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メリー、クリスマス!
サンタコスの下のコス ~政景さん視点~
しおりを挟む「ねえ政景さん?
このサンタ服、脱がせてみて」
陽向君が言った。
彼がどういうつもりで言ったのかは分からない。
だけど、自分が彼に付けただろう傷を直視する勇気が無い。
脱がせてから、その傷の事を責められたら…
潔く謝るしかないのだけど。
私はサンタ服の背中のジッパーを静かに下ろした。
そして、袖の引きちぎれたそれを…
「…陽向君」
「なあに、政景さん?」
「酷くして、ごめん…」
「うん、痛かった」
痛かった…よね。
顔を隠した事が、これほど本性を剥き出しにするなんて思わなくて…
虐めて、泣かせて、優しくして…
そんな最低の方法で、君を縛り付けようとして。
自分の性癖が歪んでいるのは分かっていたのに…
「これからは、優しくする」
「…もうコスチュームプレイは、やめちゃうの?」
えっ…?
どういう、事…?
「ふふ、反省してるんだ」
「それは!…その、陽向が許してくれるから、つい…調子に、乗ってしまって…。だから…」
「良いんだよ、政景さんが変態なの、良く分かってるし」
「っ!」
「今までだって、散々好きにして来たでしょ?
ほら、早く脱がせてみてってば!」
「う、うん…」
そっと服に手をかけ、優しく肩口を露出させるようにして…
ん?
なんだ、この、白い…布?
まさか。
ちょっと待って。
えっ、えっ…!?
「ふふっ…びっくりした?」
「陽向君、これ…!!」
赤い服を脱がせた下には、真っ白な…エプロン。
腰から下、膝上丈のそれは…
「そういえばこれはまだだったな…と思って」
「ひなたくん…!!」
サンタ服を脱がせて、現れたのは…
男の夢。
「はだか、えぷろん…!」
「そうだよ?
これがバレたらやだなと思って…サプライズにならないからさ」
「……!」
恥ずかしそうに笑う陽向。
あまりの衝撃に声の出ない私。
そんな私の姿に喜ぶ陽向…
そして、彼は言った。
「政景さん。
プレゼントは…お・れ♡」
「っ!」
あぁぁあああざといぃいぃい!!!
かわいい!
かわいすぎる!
永久保存したい!!
どうしようどうしようどうしよう!!
そうだ、とりあえず撮影はしてるんだった。
サンタ服で喘ぐ陽向君を永久保存しようと思って。
グッジョブ私。
グッジョブ!!!
どうしよう、瞳孔が開いてきた気がする。
そんな私に陽向君は微笑みながら言う。
「言ったでしょ、俺も政景さんの事、好きだって」
「……っ!」
「愛してるよ、旦那様」
「だ、」
「でも、まだちょっとSMプレイは早いと思う」
「うっ」
「だけど、いっぱい気持ちよくしてくれるセックスは…好きかも」
「すっ!」
だ、駄目だ、もう…
これが、これが…尊死…!
どうしよう、心臓が息してない…そもそも心臓は息をしないけど!
もう何もかも夢、ゆめみたいなのに、陽向君は…さらに、駄目押しする。
「もう、政景さんじゃなきゃ駄目な体になっちゃったから…
責任取って、くれますか?」
「とるっ!!!」
とる!
とるとも!
とらいでか!!
「ひな、わたしの…陽向」
「そう、政景さんの陽向だよ」
その微笑みで死ぬ。
もう5回死んでる。
いや、陽向君の為なら何度だって死ねる!
今だ、政景!言え!言うぞ!!
「結婚、しよう」
「はい」
「えっ!?」
そんな簡単に?
相手はド変態だよ?
自分で言うのも何だけど超変態だよ!?
「ほんとに?」
「本当だよ」
いいの?本気にするよ?
大丈夫?大丈夫なの?
「ほんとのほんとに?」
「本当だよ」
その後、私は何度も本当に本当か陽向君に尋ね…
陽向君はその度に、本当だよと言ってくれて。
私は、自分史上最高のクリスマスを手に入れた。
…でも来年には更新しちゃうんだろうけどね!
毎年史上最高!
クリスマス最高!!
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