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ロイ・ユーフォルビアの恋愛相談室
ブレティラ印のアレ 2
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ブレティラ殿がコソコソしていた理由。
それは、この薬が存在する事をルースが許さないからだそうだ。
「ローズではかつて怪しげな媚薬が蔓延し中毒症や依存症が出たために、媚薬類は全てご禁制とされてしまっているものですから…」
「ごきんせい」
…よくそれで「んじゃご実家で売ってもらお♪」ってなったね!?
どういう神経してるのよ!!
呆れる僕にブレティラ殿は説明を続ける。
「ですが、この薬はそうした心配のない安心安全な物なのです。
元々これはカメリアで「王家の秘薬」として開発されたものでして」
「ひやく」
無茶苦茶あやしい……
でも薬自体は信頼性の高い物なんだって。
ブレティラ殿が言うには、この薬はわざわざカメリアの王宮に潜入して、薬草の種を譲って貰ったり調合を教えて貰ったりして完璧に「王家の秘薬」を再現したものだそうで、これでひとやま当てて助手であり伴侶であるシーマさんに贅沢をさせてやりたいのだそう…
意外とこの人健気だな。
見た目は日和見貴族って感じだけど。
「媚薬に関して、我らがローズではご禁制となりましたが、お隣のカメリアでは研究が連綿と続けられていたんです。
この方面において、ローズは遅れていると言わざるを得ない…」
「えっ、じゃあ、カメリアでは一般的に使われているんですか?」
「ええ、上流階級や富裕層に広く浸透しています。
偽物を作って流通させると、カメリアでは死罪になりますがね」
「死罪!!」
唖然とする僕に、ブレティラ殿はニヤリと笑って言った。
「なあに、ここはローズです。ローズ国内でのみの販売なら、カメリアだって文句を言いませんよ…
それに、アルファード殿下とスプーラ殿下は大のご友人でいらっしゃいますし、そこを何とかすれば何とかなりますって」
「何とかって何ですか!?」
なんちゅう危険な橋を渡ろうとしてんのこの人!
ますますどういう神経してるのか分からん!
「そんな恐ろしい物、何で作ったんです!?」
「何で…と、言われますと、その…
歳の離れた伴侶を持ちますと、持続力とか…ですね、夜のほうで満足させる事が難しく…」
「あっ…あー…」
そりゃもうよくある性の悩みだ。
年若い伴侶を貰ったは良いが、最中で萎えちゃってそれが原因で不仲になるなんて話はよく聞く…あっ。
「そういえば、うちのサロニアが嫁いだ国では花の香りでそういう気分を高めるって聞いたな。
だから部屋の中で花を育てるんだって…」
「なんと、生花をですか?」
「そうなんです、すごいですよね。
部屋の用途によって育てる花も違うので、どの家でも最低3種類は花を育ててるんですって」
その国は「家を建てる時には花の育つ環境に合わせて部屋を決める」っていうくらい花を大事にする文化なんだそうで、サロニアはうちの中で一番植物好きだったからそこの国へ留学して…
そのまま結婚しちゃったんだよね。
当時はサロニアまで!?ってびっくりしたなぁ。
「ところで、その花の種…今お手元にあったり?」
「いえ、もう立派に育っていますよ」
ルースの結婚式の時にお土産で貰ったんだけど、ゼフさんがせっかくだから蒔いてみよう、って。
丁寧に育てた甲斐あって、すくすく伸びてる。
「どのくらいです?」
「ええ、蕾はまだですが、これくらい…」
「どちらで?」
「……寝室で」
その葉を見るたびに、僕は思うんだ。
その花を、ゼフさんが育てるって言った意味。
それは単に家業に関係しているからとか、そういう事じゃなくて…
僕を愛してくれているって、
いつでもそういう気分になって欲しいって、
そういう事なんじゃないかっ、て…
「ふふふ」
なーんて、確認する勇気は無いけどね!
だって「違うよ?」って言われたら立ち直れないじゃん…思うのはタダだけど。
「…どんな花が咲くのかは分かりませんが、咲いたらお知らせしましょうか」
「そうですね、もし株分けできるのであれば、うちの研究室にも1つ譲って頂けませんか」
「ええ、聞いておきますね」
「それと、この薬を取り敢えず置いてみませんか」
「まだ言うか」
使うのと人に勧めるのは別じゃん!
わざわざ罪が重くなるようなことしたくないんですけど!?
それは、この薬が存在する事をルースが許さないからだそうだ。
「ローズではかつて怪しげな媚薬が蔓延し中毒症や依存症が出たために、媚薬類は全てご禁制とされてしまっているものですから…」
「ごきんせい」
…よくそれで「んじゃご実家で売ってもらお♪」ってなったね!?
どういう神経してるのよ!!
呆れる僕にブレティラ殿は説明を続ける。
「ですが、この薬はそうした心配のない安心安全な物なのです。
元々これはカメリアで「王家の秘薬」として開発されたものでして」
「ひやく」
無茶苦茶あやしい……
でも薬自体は信頼性の高い物なんだって。
ブレティラ殿が言うには、この薬はわざわざカメリアの王宮に潜入して、薬草の種を譲って貰ったり調合を教えて貰ったりして完璧に「王家の秘薬」を再現したものだそうで、これでひとやま当てて助手であり伴侶であるシーマさんに贅沢をさせてやりたいのだそう…
意外とこの人健気だな。
見た目は日和見貴族って感じだけど。
「媚薬に関して、我らがローズではご禁制となりましたが、お隣のカメリアでは研究が連綿と続けられていたんです。
この方面において、ローズは遅れていると言わざるを得ない…」
「えっ、じゃあ、カメリアでは一般的に使われているんですか?」
「ええ、上流階級や富裕層に広く浸透しています。
偽物を作って流通させると、カメリアでは死罪になりますがね」
「死罪!!」
唖然とする僕に、ブレティラ殿はニヤリと笑って言った。
「なあに、ここはローズです。ローズ国内でのみの販売なら、カメリアだって文句を言いませんよ…
それに、アルファード殿下とスプーラ殿下は大のご友人でいらっしゃいますし、そこを何とかすれば何とかなりますって」
「何とかって何ですか!?」
なんちゅう危険な橋を渡ろうとしてんのこの人!
ますますどういう神経してるのか分からん!
「そんな恐ろしい物、何で作ったんです!?」
「何で…と、言われますと、その…
歳の離れた伴侶を持ちますと、持続力とか…ですね、夜のほうで満足させる事が難しく…」
「あっ…あー…」
そりゃもうよくある性の悩みだ。
年若い伴侶を貰ったは良いが、最中で萎えちゃってそれが原因で不仲になるなんて話はよく聞く…あっ。
「そういえば、うちのサロニアが嫁いだ国では花の香りでそういう気分を高めるって聞いたな。
だから部屋の中で花を育てるんだって…」
「なんと、生花をですか?」
「そうなんです、すごいですよね。
部屋の用途によって育てる花も違うので、どの家でも最低3種類は花を育ててるんですって」
その国は「家を建てる時には花の育つ環境に合わせて部屋を決める」っていうくらい花を大事にする文化なんだそうで、サロニアはうちの中で一番植物好きだったからそこの国へ留学して…
そのまま結婚しちゃったんだよね。
当時はサロニアまで!?ってびっくりしたなぁ。
「ところで、その花の種…今お手元にあったり?」
「いえ、もう立派に育っていますよ」
ルースの結婚式の時にお土産で貰ったんだけど、ゼフさんがせっかくだから蒔いてみよう、って。
丁寧に育てた甲斐あって、すくすく伸びてる。
「どのくらいです?」
「ええ、蕾はまだですが、これくらい…」
「どちらで?」
「……寝室で」
その葉を見るたびに、僕は思うんだ。
その花を、ゼフさんが育てるって言った意味。
それは単に家業に関係しているからとか、そういう事じゃなくて…
僕を愛してくれているって、
いつでもそういう気分になって欲しいって、
そういう事なんじゃないかっ、て…
「ふふふ」
なーんて、確認する勇気は無いけどね!
だって「違うよ?」って言われたら立ち直れないじゃん…思うのはタダだけど。
「…どんな花が咲くのかは分かりませんが、咲いたらお知らせしましょうか」
「そうですね、もし株分けできるのであれば、うちの研究室にも1つ譲って頂けませんか」
「ええ、聞いておきますね」
「それと、この薬を取り敢えず置いてみませんか」
「まだ言うか」
使うのと人に勧めるのは別じゃん!
わざわざ罪が重くなるようなことしたくないんですけど!?
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