【完結】スパダリを目指していたらスパダリに食われた話

紫蘇

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受視点

スパダリ、襲来

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目を覚ますと、いつの間にか土曜日の朝だった。

「昨日あのまま寝ちゃったのか…」

俺はとりあえず彼女の表面を除菌ウェッティーで拭いて、そっと布団をかけた。
すると異様な程に自分の置かれた現実が襲ってきた。

「そうだ、片付けなきゃ!」

課長の家に行くのを断ってまで予定を開けたのだ。
断捨離せずにおくものか!

「とにかく漫画と本とゲームを分けよう」

ぐちゃぐちゃになっているからいけないんだ。
ここは本、ここは漫画、ここはゲーム…

「よし、やるぞ!」

俺は窓と玄関の扉も少々開けて換気をし、そうして何とかやる気を絞り出して物の仕分けを始めた。

「本…本はジャンルで分けた方が良いかな…」
「漫画もジャンルで…いや、レーベル別が良いか」
「ゲームはハードごとに分けよう」

棚にギュウギュウと並べた本も一旦出して、あーこれ懐かしい…

「今読んでも面白いなハ○ヒ」

はっ!いかん、読んでる場合じゃなかった。
ラノベはこっち、SFはこっち…あーこれ、結局挫折した順○都市…

「うーん…やはり難しい……はっ!」

いかん、ついつい…今は読書より片付けだ!
これはこっち…

と、その時、玄関の呼び鈴が鳴った。

<ピンポーン>

「ん?なんだろ…面倒だなぁ」

居留守を使おうか…と思ったけど、換気のために玄関の扉を開けてた俺に逃げ場は無い。
仕方ない、ちゃちゃっとお帰り願おう…

<ピンポーン>

「はーい、今出ますー!」

俺は急いで玄関の扉を全開に…
と、そこにいたのは…

「おっ、さふねかちょう!?」
「やあ陽向君、片付けは進んでるかい?」
「え、ええ、まあ、それなりに…」
「お昼食べてないかと思って買ってきたんだ…ちょっとキッチン借りていいかな」
「えっ、いや、片付いてないんで」
「ついでに片付けも手伝うからさ」

課長は気安くかつ有無を言わせず俺の部屋に上がり込む。どうしよう、この家、キッチンと部屋の間に何も仕切りが無いんだ、全部見えちゃう!

「失礼しま、す…」
「か、課長、そっち見ないで!!」

俺の叫びも虚しく、課長の目は俺の布団に釘付けになる。

「陽向君…これは、どういう事…」
「あっ、あっ、」

怒りに満ちた課長は俺の布団に近づき…

「駄目ですってば、あっ!」


***


「…陽向君、これは」
「いや、その…はい…」

だって、料理に家事に…は人に聞けるけどさ。
エッチなことは自力で学ぶしかないじゃん?
だから恥を忍んでハウツー本を買って、思い切って練習用ラブドールを買うか悩んで…

一番安いのを買ってみた。

そんだけ!
そんだけのことなの!!

俺だって、もう28歳だし。
相手を悦ばせられるようでないとさ…
学生みたいなエッチしてる場合じゃないし。

課長に見つかるとは思ってなかったんだ。
だってうちに来るなんて思わなかったし。

「セックスが上手くなりたいの?」
「…はい」
「だったら相手の気持ちを知らないとね」
「…はい」
「じゃあまずはキスから」
「えっ…」

課長は俺の顎を指先で持ち上げて、真っ直ぐ目を合わせて来る。

「ゆっくり目を閉じてご覧?」
「は…い」

俺は言われるがまま目を閉じた。
課長の顔が近づいてくる気配がして…

「ドキドキする?」
「…っ」

俺はきゅっと口を閉じてコクコクと頷く。

「素直だね、陽向君は。
 こうされると、緊張するね?」

俺はまた頷く。
課長が言う。

「だから「顎クイ」はあまりお勧めしないかな…
 目を開けて?」
「は、い…」
「陽向君は、キスがどういうものなのか分かる?」
「え、と…口を、くっつける…」
「そう、でもね。
 セックスの時にするキスは、愛情表現であり…愛撫の一つなんだ」
「は、はあ」
「…じゃあ、確かめてみようか」
「え」

そう言って、課長は俺の口へ指を当てて…

「口を開けなさい、陽向。
 どこが感じる場所か、自分で感じてご覧」

俺は言われるがまま、口をこわごわと開け…
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