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妹視点
うちの兄が変態だった件 2
しおりを挟むある日の朝、お兄ちゃんから電話があった。
それは衝撃の内容だった。
「えっ!?お兄ちゃん、安田さんと付き合えることになったの!?」
「ああ、美咲には報告しておこうと思ってね。
今まで私の事で苦労を掛けてきただろう?」
あの安田さんが、兄の気持ちを受け入れてくれた…
奇跡!!
なんて奇跡なの!
あんないい人が、あのド変態野郎と付き合ってくれるなんて…
私を性的な目で見ない、
うちの資産を狙ってもいない、
しかも話を聞くのが上手くて、物腰が柔らかくて…
奇跡!!
奇跡じゃないの!?
長船家の奇跡よこれは!!
「しかも同棲も視野に入れての交際だ」
「拉致監禁とかじゃなくて?」
「もちろんだよ、そうでなければ妹に報告などしないだろう?」
「脅迫とかでもなくて?」
「とうぜんじゃないか」
…脅迫じみた事はしたのね。
「高田君にも伝えて欲しい。
安田君はもう私の物だってね」
「そんな事言わなくても、高田君は安田さんを性的な目で見てないから」
「性的な関係が無いからと言って遠慮なく距離を詰めるのはいかがなものか」
「……」
もう独占欲丸出しじゃないの。
大丈夫なのこんなので…
ちゃんと先続くんでしょうね?
「付き合えたからって調子こいてたら逃げられるわよ、お兄ちゃん」
「分かっている、もう胃袋を掴む事には成功している」
「これからも掴み続けてよ?
あんまり無理させちゃ駄目よ、それから、ちゃんと対等な人間としてのコミュニケーションを…」
「大丈夫さ、陽向君も時々、私をご主人様って呼んでくれるよ」
「…は?」
ご しゅ じ ん さ ま ?
「絶対大丈夫じゃないやつじゃないの!」
「大丈夫、一生大事にすると誓っている。
今度の夏休みにはロンドンへ行って結婚してくるつもりだ」
「しれっと飯のまずい所へ連れて行くんじゃないわよ」
「美咲、イギリスに対して失礼だよ」
「良い思い出が無いからね!」
ロンドンのコレクションで「チャイニーズチャイニーズ」って馬鹿にしてきた連中を、私は忘れない。
国籍も覚える価値無いわね、みたいな嫌味…
思い出したら腹立ってきたわ。
「ともかく、安田さんを今以上に大事にしてね。
逃げられないでよ、本当に、お願い」
「分かってるさ…対策は取っているからね」
「あっこれだめなやつだ」
交際しはじめたら、今度は長く続いてくれなきゃ困る。
だって安田さんが逃げたら…
嫌っ!
考えたくない!!
私、幸せになるのよ!
高田君とそう約束したじゃない!
「…今度二人で挨拶に行くから。
安田さんに良くない兆候が見えたら、連れて帰るからね」
「なっ!何を言うんだね美咲」
「それが嫌なら安田さんへの束縛を辞めなさい!」
「そ、そくばくなんかしてないよぉ」
「してるじゃないのよ!!」
もー、カマかけたらもうゲロってるじゃん。
身内から犯罪者出すのだけは勘弁してよね!?
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