【完結】どれだけ永く生きてても

紫蘇

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王子様と皇太子殿下 6

皇太子、悩む

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この前、先生が来たときに言われた。

「今からどんどん身長が伸びると思うよ」

あれは本当だった。
今まで何で伸びなかったのか不思議なほど、日に日に背が伸びていく。夜中寝ているとミシミシと音が聞こえるくらい、伸びていく。

そして、膝が痛い。

「いたたた」

義足も合わなくなってしまったので歩くのに一苦労だけど、転けそうになるとエースさんが支えてくれて…。
依存度が上がってしまうのは良くないと思うのに、つい甘えてしまう。

「成長痛じゃ。
 背が伸びる速さに骨の成長が間に合わんのじゃな。
 骨を作るもとになるものを食べて、毎日陽に当たらんといかん」

と、湖で獲ってきた小魚でおやつを用意してくれた。
「一旦干してから素揚げにするだけ」らしいけど、結構美味しくて気に入って食べている。
今は職員たちも小魚を獲るのを手伝っているらしい。

有難いものだ。

そういえば、干魚は肥料にしても良いとどこかで読んだ。
だからちょっと試してみようかなぁ…と、干している魚を分けてもらいに行ったら、

「草木を育てるのは大事かもしれませんが、殿下のほうが優先です!」

と釘を刺されてしまった。
おまけにもうひとりの職員からも、

「今日交代要員が来たんですけどね、あの子は食が細いから心配なんだって食堂のヌシが仰って、これを食べさせてやれって言われたって、クリームシチューを鍋1つ分も頂いて来たんですよ。お昼でも晩でも召し上がってくださいね」

そうだ、ついつい新しい考えが頭に浮かぶと、そればかりになってしまって食べるのを忘れてしまうんだ。
だからつい、こういう気軽に食べられるおやつばかり食べて誤魔化すんだ…いけないな。

「うん、ちゃんと食べるよ。
 ありがとう…食堂の皆にも、お礼をしないとな」

今から冷え込む時期だし、冷えに効く薬草を混ぜたお茶を送ろうかな…。
あの薬草も、場所さえ間違わなければ良く育つから、多少使ってもいいだろう。
学園に帰るやつに持たせて送り出そう。


だけど、こんな自分に何でみんなこんなに良くしてくれるんだろう?


北の辺境で領主をしていたときも、みんな自分に一生懸命付いてきてくれたけど、あれは「豊かな領にしたい」って思いがあったからだし、曲がりなりにも皇太子だったからだ。
今は何の成果も上げていない、ただの研究者で…
あの頃みたいに、何もしてあげられないのに。

それをエースさんに話したら、

「クロエが今まで頑張ってきたご褒美じゃ」

と言ってくれた。
嬉しくてちょっと泣いて…そしたらいつもよりキスをたくさんしてくれて、それから一緒に……して。

……そう、その……は、一方的にしてもらう方ばかりなのも悪い気がして、最近は、その……、こっちが触ったりすることもあるけど……その、自分のと大きさが違いすぎて……というか、今まで見たどれよりも大きい気がして、それが自分の中に入る、と思うと……


「はぁ……」


自分の体が大きくなれば、大丈夫なのかな。

だけど大きくなった自分のカラダじゃ…。

帝国では、男は下の毛が生えると娼館に売れなくなるって聞いた。
前も後ろも初めての子じゃないと価値が無いんだって。

こっちではどうなんだろう。

初めてなんて残ってないし。
イった証明も出てこないし。
顔だって、半分…。

僕の価値って何だろう。
僕自身の価値って……。

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