【完結】どれだけ永く生きてても

紫蘇

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王子様と皇太子殿下 5

☆王子、妄想と現実が交差して魔が差す

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急いで湯に戻ると、クロエが真っ赤になっていた。
どうやらのぼせたらしい…申し訳ない。

うんせ、と脇を抱えて湯から引き上げ、背中のほうから体拭きの布で包んでやると、くてっと儂にもたれかかってきたではないか。

あ、これは、あの…あれだ!

「…!…クロエ…優しく、する。約束する」
「…………え?」

はっ、違う、あっ。
儂が泡を喰っている間に、クロエが続きを言う。

「エースどのは、もうやさしいですよ?」
「あっ、へ、うん、もう?」
「いっぱい、たのしいです。まいにち。」
「お、おう」
「こんなしあわせでいいのかなって」
「そうか、うん、うん」
「ありがと、ございます」

そういって、儂の右腕に右腕を絡めてきて…

「ひんやりして、きもちいい…」
「そ、そうか」
「きもちいい…へんなの」
「そ、そうなのか?」
「はだかでくっつくの、へいきなの、へんだな、って」

は、裸でくっつくのが平気!?
どどどどういうことじゃろか!?
クロエは儂の心を知ってか知らずかまた言う。

「えーすどのは、やさしいから、ひどいことしないってわかってるから、なのかな」
「え、あ、おお、そうか?」
「ずっとうたがってて、ごめんなさい…」
「いや、いや、かまわん、かまわんよ、うん」

するとクロエは、左腕も絡めてきて…
ぎゅっとして?ぎゅっとして、なのか?
こここれはぎゅっとするしか…ないじゃろ!?

心臓の音でびっくりさせないように、
優しく、そうっ…と抱く。
腕のなかでクロエは、うっとり目を閉じる。

ふいに、城から助け出されたときのクロエと、今のクロエが重なる。あの時とは違う、桃色の頬。
…いま、クロエは幸せなんだな、と実感する。

もう少し、力をこめて、抱く。
クロエの口から信じられない言葉が出る。

「すき…」
「えっ…?…儂の、こと…?」
「うん、このくにで、あったひと、みんなすき」
「あ、ああ、うん…そうか…」

少し、がっかりじゃの…と思ったら。
特大のやつが儂の心臓を撃った。

「すき、だよ…えーす」

そう言ってクロエは、
そのまま、こてん、と寝てしまった。

***

もう、我慢の限界じゃった。


儂は…優しく、首筋や耳の裏に、何度も口づけた。
鎖骨を軽く、噛んでみた。
そして、胸の尖りを、かるく触って。

クロエが目を覚ますまで、
目を覚まさせないように、
優しく…優しく。

「…儂も、好きだ…クロエ」

優しくする。
大事にする。
もう、誰にも、傷つけさせない。

「すぅ…」

クロエの匂いを吸い込む。

小さくて、とてもそんな気にならないなんて…

大嘘。

本当はずっと、どんな見た目でも良かった。

幼くても、大きくても、歳をとっても。

腕が、足が、目が、耳が、無くても。

どんなクロエだって、抱ける。

「…お前も、儂のことを…儂と同じように愛してくれるか…?」

へそのあたりに手をのばす。
下生えが、少しだけ生えている。
その先は…まだ、駄目だ、と思いながら。

「おなかが冷えると、いけないからの…」

へそのあたりをさする。
際どいところまで、さする。
もう一度、匂いを嗅ぐ。
クロエの匂いを覚えたくて。
また少し、胸の尖りに手を伸ばす。

「どこもかしこも、きれいじゃな…」

冷えたのか、少し硬くなっている。

「かわいい…」

ああ、早く、これを味わいたい…

「少しだけ…、な?」

そっと抱き方を変え…そこに口づける。
クロエがぴく、と動いた。

「……っ!」

本能が相手を求めるという先生の言葉はこのことかとようやく理解し、

儂は正気に戻って…

もう一度背中から包み込むように…ぎゅっと、クロエを抱きしめた。
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