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助手と先生
助手の昔話 3
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先生は、捨てられた子どもを育てるために畑を作り、赤子のためにヤギを買い、ヤギの糞で収穫を増やし、やってきた若者と畑を拡大させ、そこで得た利益で豚を買い、豚の糞で土壌を改良して収穫量を増やし、その利益で牛を買い畑を拡げ…何十年もかけてこの光景を作り上げた。
そして、全ての村で税金を増やさせないために、そこに住むものが飢えない程度の作物を育てさせ…足りないぶんはこの場所で作った食料を分けていた、ということだ。
村人が、ここの存在を隠す理由が分かった。
ここは、彼らの命の砦なのだ。
だからみんなで、ここを守ろうとしたんだ。
そして、ここにいる者たちにとって先生は、絶望から救い出してくれた恩人なんだ。
「仕方ないのう、討伐は失敗じゃな」
エースは先生に言った。
「しかし、コバヤシ先生、脱税は許されん。
しからば、この土地から毎年どのくらいの利益が上がり、どのくらいの税金を納めるべきかを計算しなければならん。全ての場所について、こちらが納得するまで説明して頂かねば…なので、悪いが、ここに暫く泊めてもらえるか?
出来れば…三月ほど、な」
先生は項垂れて言った。
「……はい」
そういうわけで、俺たちはこの屋敷に暫く世話になることになった。
新人騎士ひとりと記録係はここへ残ることになった。
表向きは、死んだことにして。
3ヶ月を過ごす間に分かったのは…
先生の様々な表情に、言葉に、行動に…全てに心を奪われる自分がいること。
多分、これが恋なんだということ。
そして、男を好きになった、ということ。
随分悩んだけれど、もう、思いが止まらなくて。
だって、あのときの顔が夢に出てきて言うんだ。
「ねえ、抱いて…」って。
その度に俺は飛び起きて、夢精してないか股間を確認して…してないときは、自慰をするようになって。
王都に帰って、娼館に初めて行ってみて…
女性に対してそういう興奮を覚えないことに、何だかほっとしたりして。
ああ、先生に会いたい…
そんな折、第1王子の客人として先生が来られるという話を聞いた。
第1王子のお妃様は、民が飢えない方法を探しておられると聞いたので、きっと兄嫁に横恋慕しているエースが、いい格好したくて紹介したんだろう。
何という素晴らしい巡り合わせ!
俺は神に、エースに感謝し、ついでにエースの友達として俺を推薦した親父にも感謝し、先生に会うために王城へ出掛けたのだった。
----------
先生に久々に再会した俺は、会うなり言った。
「先生、好きです」
先生は笑いながら言った。
「ありがと。歓迎してくれて嬉しいよ」
そういう意味じゃない…だけどその日は時間がなくて。
次に会ったとき、あらためて言った。
「先生のこと、愛してます」
先生は笑顔で言った。
「あらあら。嬉しいね」
本気にされてない…
だから、俺は言った。
「先生、俺に10年下さい。
この先、10年。
ずっと『愛してる』と言い続けるから。
必ずあなた好みの男になるから。
だから、その時は…
この想いを、本気で受け止めてください。」
俺は先生に好かれるために、騎士団の訓練の合間に農業の勉強をするようになった。
先生に、農業のことで聞きたいことがある、といえば、二人の時間を作ってくれたりもした。
ふたりきりになったら、
「先生、愛してます」
「先生の全部が可愛くてたまらないんです」
と告白するのを繰り返した。
でも、そうすると決まって、
「うんうん、ありがとね」
と先生は俺の頭を撫でてくる。
子ども扱いされてる、と思った。
俺は早く体を大きくしようと、騎士団の訓練をより真面目にやるようになった。
そうして、1年、2年…続けば5年経っていた。
そして、全ての村で税金を増やさせないために、そこに住むものが飢えない程度の作物を育てさせ…足りないぶんはこの場所で作った食料を分けていた、ということだ。
村人が、ここの存在を隠す理由が分かった。
ここは、彼らの命の砦なのだ。
だからみんなで、ここを守ろうとしたんだ。
そして、ここにいる者たちにとって先生は、絶望から救い出してくれた恩人なんだ。
「仕方ないのう、討伐は失敗じゃな」
エースは先生に言った。
「しかし、コバヤシ先生、脱税は許されん。
しからば、この土地から毎年どのくらいの利益が上がり、どのくらいの税金を納めるべきかを計算しなければならん。全ての場所について、こちらが納得するまで説明して頂かねば…なので、悪いが、ここに暫く泊めてもらえるか?
出来れば…三月ほど、な」
先生は項垂れて言った。
「……はい」
そういうわけで、俺たちはこの屋敷に暫く世話になることになった。
新人騎士ひとりと記録係はここへ残ることになった。
表向きは、死んだことにして。
3ヶ月を過ごす間に分かったのは…
先生の様々な表情に、言葉に、行動に…全てに心を奪われる自分がいること。
多分、これが恋なんだということ。
そして、男を好きになった、ということ。
随分悩んだけれど、もう、思いが止まらなくて。
だって、あのときの顔が夢に出てきて言うんだ。
「ねえ、抱いて…」って。
その度に俺は飛び起きて、夢精してないか股間を確認して…してないときは、自慰をするようになって。
王都に帰って、娼館に初めて行ってみて…
女性に対してそういう興奮を覚えないことに、何だかほっとしたりして。
ああ、先生に会いたい…
そんな折、第1王子の客人として先生が来られるという話を聞いた。
第1王子のお妃様は、民が飢えない方法を探しておられると聞いたので、きっと兄嫁に横恋慕しているエースが、いい格好したくて紹介したんだろう。
何という素晴らしい巡り合わせ!
俺は神に、エースに感謝し、ついでにエースの友達として俺を推薦した親父にも感謝し、先生に会うために王城へ出掛けたのだった。
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先生に久々に再会した俺は、会うなり言った。
「先生、好きです」
先生は笑いながら言った。
「ありがと。歓迎してくれて嬉しいよ」
そういう意味じゃない…だけどその日は時間がなくて。
次に会ったとき、あらためて言った。
「先生のこと、愛してます」
先生は笑顔で言った。
「あらあら。嬉しいね」
本気にされてない…
だから、俺は言った。
「先生、俺に10年下さい。
この先、10年。
ずっと『愛してる』と言い続けるから。
必ずあなた好みの男になるから。
だから、その時は…
この想いを、本気で受け止めてください。」
俺は先生に好かれるために、騎士団の訓練の合間に農業の勉強をするようになった。
先生に、農業のことで聞きたいことがある、といえば、二人の時間を作ってくれたりもした。
ふたりきりになったら、
「先生、愛してます」
「先生の全部が可愛くてたまらないんです」
と告白するのを繰り返した。
でも、そうすると決まって、
「うんうん、ありがとね」
と先生は俺の頭を撫でてくる。
子ども扱いされてる、と思った。
俺は早く体を大きくしようと、騎士団の訓練をより真面目にやるようになった。
そうして、1年、2年…続けば5年経っていた。
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