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王子様と皇太子殿下 7
事件の後の大団円 1
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湖から光の玉が消えた。
途端、クロエが膝から崩れた。
「クロエ!」
エースが駆けつけて抱き寄せる。
「カラス君!」
ソラが後から続き、
直後に猟犬がクロエを囲む。
「殿下…!」
ユーゴとスー、ギーは、さっきの光景を目の当たりにし、何が起きたのか把握しようとするが…
「何なんでしょう?」
「わからん…」
「スーもユーゴも分からないんじゃ、俺も分かんないなー」
そこへ先生が降りてきて、鳥の姿から元へ戻る。
「先生、さっきのあれは…」
「…降霊術。僕らが使う術の…更に上。
魔法…と、呼ぶに相応しい、奇跡だよ…」
先生が顔を紅潮させている。
相当興奮しているらしい。
いつものマシンガントークが始まる。
「降霊術はね、僕が最初に創ろうとした術なんだけど、やり方が難しいというか、死んだ魂はどこへ行くのか考えたことはある?魂、つまり人間の形の中に入って人間を人間たらしめているもの…のようなもの?があるんだけど、その魂は普段回路によって固定されてるんだ、死んだら回路がなくなる、それで魂がどこかへ行って「死ぬ」んだ、つまり、ここで死んだ魂は他の次元、この世界と重なってるけど別の場所、お化けっているでしょ、あれは他次元のものを見てるってことなんじゃないかなって思って考えついた理論なんだけど、まだ確かめてはいなかったけど、今ので証明されたんじゃないかな、だから、その「自分の呼び出したい魂」を他次元から呼び出す…他次元を、しかもどこの次元かを特定した上でこの次元と繋ぐという奇跡に近い現象を「祈り」という「力」を使って起こすということなんだけど、奇跡を狙って起こすというのはとても難しいことなんだ、色んなものに回路が存在してるっていうこの世界ならもしかしてって思うことはあって、僕も色々やってみたんだけど、降霊術がうまく行かなくて不貞腐れて止めたんだ、でも回路さえ見えたら出来るようなのは残ってて、それは傷ついた人を治したくて思い出したんだと思われる回復魔法…誰かの怪我を治療出来るのも魔法みたいなものなんだけど、まさか回路を見ることができない子にこんなことできるなんて想定外も想定外で」
「つまり先生、どういうことじゃ?」
「この子は、人間にして初めて魔法を使った…恐ろしい能力の持ち主だってことかな」
「なるほどの…ところで先生」
「ん?何?」
「素っ裸じゃぞ?」
「うわっ!」
ユーゴがそっと、自分の上着を先生に着せる。
「とにかく…クロエ君は、言葉通り、「お母さんと話をしに来た」だけ、なのさ」
「じゃあ、あの手紙は…」
「魔法が失敗したら、ただじゃ済まないことも知ってたはずだから…そうなったときの為に、迎えに来て欲しかったんじゃないかな…その、エースに」
「儂に…?」
「……この子の命が危なくなったら、眷属にしてでも命を救う、だろ?君なら。
場所も書いておいて欲しかったとこだけど、誰かいると上手く行かないかもしれないから、場所は書けなかったんじゃないかな、それでも、エースなら見つけてくれると思ったんじゃないかな、
そして……
眷属になることを…決めたんじゃないかな」
と、先生が言う。
「そういえば、最近、眷属になったらどんな感じなのかって…聞かれた」
「それは、私もです」
「俺も~」
眷属になることを、受け入れようとしていた?
「…でも、魔法が失敗してお母さんに会えなかったら…死ぬつもりだったのかな?
魔法で会えるなら、眷属になってからでも遅くないと思うのに、その前に…だなんて…。
カラス君は、魔法を使えなければ…「死」を利用してでも、お母さんに会いたかった…のかな…」
「違うよ、ソラ君」
「カラス君!?」
クロエが意識を取り戻したらしい。
彼はエースに抱かれたまま、ソラに…みんなに、自分の考えを伝える。
「この術はね、「死ぬ」人間しか使えないものなんじゃないかと、思ったんだ…。
先生が失敗したのは、「死なないから」だ。
だって、魂はいつしか、巡り巡ってここへも帰ってくる…と、先生が本に、書いてた。
そういう経験を先生はどこかでしたんだ、「忘れた」だけで…つまり、覚えておきたいようなことでは無かったんだと思うんだけど…まあ、それはさておき、魂がいつかここへ戻るなら、極論、呼び出さなくてもいつかは「会える」、死なないから。
だから「死んだ魂と会うことは奇跡ではない」。
永遠を生きる眷属ならではの「普通」なんだ。
でも人間は違う。
死なないと死んだ人とは会えない、死んでも死んだ人と会えるかわからない、だから「生きたまま死んだ人に会うこと」は奇跡…奇跡を起こさなきゃ会えない、だから奇跡を起こす力が…出せる」
「そうか!」
先生がなるほどなるほどと頷く。
単に条件が足りないから、魔法は失敗したのか。
彼女の思いやりだけが次元を通過し、僕に、みんなに、癒やしを与えてくれた…
そういうことか、と納得する。
「だから、眷属になる前に…試してみようと思ったんだ。駄目なら…母様のことは諦めるつもりだった、死にそうになったら眷属にするって…エースさんが言ったから、これがきっかけになれば…それもいいかと思ったんだ。永遠を生きるなら…さっきも言ったけど、母様の魂もいつかまたここへ帰ってくるでしょ?
