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聖人様になる旅路
パレード、そして出発
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式典が無事に終わって、今度はパレードだ。
極度の緊張から足がガクガクになっていた俺は、馬車までトラさんにお姫様抱っこで運ばれる。
「トラさん、シゲは俺が背負うから」
「いえ、急ぎですから、私が」
トモアキがさっきから「男が男にお姫様抱っこ」という珍図式を何とか改めようとしてくれるが、トラさんは分かってくれる様子が無い。
もはや黙って運ばれる以外の選択肢が無い俺は黙ってそれを受け入れるだけだ。
つらい。
トラさんは速やかに俺を馬車へ乗せ、俺の隣に座る。
トモアキは俺の正面に座る。
トモアキの隣にはクリスチーヌさんが座る。
クリスチーヌさんが言う。
「……トライデント様は馬で行かれるはずでは?」
「カラタニ様のご様子が心配でな。
問題ない、車内での護りに騎士が同乗するのはままあることだ」
「……車内に危険が及ぶ前に何とかするのが、あなた方の仕事なのでは?」
「勿論だ、だが何事にも完全という事は無い」
2人が急に言い合いを始める。
なんか、変な空気…
そこへトモアキが急に割って入る。
「トラさん、最初に行く村の宿なんだけど、俺とシゲって同じ部屋だよね?」
「……そうですが」
「ちょっとだけ変わってあげようか」
「「えっ!?」」
トラさんとクリスチーヌさんがびっくりする。
俺は理由が分からず困惑する。
トモアキは続ける。
「そんかし、今は馬で行って欲しいんだ。
シゲを休ませるのに、座席を広く使わせてやりたいからさ」
「!!…かしこまりました」
トラさんがすごすごと馬車から出て行く。
「トモすげえな…トラさんに言う事きかすなんて」
「ああうん、なんとなく分かってきたから」
「そうなの?俺はまだちょっと…あ、動いた!」
トラさんが馬に乗ったからか、パレードが始まるようだ。
馬車が動き出し、さっきの正門から出る。
めっちゃ人がいる。
拳をあげて叫んでいる人もいる。
怒ってるわけじゃなさそうだけど。
「ほら、シゲ、手…行けるか?」
「ああうん、大丈夫…緊張が解けて、ガクブルがやってきただけだから」
「めっちゃ人いたもんな!
でも結果良かったんじゃん?さっきので聖人様ファンも増えたと思うぜ」
「そうだといいなあ…」
馬車はカタカタ揺れる。
俺は窓から、集まった人たちに手を振る。
「このまま街を出るんだっけ?」
「そうそう…
あ、シゲ、途中で手を振るの変わろうぜ」
「えっ、変わってくれんの?」
「おう!だってパレードでお手振りなんて、めったに経験できないじゃん」
「確かになー」
そうして俺とトモは、交互に手を振りながら街の外へと向かった。
ここから3日間ほどで、最初の村へ着くそうだ。
闇の力を払う旅…だけど、旅行といえば修学旅行しか経験の無い俺は、不謹慎だと思いつつもこの旅を少し楽しみにしていた。
残念ながら、それは王都を出てしばらく行ったあたりでげんなりに変わるんだけどね…
あっ、また強めに薄暗い(?)ところがある…
止まってもらって、浄化しなきゃ。
「闇の力、広がり過ぎじゃね?」
うーん、なんでこんなになってんだろ…。
極度の緊張から足がガクガクになっていた俺は、馬車までトラさんにお姫様抱っこで運ばれる。
「トラさん、シゲは俺が背負うから」
「いえ、急ぎですから、私が」
トモアキがさっきから「男が男にお姫様抱っこ」という珍図式を何とか改めようとしてくれるが、トラさんは分かってくれる様子が無い。
もはや黙って運ばれる以外の選択肢が無い俺は黙ってそれを受け入れるだけだ。
つらい。
トラさんは速やかに俺を馬車へ乗せ、俺の隣に座る。
トモアキは俺の正面に座る。
トモアキの隣にはクリスチーヌさんが座る。
クリスチーヌさんが言う。
「……トライデント様は馬で行かれるはずでは?」
「カラタニ様のご様子が心配でな。
問題ない、車内での護りに騎士が同乗するのはままあることだ」
「……車内に危険が及ぶ前に何とかするのが、あなた方の仕事なのでは?」
「勿論だ、だが何事にも完全という事は無い」
2人が急に言い合いを始める。
なんか、変な空気…
そこへトモアキが急に割って入る。
「トラさん、最初に行く村の宿なんだけど、俺とシゲって同じ部屋だよね?」
「……そうですが」
「ちょっとだけ変わってあげようか」
「「えっ!?」」
トラさんとクリスチーヌさんがびっくりする。
俺は理由が分からず困惑する。
トモアキは続ける。
「そんかし、今は馬で行って欲しいんだ。
シゲを休ませるのに、座席を広く使わせてやりたいからさ」
「!!…かしこまりました」
トラさんがすごすごと馬車から出て行く。
「トモすげえな…トラさんに言う事きかすなんて」
「ああうん、なんとなく分かってきたから」
「そうなの?俺はまだちょっと…あ、動いた!」
トラさんが馬に乗ったからか、パレードが始まるようだ。
馬車が動き出し、さっきの正門から出る。
めっちゃ人がいる。
拳をあげて叫んでいる人もいる。
怒ってるわけじゃなさそうだけど。
「ほら、シゲ、手…行けるか?」
「ああうん、大丈夫…緊張が解けて、ガクブルがやってきただけだから」
「めっちゃ人いたもんな!
でも結果良かったんじゃん?さっきので聖人様ファンも増えたと思うぜ」
「そうだといいなあ…」
馬車はカタカタ揺れる。
俺は窓から、集まった人たちに手を振る。
「このまま街を出るんだっけ?」
「そうそう…
あ、シゲ、途中で手を振るの変わろうぜ」
「えっ、変わってくれんの?」
「おう!だってパレードでお手振りなんて、めったに経験できないじゃん」
「確かになー」
そうして俺とトモは、交互に手を振りながら街の外へと向かった。
ここから3日間ほどで、最初の村へ着くそうだ。
闇の力を払う旅…だけど、旅行といえば修学旅行しか経験の無い俺は、不謹慎だと思いつつもこの旅を少し楽しみにしていた。
残念ながら、それは王都を出てしばらく行ったあたりでげんなりに変わるんだけどね…
あっ、また強めに薄暗い(?)ところがある…
止まってもらって、浄化しなきゃ。
「闇の力、広がり過ぎじゃね?」
うーん、なんでこんなになってんだろ…。
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