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聖人様になる旅路
内周の祠、残り3
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ミシェルからの告白とか、マルコさんからの猛プッシュとか、色々あったけど旅は順調に進んだ。
こんな事で浄化の巡礼をしくじる訳にはいかないから、個人的な感情はまた別だ。
俺もトモアキもあっちこっち浄化して回ってるうちにそれほど気にしなくなった。
てか、ぶっちゃけみんな命懸けだから、そんなことに構ってられないんだよね。
そんなことで連携乱して死んだら困るもん…
俺が暴走するのは相変わらずだけど。
でも、ちょっと成長したとこもある。
祠も9つ目まで終わって、ラジオ体操も今や1時間連続でやり続ける体力がついてきたんだ。
これで内周の祠は最後までクリアできそう。
これはみんなのおかげでもある。
毎日少しでも食べる量が増える様にって、トモとみんなでわざわざ俺のおやつを作ってくれたんだ。
木の実がいっぱい入ってて、ほんのり甘くて、ちっちゃくて食べやすいパンみたいなおやつ。
相変わらずお菓子代を節約してる俺にとって、とてもありがたいプレゼントだ。
使われてる木の実は、祠から俺らが出てくるまでの間にみんなで拾い集めてくれたんだって。
栄養もいっぱいなんだって、トモアキが言ってた。
みんなに支えられてばかりも何だから、少しでも返せるように毎日光の力も練習して、レベル30までなら平常心でできるようにもなった。
信者が増えて来たからか、光の力も大きくなってるみたい…この調子でどんどん力を増やしていこう。
そうそう、クリスチーヌさんとトモアキの関係も、ちょっとばかし進展した。
2人でお買い物へ行く程度のことだけど、それでもデートはデートだ。
早くクリスチーヌさんのハートを掴めるといいなと思う。
俺とトモアキはクリスチーヌさんと一緒に馬車に揺られながら会話する。
「内周の祠もあと3つか…」
「シゲ、外周の祠までに覚悟決めとけよな」
「いやいや、光の力で恩を着せるとかすれば、まだやりようはある…」
「それ以前に、素直に娼館まで連れてってもらえると思う?」
「…………」
確かにそうだ。
俺が娼館で女の人を頼む話をしたら、
女性陣は
「マキタ様がいらっしゃいます」って言うし、
男性陣は
「ミシェルがいるではないですか」って言う。
娼館の場所を街の人に聞こうにも、トモアキが
「聖人が娼館探してた、なんて噂が立ったら信者減るかもしれないし、リスク高くね」
って言うし…。
クリスチーヌさんとちょっとだけど進展したトモアキに代理で聞いてもらうのも悪いし、そもそもずっとミシェルが付いてきてるわけで…
はあ。
「やっぱミシェルと…なのかなあ」
「シゲがどうしても嫌なら、リラさんかセレスさんに頼めば良いんじゃん?」
「うーんそれもな…セクハラになりそうだし」
するとトモアキが真っ直ぐ俺の目を見て言う。
「……本音はそこか?」
「えっ…」
トモアキは俺の目を見て問い質す。
「その辺はみんな理解してくれるんじゃねーの?
セクハラだとか気にしてる場合じゃねーし」
「う…ん、それは、そう…だけど」
そう…なんだけどさ。
そうなんだけど…でもなあ。
「……俺が恋愛に夢見てるだけかもしんないけど、誰でも良いって言うのも違うだろ?