その時に話をしても…まあ、覚えてはいないんだろうけど、さ」
「クロエ…、お前…っ!」
クロエは微笑んだ。
そして言った。
「エースさん。
自分の事、眷属にして、もらえますか?」
途端、クロエが膝から崩れた。
「クロエ!」
エースが駆けつけて抱き寄せる。
「カラス君!」
ソラが後から続き、
直後に猟犬がクロエを囲む。
「殿下…!」
ユーゴとスー、ギーは、さっきの光景を目の当たりにし、何が起きたのか把握しようとするが…
「何なんでしょう?」
「わからん…」
「スーもユーゴも分からないんじゃ、俺も分かんないなー」
そこへ先生が降りてきて、鳥の姿から元へ戻る。
「先生、さっきのあれは…」
「…降霊術。僕らが使う術の…更に上。
魔法…と、呼ぶに相応しい、奇跡だよ…」
先生が顔を紅潮させている。
相当興奮しているらしい。
いつものマシンガントークが始まる。
「降霊術はね、僕が最初に創ろうとした術なんだけど、やり方が難しいというか、死んだ魂はどこへ行くのか考えたことはある?魂、つまり人間の形の中に入って人間を人間たらしめているもの…のようなもの?があるんだけど、その魂は普段回路によって固定されてるんだ、死んだら回路がなくなる、それで魂がどこかへ行って「死ぬ」んだ、つまり、ここで死んだ魂は他の次元、この世界と重なってるけど別の場所、お化けっているでしょ、あれは他次元のものを見てるってことなんじゃないかなって思って考えついた理論なんだけど、まだ確かめてはいなかったけど、今ので証明されたんじゃないかな、だから、その「自分の呼び出したい魂」を他次元から呼び出す…他次元を、しかもどこの次元かを特定した上でこの次元と繋ぐという奇跡に近い現象を「祈り」という「力」を使って起こすということなんだけど、奇跡を狙って起こすというのはとても難しいことなんだ、色んなものに回路が存在してるっていうこの世界ならもしかしてって思うことはあって、僕も色々やってみたんだけど、降霊術がうまく行かなくて不貞腐れて止めたんだ、でも回路さえ見えたら出来るようなのは残ってて、それは傷ついた人を治したくて思い出したんだと思われる回復魔法…誰かの怪我を治療出来るのも魔法みたいなものなんだけど、まさか回路を見ることができない子にこんなことできるなんて想定外も想定外で」
「つまり先生、どういうことじゃ?」
「この子は、人間にして初めて魔法を使った…恐ろしい能力の持ち主だってことかな」
「なるほどの…ところで先生」
「ん?何?」
「素っ裸じゃぞ?」
「うわっ!」
ユーゴがそっと、自分の上着を先生に着せる。
「とにかく…クロエ君は、言葉通り、「お母さんと話をしに来た」だけ、なのさ」
「じゃあ、あの手紙は…」
「魔法が失敗したら、ただじゃ済まないことも知ってたはずだから…そうなったときの為に、迎えに来て欲しかったんじゃないかな…その、エースに」
「儂に…?」
「……この子の命が危なくなったら、眷属にしてでも命を救う、だろ?君なら。
場所も書いておいて欲しかったとこだけど、誰かいると上手く行かないかもしれないから、場所は書けなかったんじゃないかな、それでも、エースなら見つけてくれると思ったんじゃないかな、
そして……
眷属になることを…決めたんじゃないかな」
と、先生が言う。
「そういえば、最近、眷属になったらどんな感じなのかって…聞かれた」
「それは、私もです」
「俺も~」
眷属になることを、受け入れようとしていた?
「…でも、魔法が失敗してお母さんに会えなかったら…死ぬつもりだったのかな?
魔法で会えるなら、眷属になってからでも遅くないと思うのに、その前に…だなんて…。
カラス君は、魔法を使えなければ…「死」を利用してでも、お母さんに会いたかった…のかな…」
「違うよ、ソラ君」
「カラス君!?」
クロエが意識を取り戻したらしい。
彼はエースに抱かれたまま、ソラに…みんなに、自分の考えを伝える。
「この術はね、「死ぬ」人間しか使えないものなんじゃないかと、思ったんだ…。
先生が失敗したのは、「死なないから」だ。
だって、魂はいつしか、巡り巡ってここへも帰ってくる…と、先生が本に、書いてた。
そういう経験を先生はどこかでしたんだ、「忘れた」だけで…つまり、覚えておきたいようなことでは無かったんだと思うんだけど…まあ、それはさておき、魂がいつかここへ戻るなら、極論、呼び出さなくてもいつかは「会える」、死なないから。
だから「死んだ魂と会うことは奇跡ではない」。
永遠を生きる眷属ならではの「普通」なんだ。
でも人間は違う。
死なないと死んだ人とは会えない、死んでも死んだ人と会えるかわからない、だから「生きたまま死んだ人に会うこと」は奇跡…奇跡を起こさなきゃ会えない、だから奇跡を起こす力が…出せる」
「そうか!」
先生がなるほどなるほどと頷く。
単に条件が足りないから、魔法は失敗したのか。
彼女の思いやりだけが次元を通過し、僕に、みんなに、癒やしを与えてくれた…
そういうことか、と納得する。
「だから、眷属になる前に…試してみようと思ったんだ。駄目なら…母様のことは諦めるつもりだった、死にそうになったら眷属にするって…エースさんが言ったから、これがきっかけになれば…それもいいかと思ったんだ。永遠を生きるなら…さっきも言ったけど、母様の魂もいつかまたここへ帰ってくるでしょ?
その時に話をしても…まあ、覚えてはいないんだろうけど、さ」
「クロエ…、お前…っ!」
クロエは微笑んだ。
そして言った。
「エースさん。
自分の事、眷属にして、もらえますか?」
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