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ロイ・ユーフォルビアの恋愛相談室

大人の恋愛相談 1

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次期公爵様カップルの相談が終了してから暫く…
一人の美人さんがお忍びで相談にやってきた。

「伴侶をその気にさせたいのです…」
「うーーーん」

眼鏡の奥で寂しそうな目がこちらを見る。
こんだけの美人を伴侶にもらっておきながらその気にならない男なんて…

「これはまた…難題だなぁ」

まあ、一人しかいないよね。

前の伴侶さんと結婚する為に平民から騎士に成り上がり、そして今や、火の魔法使いとして最高の地位までその実力で昇りつめた…

ヘヴィ・グロリオサ侯爵、通称「魔王」。

再婚したことすら奇跡って言われてる男。
そして、その奇跡を起こした人が…
今目の前に座っている、スフィアさんだ。

僕は尋ねる。

「ベッドは同じなんですよね?」
「はい、でも普通に寝るだけ…寝る前の抱擁はしてくださるのですけど」

スフィアさんの連れ子も自分の子の様に扱ってくれるし、細やかな気遣いもしてくれるそうだけど…
どうやら向こうはお互いの利益の為に結婚したのだと思っている節もあるようで、夜の営みについては全く触れて来ようとしないらしい。

「初めて好きになった方が、これほど…難しい方だなんて」
「とはいえ、スフィアさんほどの美人でも駄目となると、誰が色目使っても駄目でしょうね」
「そうなんです、火の侯爵になったのにどなたも言い寄って来ません」
「浮気の心配だけはなさそうですね?」
「ええ…ですが、どういう事をされれば理性がぐらつくのかも定かでないとなると」
「余計に難しそうですね…」
「はい」

でも、グロリオサ侯の事情は知ってるんだよね。
前の伴侶さんとの恋愛は、密かに舞台になって今も上演されてるみたいだし。
最近ではオチが変わってるそうだけど…

2人の恋路は、やんごとなきお方の恋を成就させる道にもなったのです!
…的なね。

「この前、寝ている彼に悪戯でキスをしたら…
 前の伴侶様のお名前を呼ばれてしまって」
「うわぁ」

僕も経験あるなー。
寝てるゼフさんにキスしたら父さんの名前を呼ばれたの…しかも散々セックスした日の夜に!

「それは…ショックですね」
「ショックです…」

うーん…ただセックスするだけならブレティラ印のアレを使うのも手だけど、心まで手に入れるとなると…

「僕も、ルースが生まれるまではリード父さんの代わり、みたいな所があって」
「そうだったのですか…」

お互い、結婚相手が伴侶を失った人で、その相手は失った伴侶を心の底から愛していた。
僕らは色々事情があって、セックスだけは早かったけど…
身体と心を完全に切り離せるゼフさんの心を掴めたのはずっと後だった。

「何だか似てますね、僕ら」
「ふふ、そうだと嬉しいです…
 私もロイさんのように、再婚した伴侶の心を射止められるという事ですから」

スフィアさんはそう言って力なく笑う。
本当にグロリオサ候の事を愛しているんだな…
何とかしてあげたい。

「この相談は、ゼフさんに聞いたほうが良いのかもしれませんね」
「そうですね…心境が変化した理由が分かれば、一つの指針になるかもしれません」

そんなわけで、僕はゼフさんを呼びに行った。

確か今日は家にいるはずだ。
王宮に新しくできた保育所も、人員が揃って始動したって言ってたからね。
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