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王子様と皇太子殿下 7
皇太子、記録係と会う
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あの日からしばらく。
そう、あの日は…死ぬかと思った…。
だから、仕方なく。
今日も、監視付きで剣の稽古をする。
「あっ、あぶない、わっ!」
エースさんがうるさい。
心配なら見に来なきゃいいのになぁ。
うるさいから、「ごっこ」の部分は無しでやる。
でも…
「えや!」
「わっ!」
今日もなかなか勝てないなぁ…
「はあ…、やっぱり強いなぁ、ソラ君」
「そりゃ義足の分があるから…。でも、カラス君だって十分強いよ、野盗くらい軽く倒せそう」
「いやいや、油断禁物だから…じゃあ、もう一回」
「もうその辺でよかろう!?」
もう、うるさいなぁ…
と、向こうから…
「おーい、みんな!揃ってる?」
先生の声が聞こえた。
***
「クロエ君、絵を描く人を連れてきたよ!
『スー・ギーの世界旅行』シリーズって知ってる?
それの作者の人!スーベリア君」
「ええっ!あ、あの、精緻な絵で知られる…?」
「おっ、さすがクロエ君、知ってるね」
「初めましてクロエさん…と、ソラさん、かな?
他のお二人はお久しぶりです。
記録が趣味のスーベリアと申します。
こちらはギレット。私の伴侶です」
「ギレットで~す。宜しくお願いしまーす!
スーがそんなに有名だなんて!さすがだねスー!」
「こら、ギー。はしゃがないの」
…先生のツテが凄すぎる…!
「そういうことなので、あのあたりにテントを設営させて頂いても宜しいでしょうか?」
「あ、はい、もちろん!」
やっぱり、もう1軒くらい建てたほうが…
「長くなるなら、いっそもう宿屋でも造るか…。
どうじゃな先生?ちょっと大きい、2階建てのやつを建てんか?土木と建築の実地に良かろう」
「そうだねー。卒業制作に、大きい建物もいいかもね。どこに造ろうか?」
話が早い…
でも、出来るまでにすごく時間がかかりそう。
大丈夫なのかな…
「あ、我々テント暮らしが身に合いますので、こちらは全然構いませんよ」
「そうそう、2人でいればどこでも楽園だもん。でも、宿屋作るんなら、出来るまでこの国にいようかな。
久々の母国だもん!ね、スー。」
「そうだなぁ、この前の戦の記録でもつけるか。
人々の記憶が新しいうちに」
この2人も…眷属なのかな。
だって、「スー・ギーの世界旅行」って…もう100年以上前から発行されてるはず…。
確か146巻くらいあって…1年に1冊、だから…
「まさか、ずっと同じ方が書かれているとは…」
「あっ、気づいた?俺たち眷属なの」
「やはりそうでしたか」
「シュン・コバヤシ」名義の著作も何百年前からあって、子どもの時「この人は不老不死なのかなぁ」なんて思ってたんだよなぁ。
司書さんは「ほんとにそうなら面白いね」って言ってたんだけど、知ってたのかな…
なんて、考えていたら、スーベリアさんが急に、
「ところで、クロエさんとソラさんの先程の稽古なのですが、もう一度見せて頂いても?」
と声をかけてきた。
もちろん、と、ソラ君と2人でさっきと「同じ」のをやってみせる。
「さっきのと全く同じじゃ…」
「え、再現できるんですか?」
「そうですけど…もう一回見ますか?」
もう一度「同じ」のをやってみせる。
「なんでそんなこと出来るんですか!?」
「それは…もう手の内を知り尽くした相手同士なので、3手目までが同じなら同じになるというか…ですね」
「それで『大丈夫』じゃと言うとったのか…」
「多分、元部下の職員たちとやったら、4手目までが同じなら…同じになると思います」
「それで、実戦で困ることは無いのですか?」
「基本、ソラ君は一手、自分は返しの一手で決着をつけるようにしてますから、そこから先は持久力と眼を鍛えているようなもの…ですね」
「…すごいな…」
すると、おもむろに、エースさんが、
「儂と1回、やってみんか?」
と言い始めた。
ニコニコしながらほら来い!みたいな顔をするので、仕方なく応じた。
「では、宜しくお願いします」
「うむ」
エースさんはソラ君から木剣を受け取ると、
構える事なく
「よーし、こい!」
と言った。
そう、あの日は…死ぬかと思った…。
だから、仕方なく。
今日も、監視付きで剣の稽古をする。
「あっ、あぶない、わっ!」
エースさんがうるさい。
心配なら見に来なきゃいいのになぁ。
うるさいから、「ごっこ」の部分は無しでやる。
でも…
「えや!」
「わっ!」
今日もなかなか勝てないなぁ…
「はあ…、やっぱり強いなぁ、ソラ君」
「そりゃ義足の分があるから…。でも、カラス君だって十分強いよ、野盗くらい軽く倒せそう」
「いやいや、油断禁物だから…じゃあ、もう一回」
「もうその辺でよかろう!?」
もう、うるさいなぁ…
と、向こうから…
「おーい、みんな!揃ってる?」
先生の声が聞こえた。
***
「クロエ君、絵を描く人を連れてきたよ!
