっぱずかしいけど、神様がグフグフ言いながら囁く前に言っておかないと、した事にプラスして隠してた事も恥ずかしくなっちゃう。
はー、何であんなに喋るかねぇ…。
黙ってれば美人なのになぁ。
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午前中は特に何事もなく進んだ。
俺はトモアキがまとめた光の力研究ノートをめくりつつ、トモアキからも質問を受けたりした。
「祈るのと暴走じゃ、効果がちょっと違うんだな」
「そうそう、診療所とかは『みんな良くなれ~』って気持ちでやるだろ。
暴走は『元に戻れ』とか『いい加減にしろ』って気持ちが爆発してそうなるだろ。
そのせいか分かんないけど、祈る方は治癒の力のほうが強くて、暴走の方は闇を払う力のほうが強いみたいなんだ」
トモアキは内周の2つ目でその事に気が付いたらしく、毎回丁寧にデータを集めていたらしい。
「祈りでも暴走でも両方の効果があるんだけど、その比率が変わるっつうか、そんな感じ」
「へえー、ってことは、俺の心の持ち様で変わって来るって事?」
「そうそう、そゆこと」
「そんなん良く気づいたなぁ」
光の力の強さは浄化できた範囲で測ってたから、そこら中浄化して回ったらどっからどこまでだったかなんて分からなくなりそうなもんなのに…。
いちいち端っこ見つけて印つけたりしてたんかな…
誰かに手伝ってもらったとか?
俺が不思議に思っていると、トモアキが自慢げに言った。
「俺さ、何となく闇の力の量みたいなんが分かる様になってきたのよ。ファンデの色の違いを見分けるってか、そんな感じ?
そんで、どんくらい闇が抜けたか、範囲調べなくても分かるようになったんだ」
「おお…すげえ、元いた世界の知識が役立ってる!」
「だろ?違いの分かる男と呼べ」
ふははーとトモアキが笑う。
俺もそれに乗ってすげえすげえと笑う。
そして気づく。
「つまり、練習すれば時と場合に合わせて比率変えたりできる…?」
「うん、今後力を使うことが増えるだろ?
今のままだと結構無駄もあるから、そこを削ってって回数を増やせるようになれば…どうよ」
「いいな、それ!」
正直、今後何を頑張ればいいのか分かんなくなってたとこだから、努力する方向が見えたのは有難い。
「よーし、もっと出来るようになるぞ!」
「おう、頑張れ!」
とにかく何かしなきゃ。
天寿を全うするためにも!
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