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幕間 4
帝国解体
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皇城の外周にぐるりと、昨日まで貴族だったものが串刺しになり晒し者になっていた。
皇帝だったものと、第1皇太子だったものも、やはり串刺しにされて城門の両脇に立てられていた。
死体の全てから股間のナニが切り取られている様は異様で、皇都に住む住人を震え上がらせた。
「はーやれやれ、終わったのぉー」
銀髪の男が、城の1番高いところからそれを見下ろし、清々しいといった表情を見せている。
「これで清々したのお、北の猟犬よ」
「ああ、これで全部殺せた…と、思う」
もし残りを見つけたら、ちょん斬ってケツ穴から丸太をねじ込んどくってことでいいよな、と言って、黒ずくめの男たちが城を出ていく。
しかし、彼らは北へ帰るのではなく、西に帰る。
もうこの国にあなたを傷つけるやつはいませんよ、と、主に報告するためだ。
…殺したことは、言わないけれど。
出ていく男たちに向かい、銀髪の男が声を掛けた。
「鬼神よ、お前、傀儡の王とやらをやらんか?」
「やらないっす。……もう帰っていいすか?
早く風呂入ってサッパリしたいんで…。
あと、このお面割っちゃいました、すんません」
黒いローブの男は割れた面を銀髪の男に渡して去る。
「まあ、そうじゃろうの」
銀髪の男はくく、と笑って、隣にいた部下へ尋ねる。
「オイリよ、お前、独り身じゃったかの」
「は、そうです」
「…帝国にいい嫁がおるかもしれんぞ?」
「それはちょっと…去年先に逝った妻に、あの世で愛想をつかされたくはありませんので」
「そうか、なら一人で頑張るか」
「は?」
オイリと呼ばれた部下は、嫌そうな顔を隠さない。
それを面白そうに見ながら銀髪の男が言う。
「騎士どもを鍛え直したいと言っておったろ?
子もみんな独立して、身軽じゃし。
ピノもセリも子育てせねばならんし、伴侶がまだ元気じゃからの。
諜報員に傀儡の王をさせるのも…
才能を無駄にさせるようでのう」
オイリはさらに嫌そうな顔をして言った。
「私の才能は、いらないんですか……」
「嘘じゃ、いるに決まっとろうが」
銀髪の男がハハハ、と笑う。
「お前、適当にうまいことやってくれそうなやつを知らんか、ということじゃ。
真に受けるとは思わなんだ、すまんすまん」
オイリは「絶対本気だっただろ…」と思いつつ、暫し考えてから言う。
「会議のときに、殿下が言っていた…あの「カラス」という人物は、どうでしょうか」
「駄目じゃ」
王子の即答にオイリが驚く。
「何故です」
「愛らしくて美しくて聡い子なのでな、学園でもう研究者として働いておる。
再来年あたりには講師もやるかもしれん…
傀儡にすえるには有能すぎるでな」
「もったいない、ということですね」
「そうじゃ」
うむうむ、と頷く王子。
「そうなると、こっちの国の、生き残っとる貴族から選ぶか…、まあ、人品は、まともじゃろうし」
「何故です?」
オイリの言葉に、銀髪の男が応える。
「…お前、目の前に小さい男の子がおって、儂がその子を犯してもよいぞ、と言うたらどうする」
「殿下をお諌めします」
「もし、命令じゃというたら?」
「この立場を辞してでも、聞くことはできません」
「…そうじゃな。儂もそうする。
というか、命令したやつをぶん殴るな」
何のことだか分からないオイリは、そのまま疑問を銀髪の男に投げかける。
「は。して、どういうことで?」
「さっき例え話の中でしたように、人間としてとても許されないような事を、例え皇帝から命じられたとしても拒むことが出来た者をじゃな、儂と北の猟犬と鬼神の目で確認し、処刑から外した」
「は、それで?」
「お前の人品は、儂が認めておる」
「ありがとうございます」
「ならば、お前と同じことができる人間なら、人品は保証できるのではないかの?」
「……多少乱暴ですが、納得しましょう」
王子はひとしきり笑って、それから、かつて皇帝が座っていた椅子の前に机を持ってきて言った。
「さて、あれこれ書状を用意せねば…。
羊皮紙とペンを探してきてくれんか」
皇帝だったものと、第1皇太子だったものも、やはり串刺しにされて城門の両脇に立てられていた。
死体の全てから股間のナニが切り取られている様は異様で、皇都に住む住人を震え上がらせた。
「はーやれやれ、終わったのぉー」
銀髪の男が、城の1番高いところからそれを見下ろし、清々しいといった表情を見せている。
「これで清々したのお、北の猟犬よ」
「ああ、これで全部殺せた…と、思う」
もし残りを見つけたら、ちょん斬ってケツ穴から丸太をねじ込んどくってことでいいよな、と言って、黒ずくめの男たちが城を出ていく。
しかし、彼らは北へ帰るのではなく、西に帰る。
もうこの国にあなたを傷つけるやつはいませんよ、と、主に報告するためだ。
…殺したことは、言わないけれど。
出ていく男たちに向かい、銀髪の男が声を掛けた。
「鬼神よ、お前、傀儡の王とやらをやらんか?」
「やらないっす。……もう帰っていいすか?
