10 / 32
受視点
スパダリ、襲来
しおりを挟む
目を覚ますと、いつの間にか土曜日の朝だった。
「昨日あのまま寝ちゃったのか…」
俺はとりあえず彼女の表面を除菌ウェッティーで拭いて、そっと布団をかけた。
すると異様な程に自分の置かれた現実が襲ってきた。
「そうだ、片付けなきゃ!」
課長の家に行くのを断ってまで予定を開けたのだ。
断捨離せずにおくものか!
「とにかく漫画と本とゲームを分けよう」
ぐちゃぐちゃになっているからいけないんだ。
ここは本、ここは漫画、ここはゲーム…
「よし、やるぞ!」
俺は窓と玄関の扉も少々開けて換気をし、そうして何とかやる気を絞り出して物の仕分けを始めた。
「本…本はジャンルで分けた方が良いかな…」
「漫画もジャンルで…いや、レーベル別が良いか」
「ゲームはハードごとに分けよう」
棚にギュウギュウと並べた本も一旦出して、あーこれ懐かしい…
「今読んでも面白いなハ○ヒ」
はっ!いかん、読んでる場合じゃなかった。
ラノベはこっち、SFはこっち…あーこれ、結局挫折した順○都市…
「うーん…やはり難しい……はっ!」
いかん、ついつい…今は読書より片付けだ!
これはこっち…
と、その時、玄関の呼び鈴が鳴った。
<ピンポーン>
「ん?なんだろ…面倒だなぁ」
居留守を使おうか…と思ったけど、換気のために玄関の扉を開けてた俺に逃げ場は無い。
仕方ない、ちゃちゃっとお帰り願おう…
<ピンポーン>
「はーい、今出ますー!」
俺は急いで玄関の扉を全開に…
と、そこにいたのは…
「おっ、さふねかちょう!?」
「やあ陽向君、片付けは進んでるかい?」
「え、ええ、まあ、それなりに…」
「お昼食べてないかと思って買ってきたんだ…ちょっとキッチン借りていいかな」
「えっ、いや、片付いてないんで」
「ついでに片付けも手伝うからさ」
課長は気安くかつ有無を言わせず俺の部屋に上がり込む。どうしよう、この家、キッチンと部屋の間に何も仕切りが無いんだ、全部見えちゃう!
「失礼しま、す…」
「か、課長、そっち見ないで!!」
俺の叫びも虚しく、課長の目は俺の布団に釘付けになる。
「陽向君…これは、どういう事…」
「あっ、あっ、」
怒りに満ちた課長は俺の布団に近づき…
「駄目ですってば、あっ!」
***
「…陽向君、これは」
「いや、その…はい…」
だって、料理に家事に…は人に聞けるけどさ。
エッチなことは自力で学ぶしかないじゃん?
だから恥を忍んでハウツー本を買って、思い切って練習用ラブドールを買うか悩んで…
一番安いのを買ってみた。
そんだけ!
そんだけのことなの!!
俺だって、もう28歳だし。
相手を悦ばせられるようでないとさ…
学生みたいなエッチしてる場合じゃないし。
課長に見つかるとは思ってなかったんだ。
だってうちに来るなんて思わなかったし。
「セックスが上手くなりたいの?」
「…はい」
「だったら相手の気持ちを知らないとね」
「…はい」
「じゃあまずはキスから」
「えっ…」
課長は俺の顎を指先で持ち上げて、真っ直ぐ目を合わせて来る。
「ゆっくり目を閉じてご覧?」
「は…い」
俺は言われるがまま目を閉じた。
課長の顔が近づいてくる気配がして…
「ドキドキする?」
「…っ」
俺はきゅっと口を閉じてコクコクと頷く。
「素直だね、陽向君は。
こうされると、緊張するね?」
俺はまた頷く。
課長が言う。
「だから「顎クイ」はあまりお勧めしないかな…
目を開けて?」
「は、い…」
「陽向君は、キスがどういうものなのか分かる?」
「え、と…口を、くっつける…」
「そう、でもね。
セックスの時にするキスは、愛情表現であり…愛撫の一つなんだ」
「は、はあ」
「…じゃあ、確かめてみようか」
「え」
そう言って、課長は俺の口へ指を当てて…
「口を開けなさい、陽向。
どこが感じる場所か、自分で感じてご覧」
俺は言われるがまま、口をこわごわと開け…
「昨日あのまま寝ちゃったのか…」
俺はとりあえず彼女の表面を除菌ウェッティーで拭いて、そっと布団をかけた。
すると異様な程に自分の置かれた現実が襲ってきた。
「そうだ、片付けなきゃ!」
課長の家に行くのを断ってまで予定を開けたのだ。
断捨離せずにおくものか!
「とにかく漫画と本とゲームを分けよう」
ぐちゃぐちゃになっているからいけないんだ。
ここは本、ここは漫画、ここはゲーム…
「よし、やるぞ!」
俺は窓と玄関の扉も少々開けて換気をし、そうして何とかやる気を絞り出して物の仕分けを始めた。
「本…本はジャンルで分けた方が良いかな…」
「漫画もジャンルで…いや、レーベル別が良いか」
