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王子様と皇太子殿下 2
先生と助手、病室で皇太子と会談
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「あいつら、出てったかい?」
「うん、出てったよ」
あいつら、僕の言うこと聞かないかならぁ。
さすが僕の可愛い恋人にして優秀な助手。
「ユーゴは最高だね!」
「ほんと?愛してる?」
「この世の終わりまで愛してる♡」
目を覚ましたあの子は、どうにか自分で体を起こし、ぼんやりした目でこっちを見ている。
僕達は軽いキスを交わしたりして、恋人同士の幸せ甘々な雰囲気を醸し出してみる。そのほうが、今後「条件」の解除に役立つかもしれないからね。
……言い訳じゃないよ?うん。
すると、あの子が声を発した。
「…お迎え、の、方でしょうか?」
「お迎え?」
「自分、死んだので、お迎えに来て頂いたのかと」
「「死んでないから!」」
「死んでいないのですか?」
「そうだよ、生きてるよ!」
それを聞いてから数秒あって、あの子は言った。
「……そうですか」
この子、まだ寝ぼけてるのかしら。
まだぼんやりしてるみたいだし…
「お二人は、トーリ王国の軍部とご縁がお有りになる方々でいらっしゃいますでしょうか?」
「あっ、うん、まあ」
「お会いしたばかりの方にお願いすることでないのは承知で、申し上げます。
貴国の大将閣下にお会いしたいのですが、どうにかお伝え頂けませんでしょうか」
「えっ?」
「敗戦の将として責任を取らねばなりませんので」
……前言撤回。
何、急に?すごいしっかりしてる。
何よりこの短時間で現状を把握して、僕たちと彼が話さなければならない理由を作った。
彼は会話のイニシアチブを取りに来たのだ。
この死にかけだった小さな子が!
「君が寝ている間に何があったのか、知ってる?」
「存じません」
「そもそもどのくらい寝てたか分かる?」
「随分長く、としか」
そうだよね、聞いたらびっくりするよ多分。
「一月半以上、正確には49日だよ!」
「そうでしたか、それは大変お世話になりました」
「お世話してたのは主に君の部下だけどねー」
褒めてやってよ、後で。
「では、増々彼らの献身に報いねばなりません。
我が国との次の戦もあるでしょうから、手短に。
この度の、貴国と我が国との戦における責任を、マルーン帝国の第2皇太子として、また帝国の一領主として持てる限り取りたく存じます。
ゆえに、どうか部下には御慈悲を」
「えっ…え?」
えー!そんなの困るよ!
どうしようユーゴ。
「あー、貴殿は責任と仰るが、具体的には?」
「命を持って贖うのが、妥当と存じます」
「もし、こちらが命以外の方法で返して貰いたいと言いった場合にはどうする?」
「死ぬより過酷としても、お受け致します」
「ではそのように、第3王子殿下に伝えておこう」
「ありがとうございます」
あの子は伝えたい事を言い切ったらしく深く礼をした…んだけど、よろけてベッドから落ちそうになる。
慌てて駆け寄り支えるユーゴに、彼は言った。
「それにしても、やはり大将は第3王子…
エース殿下でありましたか」
「ああ」
「それなら、負けたのも仕方がありません。
かつて何度かお話しさせて頂く機会が御座いましたが、あの方は戦というものに大変造詣が深くていらっしゃいましたから」
急に昔話を始めた彼。
どうやらエースと会ったことを覚えているらしい。
良かったねエース!
ちょっと希望が持てる展開だよ!
ユーゴがその話を広げようと相槌を打つ。
「昔、お会いになったことが?」
「ええ、エース殿が親善にお越しになられていた時期に何度か、司書の格好をして私の庵にお越しになられたことがありまして」
「バレてんじゃんかあいつ」
「は?」
ふぅ、良かった、さすが優秀な助手は違う。
こんなときにも頼りになるとは…。
それにしても、この子本当にずっと寝てたの?
「次の戦があるって、なんで知ってるの?」
「ということは、次の戦はもうあったのですね」
…ほんと、頭のいい子だなぁ。
「そして、我が国はまた、負けたのでしょうか」
「……うん」
「そうですか」
……「愛らしくて、美しくて、聡い」だけじゃなくて、ちゃんと他人を思いやれる子かぁ。
見た目に中身も詰まってるんじゃ、そりゃエースだってこの子のこと好きになっちゃうよなぁ。
「ならば、エース殿にお会いできるのはまだ先になりそうですね」
「そうだねぇ」
「我が国は、勝つまで戦をしますから」
「えっ!?」
「帝国が常勝無敗であるための方策なのです。
皇族の一員として、戦を始めさせてはならぬと知っていながら止められなかった責任の大きさ……。
許されぬ事と、承知致しております」
お隣の国、ヤバくない?
「そう思うならこの戦を止める方法を考えてよ!」
「は、父と兄の首を刎ねた後、帝国が今まで併合してきた国や地域を切り取って独立させ、残った土地に傀儡の王を据えれば良いかと愚考します」
いやいやいやいや、それも即答なの!?
ちょっと待って、賢すぎない?この子!!