早く風呂入ってサッパリしたいんで…。
あと、このお面割っちゃいました、すんません」
黒いローブの男は割れた面を銀髪の男に渡して去る。
「まあ、そうじゃろうの」
銀髪の男はくく、と笑って、隣にいた部下へ尋ねる。
「オイリよ、お前、独り身じゃったかの」
「は、そうです」
「…帝国にいい嫁がおるかもしれんぞ?」
「それはちょっと…去年先に逝った妻に、あの世で愛想をつかされたくはありませんので」
「そうか、なら一人で頑張るか」
「は?」
オイリと呼ばれた部下は、嫌そうな顔を隠さない。
それを面白そうに見ながら銀髪の男が言う。
「騎士どもを鍛え直したいと言っておったろ?
子もみんな独立して、身軽じゃし。
ピノもセリも子育てせねばならんし、伴侶がまだ元気じゃからの。
諜報員に傀儡の王をさせるのも…
才能を無駄にさせるようでのう」
オイリはさらに嫌そうな顔をして言った。
「私の才能は、いらないんですか……」
「嘘じゃ、いるに決まっとろうが」
銀髪の男がハハハ、と笑う。
「お前、適当にうまいことやってくれそうなやつを知らんか、ということじゃ。
真に受けるとは思わなんだ、すまんすまん」
オイリは「絶対本気だっただろ…」と思いつつ、暫し考えてから言う。
「会議のときに、殿下が言っていた…あの「カラス」という人物は、どうでしょうか」
「駄目じゃ」
王子の即答にオイリが驚く。
「何故です」
「愛らしくて美しくて聡い子なのでな、学園でもう研究者として働いておる。
再来年あたりには講師もやるかもしれん…
傀儡にすえるには有能すぎるでな」
「もったいない、ということですね」
「そうじゃ」
うむうむ、と頷く王子。
「そうなると、こっちの国の、生き残っとる貴族から選ぶか…、まあ、人品は、まともじゃろうし」
「何故です?」
オイリの言葉に、銀髪の男が応える。
「…お前、目の前に小さい男の子がおって、儂がその子を犯してもよいぞ、と言うたらどうする」
「殿下をお諌めします」
「もし、命令じゃというたら?」
「この立場を辞してでも、聞くことはできません」
「…そうじゃな。儂もそうする。
というか、命令したやつをぶん殴るな」
何のことだか分からないオイリは、そのまま疑問を銀髪の男に投げかける。
「は。して、どういうことで?」
「さっき例え話の中でしたように、人間としてとても許されないような事を、例え皇帝から命じられたとしても拒むことが出来た者をじゃな、儂と北の猟犬と鬼神の目で確認し、処刑から外した」
「は、それで?」
「お前の人品は、儂が認めておる」
「ありがとうございます」
「ならば、お前と同じことができる人間なら、人品は保証できるのではないかの?」
「……多少乱暴ですが、納得しましょう」
王子はひとしきり笑って、それから、かつて皇帝が座っていた椅子の前に机を持ってきて言った。
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