「ゲームはハードごとに分けよう」
棚にギュウギュウと並べた本も一旦出して、あーこれ懐かしい…
「今読んでも面白いなハ○ヒ」
はっ!いかん、読んでる場合じゃなかった。
ラノベはこっち、SFはこっち…あーこれ、結局挫折した順○都市…
「うーん…やはり難しい……はっ!」
いかん、ついつい…今は読書より片付けだ!
これはこっち…
と、その時、玄関の呼び鈴が鳴った。
<ピンポーン>
「ん?なんだろ…面倒だなぁ」
居留守を使おうか…と思ったけど、換気のために玄関の扉を開けてた俺に逃げ場は無い。
仕方ない、ちゃちゃっとお帰り願おう…
<ピンポーン>
「はーい、今出ますー!」
俺は急いで玄関の扉を全開に…
と、そこにいたのは…
「おっ、さふねかちょう!?」
「やあ陽向君、片付けは進んでるかい?」
「え、ええ、まあ、それなりに…」
「お昼食べてないかと思って買ってきたんだ…ちょっとキッチン借りていいかな」
「えっ、いや、片付いてないんで」
「ついでに片付けも手伝うからさ」
課長は気安くかつ有無を言わせず俺の部屋に上がり込む。どうしよう、この家、キッチンと部屋の間に何も仕切りが無いんだ、全部見えちゃう!
「失礼しま、す…」
「か、課長、そっち見ないで!!」
俺の叫びも虚しく、課長の目は俺の布団に釘付けになる。
「陽向君…これは、どういう事…」
「あっ、あっ、」
怒りに満ちた課長は俺の布団に近づき…
「駄目ですってば、あっ!」
***
「…陽向君、これは」
「いや、その…はい…」
だって、料理に家事に…は人に聞けるけどさ。
エッチなことは自力で学ぶしかないじゃん?
だから恥を忍んでハウツー本を買って、思い切って練習用ラブドールを買うか悩んで…
一番安いのを買ってみた。
そんだけ!
そんだけのことなの!!
俺だって、もう28歳だし。
相手を悦ばせられるようでないとさ…
学生みたいなエッチしてる場合じゃないし。
課長に見つかるとは思ってなかったんだ。
だってうちに来るなんて思わなかったし。
「セックスが上手くなりたいの?」
「…はい」
「だったら相手の気持ちを知らないとね」
「…はい」
「じゃあまずはキスから」
「えっ…」
課長は俺の顎を指先で持ち上げて、真っ直ぐ目を合わせて来る。
「ゆっくり目を閉じてご覧?」
「は…い」
俺は言われるがまま目を閉じた。
課長の顔が近づいてくる気配がして…
「ドキドキする?」
「…っ」
俺はきゅっと口を閉じてコクコクと頷く。
「素直だね、陽向君は。
こうされると、緊張するね?」
俺はまた頷く。
課長が言う。
「だから「顎クイ」はあまりお勧めしないかな…
目を開けて?」
「は、い…」
「陽向君は、キスがどういうものなのか分かる?」
「え、と…口を、くっつける…」
「そう、でもね。
セックスの時にするキスは、愛情表現であり…愛撫の一つなんだ」
「は、はあ」
「…じゃあ、確かめてみようか」
「え」
そう言って、課長は俺の口へ指を当てて…
「口を開けなさい、陽向。
どこが感じる場所か、自分で感じてご覧」
俺は言われるがまま、口をこわごわと開け…
59
お気に入りに追加
253
あなたにおすすめの小説


初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。


お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた
やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。
俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。
独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。
好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け
ムーンライトノベルズにも掲載しています。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

「じゃあ、別れるか」
万年青二三歳
BL
三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。
期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。
ケンカップル好きへ捧げます。
ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる