【完結】スパダリを目指していたらスパダリに食われた話

紫蘇

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受視点

思い切った買い物

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カスクートというのを初めて知った日から2週間。
俺は悩みに悩んで、ついに結論を出した。

「…よし、これだ」

ポチッとな。

「…配達希望日は、金曜の19:00以降…っと」

土曜日は課長のマンションに行く予定だから、それまでに何とか受け取って…そうだ、置き場所も確保しておかないと!

「クローゼットに入れば良いんだけど…」

クローゼットの中は服と漫画と、古いゲーム機と、タワー型自作PC。
タワーPCは使わなくなって久しいし、処分しないといけないんだけど中々踏ん切りがつかないんだ。

「…とりあえず一旦出して空にしよう」

断捨離はそれからだ。要らない服は捨てて、読まなくなった漫画は売って…、それから…

「…土曜日、片付けしないと駄目かも」

弟子の分際ではあるけど、課長には断りを入れて…
っと、忘れないうちにメッセしとこ。
すみませんが今週末は忙しくて……っと。
よし。

「いっそ大掃除してもいいかな…」

電書でもいい本は電書で買い直して、本棚には紙で取っておきたい本だけ入れて、整理しよう。
すげー金かかるけど、そうしなきゃ片付かない。

「1日で終わる量じゃないかも…」
と、その時。
俺のスマホがピロリンと鳴って、課長からメッセージが届いた。

【何かあったの?】
…そして寂しいよーのスタンプ。
【困った事があるなら相談して?】
…そしてウルウル目の猫のスタンプ。

「…課長、俺が来るの楽しみにしてくれてんのかな」

何かちょっと嬉しい。
やっぱ土曜日は課長の…
いやでも、ここはお断りしないと!
もしバレたら社会的にアレだもん。

俺は課長に返信した。

「家の用事で、土日は忙しいので」
それから土下座のスタンプ。
すると課長からメッセージ。
【ご実家で何かあったの?】
…首を傾げた猫のスタンプ。

「実家の事では無いです、安心してください。
 自分の家の用事が溜まってて、すみません」
再び土下座のスタンプ。

【そうか、土日はいつも家に来るから用事が溜まっちゃったんだね、ごめんね】
…許してと言わんばかりのウルウル目のスタンプ。

「そんな、課長のせいじゃないです!
 俺こそいつもお邪魔してすみません、今週末は課長ものんびりお過ごしください」
…で、スタンプは…無しでいいか。
どれがいいか分かんないしな。

しばらくすると課長からはありがとうって言ってる猫のスタンプが届き、メッセージは終了した。

「…申し訳ないけど、こればっかりは仕方ない」

そうだ、次の次の土日は俺提案で遊びに誘って、いつものお礼に何か奢ろう…。
俺だってお勧めの店の1つくらいある。
近所の町中華だけどな!

「スパダリと町中華…斬新すぎるかな」

せめてどっかにお出掛けするとか…
課長と行ったこと無いとこが良いよな。
うーん…うーん……そうだ!!

「母ちゃんが『日帰りバスツアー最高』って言ってたし、探してみよう!」

今はネットで何でも探せるからな。
りんご狩りツアーとか、カニふぐ食べ放題とか、滝を見て温泉入ってすき焼き食うやつとか…

「どれがいいかな…」

安くてお土産ついてて、朝それほど早くなくて…

「迷うなぁ…」

俺はそのまま、日帰りツアーの料金と内容を調べることに没頭した。
没頭して、しまったんだよ…。

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