折角仲良くなれたのに、そんな扱いしたくない。
それだったら、お金払って、後腐れない間柄でって…お互いに利益があるんなら気に病む事もないし」
俺には、愛も恋も分かんない。
だけど、弄んでいい感情じゃないのは分かる。
お互い遊びならそれはそれだし、割り切った関係もそれはそれだ、って思えるんだけど…。
「うーん…恋愛、恋愛か…」
「シゲってホント真面目だよなぁ」
「そうかな…ただ無知な、だっ!?」
…急に馬車が停まった。
外が一気にざわついて、不穏な空気が流れる。
「…何だろ」
「動くなシゲ、かがみこんでじっとしてろ」
「お、おう」
俺は座席から降りて床へうずくまった。
だけどどうしても外の様子が気になって、こっそり馬車の窓に近づいて、そこから外を覗ってみた。
窓の隙間から何か不思議な匂いが漂う…
なんじゃこれ。
クリスチーヌさんがトモアキに言った。
「私が外を見て参ります。
カラタニ様とマキタ様はここでお待ちを」
「駄目だ、クリスチーヌさんも危ない」
「大丈夫です、こういう時の訓練も積んでおりますから」
「…じゃあ、頼む」
「はい、行ってまいります」
クリスチーヌさんはトモアキと最低限の会話をして、馬車の扉に耳を当て……
「どうやら、私も外へ出ないほうが良さそうです」
と言った。
こんな事で浄化の巡礼をしくじる訳にはいかないから、個人的な感情はまた別だ。
俺もトモアキもあっちこっち浄化して回ってるうちにそれほど気にしなくなった。
てか、ぶっちゃけみんな命懸けだから、そんなことに構ってられないんだよね。
そんなことで連携乱して死んだら困るもん…
俺が暴走するのは相変わらずだけど。
でも、ちょっと成長したとこもある。
祠も9つ目まで終わって、ラジオ体操も今や1時間連続でやり続ける体力がついてきたんだ。
これで内周の祠は最後までクリアできそう。
これはみんなのおかげでもある。
毎日少しでも食べる量が増える様にって、トモとみんなでわざわざ俺のおやつを作ってくれたんだ。
木の実がいっぱい入ってて、ほんのり甘くて、ちっちゃくて食べやすいパンみたいなおやつ。
相変わらずお菓子代を節約してる俺にとって、とてもありがたいプレゼントだ。
使われてる木の実は、祠から俺らが出てくるまでの間にみんなで拾い集めてくれたんだって。
栄養もいっぱいなんだって、トモアキが言ってた。
みんなに支えられてばかりも何だから、少しでも返せるように毎日光の力も練習して、レベル30までなら平常心でできるようにもなった。
信者が増えて来たからか、光の力も大きくなってるみたい…この調子でどんどん力を増やしていこう。
そうそう、クリスチーヌさんとトモアキの関係も、ちょっとばかし進展した。
2人でお買い物へ行く程度のことだけど、それでもデートはデートだ。
早くクリスチーヌさんのハートを掴めるといいなと思う。
俺とトモアキはクリスチーヌさんと一緒に馬車に揺られながら会話する。
「内周の祠もあと3つか…」
「シゲ、外周の祠までに覚悟決めとけよな」
「いやいや、光の力で恩を着せるとかすれば、まだやりようはある…」
「それ以前に、素直に娼館まで連れてってもらえると思う?」
「…………」
確かにそうだ。
俺が娼館で女の人を頼む話をしたら、
女性陣は
「マキタ様がいらっしゃいます」って言うし、
男性陣は
「ミシェルがいるではないですか」って言う。
娼館の場所を街の人に聞こうにも、トモアキが
「聖人が娼館探してた、なんて噂が立ったら信者減るかもしれないし、リスク高くね」
って言うし…。
クリスチーヌさんとちょっとだけど進展したトモアキに代理で聞いてもらうのも悪いし、そもそもずっとミシェルが付いてきてるわけで…
はあ。
「やっぱミシェルと…なのかなあ」
「シゲがどうしても嫌なら、リラさんかセレスさんに頼めば良いんじゃん?」
「うーんそれもな…セクハラになりそうだし」
するとトモアキが真っ直ぐ俺の目を見て言う。
「……本音はそこか?」
「えっ…」
トモアキは俺の目を見て問い質す。
「その辺はみんな理解してくれるんじゃねーの?
セクハラだとか気にしてる場合じゃねーし」
「う…ん、それは、そう…だけど」
そう…なんだけどさ。
そうなんだけど…でもなあ。
「……俺が恋愛に夢見てるだけかもしんないけど、誰でも良いって言うのも違うだろ?
折角仲良くなれたのに、そんな扱いしたくない。
それだったら、お金払って、後腐れない間柄でって…お互いに利益があるんなら気に病む事もないし」
俺には、愛も恋も分かんない。
だけど、弄んでいい感情じゃないのは分かる。
お互い遊びならそれはそれだし、割り切った関係もそれはそれだ、って思えるんだけど…。
「うーん…恋愛、恋愛か…」
「シゲってホント真面目だよなぁ」
「そうかな…ただ無知な、だっ!?」
…急に馬車が停まった。
外が一気にざわついて、不穏な空気が流れる。
「…何だろ」
「動くなシゲ、かがみこんでじっとしてろ」
「お、おう」
俺は座席から降りて床へうずくまった。
だけどどうしても外の様子が気になって、こっそり馬車の窓に近づいて、そこから外を覗ってみた。
窓の隙間から何か不思議な匂いが漂う…
なんじゃこれ。
クリスチーヌさんがトモアキに言った。
「私が外を見て参ります。
カラタニ様とマキタ様はここでお待ちを」
「駄目だ、クリスチーヌさんも危ない」
「大丈夫です、こういう時の訓練も積んでおりますから」
「…じゃあ、頼む」
「はい、行ってまいります」
クリスチーヌさんはトモアキと最低限の会話をして、馬車の扉に耳を当て……
「どうやら、私も外へ出ないほうが良さそうです」
と言った。
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