「きっ…貴重な話をありがとう。
…ちょっと、エースに都合を聞いてみるよ」
「何卒宜しくお願い致します」
傀儡の王を置くぐらいなら、この子を王に据えればいいんじゃないか…と僕は思った。
「うん、出てったよ」
あいつら、僕の言うこと聞かないかならぁ。
さすが僕の可愛い恋人にして優秀な助手。
「ユーゴは最高だね!」
「ほんと?愛してる?」
「この世の終わりまで愛してる♡」
目を覚ましたあの子は、どうにか自分で体を起こし、ぼんやりした目でこっちを見ている。
僕達は軽いキスを交わしたりして、恋人同士の幸せ甘々な雰囲気を醸し出してみる。そのほうが、今後「条件」の解除に役立つかもしれないからね。
……言い訳じゃないよ?うん。
すると、あの子が声を発した。
「…お迎え、の、方でしょうか?」
「お迎え?」
「自分、死んだので、お迎えに来て頂いたのかと」
「「死んでないから!」」
「死んでいないのですか?」
「そうだよ、生きてるよ!」
それを聞いてから数秒あって、あの子は言った。
「……そうですか」
この子、まだ寝ぼけてるのかしら。
まだぼんやりしてるみたいだし…
「お二人は、トーリ王国の軍部とご縁がお有りになる方々でいらっしゃいますでしょうか?」
「あっ、うん、まあ」
「お会いしたばかりの方にお願いすることでないのは承知で、申し上げます。
貴国の大将閣下にお会いしたいのですが、どうにかお伝え頂けませんでしょうか」
「えっ?」
「敗戦の将として責任を取らねばなりませんので」
……前言撤回。
何、急に?すごいしっかりしてる。
何よりこの短時間で現状を把握して、僕たちと彼が話さなければならない理由を作った。
彼は会話のイニシアチブを取りに来たのだ。
この死にかけだった小さな子が!
「君が寝ている間に何があったのか、知ってる?」
「存じません」
「そもそもどのくらい寝てたか分かる?」
「随分長く、としか」
そうだよね、聞いたらびっくりするよ多分。
「一月半以上、正確には49日だよ!」
「そうでしたか、それは大変お世話になりました」
「お世話してたのは主に君の部下だけどねー」
褒めてやってよ、後で。
「では、増々彼らの献身に報いねばなりません。
我が国との次の戦もあるでしょうから、手短に。
この度の、貴国と我が国との戦における責任を、マルーン帝国の第2皇太子として、また帝国の一領主として持てる限り取りたく存じます。
ゆえに、どうか部下には御慈悲を」
「えっ…え?」
えー!そんなの困るよ!
どうしようユーゴ。
「あー、貴殿は責任と仰るが、具体的には?」
「命を持って贖うのが、妥当と存じます」
「もし、こちらが命以外の方法で返して貰いたいと言いった場合にはどうする?」
「死ぬより過酷としても、お受け致します」
「ではそのように、第3王子殿下に伝えておこう」
「ありがとうございます」
あの子は伝えたい事を言い切ったらしく深く礼をした…んだけど、よろけてベッドから落ちそうになる。
慌てて駆け寄り支えるユーゴに、彼は言った。
「それにしても、やはり大将は第3王子…
エース殿下でありましたか」
「ああ」
「それなら、負けたのも仕方がありません。
かつて何度かお話しさせて頂く機会が御座いましたが、あの方は戦というものに大変造詣が深くていらっしゃいましたから」
急に昔話を始めた彼。
どうやらエースと会ったことを覚えているらしい。
良かったねエース!
ちょっと希望が持てる展開だよ!
ユーゴがその話を広げようと相槌を打つ。
「昔、お会いになったことが?」
「ええ、エース殿が親善にお越しになられていた時期に何度か、司書の格好をして私の庵にお越しになられたことがありまして」
「バレてんじゃんかあいつ」
「は?」
ふぅ、良かった、さすが優秀な助手は違う。
こんなときにも頼りになるとは…。
それにしても、この子本当にずっと寝てたの?
「次の戦があるって、なんで知ってるの?」
「ということは、次の戦はもうあったのですね」
…ほんと、頭のいい子だなぁ。
「そして、我が国はまた、負けたのでしょうか」
「……うん」
「そうですか」
……「愛らしくて、美しくて、聡い」だけじゃなくて、ちゃんと他人を思いやれる子かぁ。
見た目に中身も詰まってるんじゃ、そりゃエースだってこの子のこと好きになっちゃうよなぁ。
「ならば、エース殿にお会いできるのはまだ先になりそうですね」
「そうだねぇ」
「我が国は、勝つまで戦をしますから」
「えっ!?」
「帝国が常勝無敗であるための方策なのです。
皇族の一員として、戦を始めさせてはならぬと知っていながら止められなかった責任の大きさ……。
許されぬ事と、承知致しております」
お隣の国、ヤバくない?
「そう思うならこの戦を止める方法を考えてよ!」
「は、父と兄の首を刎ねた後、帝国が今まで併合してきた国や地域を切り取って独立させ、残った土地に傀儡の王を据えれば良いかと愚考します」
いやいやいやいや、それも即答なの!?
ちょっと待って、賢すぎない?この子!!
「きっ…貴重な話をありがとう。
…ちょっと、エースに都合を聞いてみるよ」
「何卒宜しくお願い致します」
傀儡の王を置くぐらいなら、この子を王に据えればいいんじゃないか…と僕は思った。
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