『スー・ギーの世界旅行』シリーズって知ってる?
それの作者の人!スーベリア君」
「ええっ!あ、あの、精緻な絵で知られる…?」
「おっ、さすがクロエ君、知ってるね」
「初めましてクロエさん…と、ソラさん、かな?
他のお二人はお久しぶりです。
記録が趣味のスーベリアと申します。
こちらはギレット。私の伴侶です」
「ギレットで~す。宜しくお願いしまーす!
スーがそんなに有名だなんて!さすがだねスー!」
「こら、ギー。はしゃがないの」
…先生のツテが凄すぎる…!
「そういうことなので、あのあたりにテントを設営させて頂いても宜しいでしょうか?」
「あ、はい、もちろん!」
やっぱり、もう1軒くらい建てたほうが…
「長くなるなら、いっそもう宿屋でも造るか…。
どうじゃな先生?ちょっと大きい、2階建てのやつを建てんか?土木と建築の実地に良かろう」
「そうだねー。卒業制作に、大きい建物もいいかもね。どこに造ろうか?」
話が早い…
でも、出来るまでにすごく時間がかかりそう。
大丈夫なのかな…
「あ、我々テント暮らしが身に合いますので、こちらは全然構いませんよ」
「そうそう、2人でいればどこでも楽園だもん。でも、宿屋作るんなら、出来るまでこの国にいようかな。
久々の母国だもん!ね、スー。」
「そうだなぁ、この前の戦の記録でもつけるか。
人々の記憶が新しいうちに」
この2人も…眷属なのかな。
だって、「スー・ギーの世界旅行」って…もう100年以上前から発行されてるはず…。
確か146巻くらいあって…1年に1冊、だから…
「まさか、ずっと同じ方が書かれているとは…」
「あっ、気づいた?俺たち眷属なの」
「やはりそうでしたか」
「シュン・コバヤシ」名義の著作も何百年前からあって、子どもの時「この人は不老不死なのかなぁ」なんて思ってたんだよなぁ。
司書さんは「ほんとにそうなら面白いね」って言ってたんだけど、知ってたのかな…
なんて、考えていたら、スーベリアさんが急に、
「ところで、クロエさんとソラさんの先程の稽古なのですが、もう一度見せて頂いても?」
と声をかけてきた。
もちろん、と、ソラ君と2人でさっきと「同じ」のをやってみせる。
「さっきのと全く同じじゃ…」
「え、再現できるんですか?」
「そうですけど…もう一回見ますか?」
もう一度「同じ」のをやってみせる。
「なんでそんなこと出来るんですか!?」
「それは…もう手の内を知り尽くした相手同士なので、3手目までが同じなら同じになるというか…ですね」
「それで『大丈夫』じゃと言うとったのか…」
「多分、元部下の職員たちとやったら、4手目までが同じなら…同じになると思います」
「それで、実戦で困ることは無いのですか?」
「基本、ソラ君は一手、自分は返しの一手で決着をつけるようにしてますから、そこから先は持久力と眼を鍛えているようなもの…ですね」
「…すごいな…」
すると、おもむろに、エースさんが、
「儂と1回、やってみんか?」
と言い始めた。
ニコニコしながらほら来い!みたいな顔をするので、仕方なく応じた。
「では、宜しくお願いします」
「うむ」
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構える事なく
「よーし、こい!」
と言った。
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